「楽器可」物件とは、文字どおり「楽器を演奏することが可能」な物件のことです。
アパートやマンションといった賃貸物件に住みながら楽器を演奏したいという人は「楽器可」物件のほかに、「楽器相談可」物件についても知っておくと物件の選択肢が増えます。
そこで今回は「楽器相談可」の賃貸物件について、どの程度まで音を出すことができるのかといった点や、物件の探し方などを解説していきます。
楽器可(相談)物件オンライン内見ができる物件
楽器相談可の物件とは

「楽器相談可」の物件とは、通常の賃貸物件でありながらも、大家さんの好意で楽器演奏が許可される可能性のある物件です。
ここでは具体的にどのようなニーズや性能があるのか説明していきます。
こんな人に向いている
楽器相談可の物件は、音楽関係の学校に通学している、仕事で音楽に携わっている、ギター演奏が趣味といった「部屋で楽器を演奏したい」という人のニーズに合っている賃貸物件です。
防音性はどのくらい?
楽器相談可の物件は、通常の物件と同じつくりであることがほとんどなので、音漏れはします。つまり、防音性や遮音性については完璧とはいえません。
そのため、多少の楽器演奏であれば構わない、という程度の物件だと認識しておきましょう。
演奏できる楽器の種類や時間帯について
周囲の住人への配慮から、音が響くピアノや管弦楽器(トランペット、フルートなど)はNGで、ヘッドホンにつなぐことができる電子ピアノやギター、ベースなどは基本的にOKなケースが多いでしょう。
演奏可能な時間帯については多くの場合、平日は朝10時~20時まで、土日祝は午後からなど常識的な範囲で決められています。楽器相談可の物件では、24時間演奏してもいいという部屋は少ない傾向にあります。
楽器可(相談)物件 オンライン内見ができる物件何が違う? 楽器が演奏できる4タイプの特徴を解説

楽器が演奏できそうな物件を探していると、以下の4つのタイプを見つけられます。それぞれ異なる特徴があるので紹介していきましょう。
「楽器可」物件
歌唱や楽器の演奏を前提に建てられていることが多く、防音性に優れているという特徴があります。
しかし「楽器可」という条件が付いている物件の中には、防音・遮音設備がないけれども常識の範囲内での楽器演奏は可能としている場合もあります。
「楽器防音」物件
ほぼ完全防音の設備が整っていて、24時間好きなときに楽器演奏が可能な物件です。
音の反響効果などのバランスにも優れていることが多く、音楽大学の学生など、多くの練習時間を必要とする人に向いています。難点は、家賃が高い傾向にあることです。
「楽器遮音」物件
楽器防音物件には劣りますが、こちらも優れた防音性のある物件です。完全防音ではないので演奏時間帯が決められており、ドラムなど音の大きい楽器などはNGの場合もあります。
「楽器相談」物件
4タイプの中でも防音性や遮音性は一番低く、通常の物件と変わりないため音漏れしやすい物件です。
大家さん自身が楽器の演奏を好み、楽器音に理解がある場合もあれば、空室リスクを避けるために「楽器相談可」という条件を後付けしたケースもあります。
通常の物件と同じつくりなので、演奏できる楽器の種類や演奏時間帯に制限があることがほとんどです。
「楽器相談可」物件の探し方

近隣住人への影響も考えて、「楽器相談可」の物件数は少なめです。楽器相談可の物件を探したいという人は、以下の2つのポイントで絞って探してみるのがおすすめです。
音楽大学の近く
音楽大学に通学する学生は、歌唱や楽器演奏の練習を必要とします。そのため、音楽大学の周辺にはそのような学生をターゲットにした物件が集まりやすい傾向にあります。
高い防音性は欲しいけれど家賃の高さに抵抗がある人は、「楽器可」だけでなく「楽器相談可」の物件も見てみるといいでしょう。
音楽大学生の一人暮らしという需要に合わせて、楽器相談可の部屋もある程度は見つけることができます。東京では上野や池袋、玉川上水など、大阪では梅田や庄内、新大阪といったエリアを探してみてください。
LIFULL HOME’Sで調べる
不動産検索サイトであるLIFULL HOME’Sでは、さまざまな物件の特集を組んでいて、「楽器可(相談)の賃貸特集」もあるのでぜひ活用しましょう。
さらに「専有面積○m2」「2階以上(上階)」など、たくさんのこだわり条件の中から検索物件を絞っていくことができます。
2020年6月17日時点での「楽器可(相談)」の物件数は、全国で1万6,698件、東京都では5,662件、大阪府では1,536件、福岡県では710件となっています。
大学名から賃貸を探す 楽器可(相談)物件内見時のチェックポイント

楽器相談可の物件でいい部屋を見つけられた場合、物件情報のみで契約するのではなく、できる限り内見をしましょう。演奏する楽器の種類や音量などが、その物件の設備で抑えられるのかを確認することが大切です。
内見の際には、以下の3つの項目をチェックしてください。
音の反響
楽器や声が振動することで、音の波が発生します。この音の波は、優れた防音性や遮音性がない場合には跳ね返りません。逆に言えば、音が反響するということは、外への音漏れがないということになります。
簡易的ですが、音の反響を確認する方法としては、楽器を演奏する予定の部屋の真ん中で手をたたいてみるといいでしょう。手をたたいたときの音が自分に大きく跳ね返ってきた場合には、ある程度の遮音性があると判断できます。
また、外の音がどのくらい聞こえるのかを確認したければ、ベランダに出たときと室内に入って窓を閉め切ったときを比較するといいでしょう。そのためにも内見は、日中の騒音が多いときに行うといいかもしれません。
壁の防音性
壁の防音性は、素材と厚みで決まります。鉄筋コンクリート(RC)造の物件では音を吸収してくれるので、木造より防音性が望めます。
RC造には、柱がなく、壁と床だけで建物を支えるものと、柱と梁で建物を支えるものの2種類があり、前者を壁式構造、後者をラーメン構造といいます。
壁式構造のほうが、壁がコンクリートで厚さがある分、防音性は高くなります。防音を意識する場合は、壁式構造であるRC造の物件を探すとより安心です。
また、部屋の壁を数回ノックしてみて軽い音だった場合は、石こうボードを採用しているかもしれません。石こうボードでは音が隣まですり抜けてしまいやすく、防音性は低くなります。
隣室との音の透過性を確認したければ、隣室が空いていれば不動産会社の方に隣室から音を発してもらうのが一番です。
窓の防音性
忘れがちなのが、窓の防音性です。楽器相談可の物件では、壁の防音性にあまり期待できないので、できれば二重サッシや複層ガラスなどが設置されている部屋を選ぶようにしましょう。シングルサッシでは音が漏れやすく、外の音も入ってきやすいです。
窓の見た目だけで判断するのが難しい場合は、不動産会社の担当者もしくは同行者にお願いして、音の聞こえ方や大きさを確認してください。部屋の中で手をたたいてもらい、自分は外へ行って確かめるという方法です。
楽器相談可の物件を探す際には、このように窓の防音性を確認することも大切なポイントです。
楽器可(相談)物件 オンライン内見ができる物件暮らすうえでの注意点とトラブル対策

楽器の音は、演奏する本人にとっては心地よいものですが、周りからすればただの騒音になりかねません。楽器相談可の物件を見つけて入居したものの、苦情が発生してしまった場合はどのようにしたらいいのでしょうか。
エレキギターや電子ピアノなど、ヘッドホンにつなげるタイプであればつないで演奏するという対応を取りましょう。また、楽器ごとに専用の消音器を使うのも手軽にできる防音方法のひとつです。
たとえば、トランペットやサックスなどの管楽器は、消音器を使うことで小さな音で練習ができます。
ほかにも、遮音性の高いカーテンに替える、防音シートを簡易的に壁に貼り付けるといった方法もあります。建物の構造によっては、緩衝材や吸音材を使用して、自分で防音や防振対策を行う必要もあるでしょう。
特に、振動が伝わりやすいピアノの場合は、下に防音マットや厚手のカーペットを敷いて、床から伝わる振動を防ぐことが大切です。
壁から隣の部屋へ漏れる音に対しては、本棚やクローゼットなど、できるだけ背の高い家具を壁際に置く方法も有効です。設置する際は、振動が伝わらないように壁にぴったりつけず、1㎝くらい離すようにしましょう。
まとめ
賃貸物件に住みながら楽器を演奏したいという人は、「楽器相談可」の物件も選択肢に入れておくといいでしょう。
ただし、演奏できる楽器の種類や時間帯が制限されていることが多いため、事前に大家さんに確認することが大切です。
また、その物件の大家さんや管理会社に、今まで音漏れによるクレームがどのくらいあったのか聞いてみましょう。騒音で近隣トラブルを招かないためにも、物件選びでは内見をしっかりと行いましょう。
楽器可(相談)物件 オンライン内見ができる物件公開日:










