働き始めて1ヶ月、手にする初めてのお給料。バイト代とは違う重みとともに、社会人になったことを実感するうれしい瞬間でもあります。

春から働き始めた新卒や社会人1年目の人の中には、初任給をもらい、新生活に慣れてきたタイミングで新居への引越しを考えている人もいるのではないでしょうか。

また、自分のお給料で無理なく生活するには、どのくらいの家賃の部屋に住むべきか悩んでいる人もいるかもしれません。

まずは平均的な初任給のデータをもとに、生活にかかるお金をシミュレーションし、最適な家賃について考えてみましょう。新社会人になり、これから一人暮らしを考えている人はぜひ参考にしてみてください。

 

厚生労働省の調査(※1)によると、新卒・社会人1年目の平均初任給は以下のとおりです。

 

令和元年の初任給

男性

女性

大学院修士課程修了

23万9,000円

23万8,300円

大学卒

21万2,800円

20万6,900円

高専・短大卒

18万4,700円

18万3,400円

高校卒

16万8,900円

16万4,600円

(※1)「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況 学歴別にみた初任給」

 

最終学歴によって違いはありますが、だいたい20万円前後が初任給の平均額です。しかし、この額がそのままもらえるわけではないので注意が必要です。

 

社会人になって給与の話をすると「年収」「月収」「額面」「手取り」という言葉が出てきます。それぞれの違いについて把握していますか? 大事なことなので、言葉の意味を改めて確認しておきましょう。

 

給与からは毎月税金(所得税や住民税など)や保険料(健康保険料や厚生年金保険料など)が差し引かれて支給されます。

 

この差し引かれる前の年間の総支給額が「年収」です。「月収」は年収を12ヶ月で割ったものです。「額面」とは、税金や保険料が引かれる前の支給額です。総支給額ともいわれ、意味はほぼ同じです。

 

「手取り」とは給与から税金や保険料が差し引かれ、実際に手元に入ってくる金額です。税金や保険料については、扶養家族の有無などで金額が変わります。独身の場合、額面の約75~85%が手取りといわれています。

 

上の初任給の表の額から、仮に額面の80%が手取り金額として計算してみると、以下のような金額になります。

 

初任給

額面(男性)

手取り(男性)

額面(女性)

手取り(女性)

大学院修士課程修了

23万9,000円

19万1,200円

23万8,300円

19万640円

大学卒

21万2,800円

17万240円

20万6,900円

16万5,520円

高専・短大卒

18万4,700円

14万7,760円

18万3,400円

14万6,720円

高校卒

16万8,900円

13万5,120円

16万4,600円

13万1,680円

 

実際に1人で生活をするためにはこの手取りの金額から、家賃や食費、水道光熱費などを捻出し、やりくりをすることになります。

 

一人暮らしの平均家賃については、住む場所によっても大きく変わります。

 

全国を対象にして行った一人暮らしに関する意識調査(※2)によると、18~29歳の一人暮らしにおける家賃は4万円台から6万円台が最も多く、平均では5.5万円でした。

 

(※2)全国宅地建物取引業協会連合会の平成29年度「一人暮らしに関する意識調査」

 

家賃を決める目安は「手取りの3分の1」といわれていますが、これはまだ日本経済が右肩上がりで、勤続年数が増えれば給料が上がり続けた時代の話。

 

リーマンショック(2008年)以降、給与所得者の平均年収は下がり続けているため、現在においてはあくまで簡易的な目安と考え、4分の1程度に抑えられるといいでしょう。

 

物件をいろいろと見ているうちに、自分の目安としている家賃以上の部屋に惹かれてしまうこともあります。

 

そんなとき「少しくらいオーバーしても、ほかを切り詰めれば…」と思いがちですが、家賃が手取りの3分の1を超えてしまうと、実際家計はかなり圧迫されてしまいます。そのため安易に決めず、しっかりとシミュレーションをして判断しましょう。

 

また、初任給の手取り金額を基準に、家賃を決めるのは要注意です。新卒の初任給の場合、社会保険料のうち健康保険と厚生年金は翌月控除としている会社が多く、初任給からは引かれません。

 

さらに住民税も、前年の1年間の収入に対して金額が算出され、12ヶ月で割った額が月々の給与から引かれる仕組みなので、1年目は引かれません。

 

つまり、2年目からの給与は住民税も引かれるので、1年目より給与が上がっていなければ、手取りが下がることも考えられます。

 

そのため、自分が払える家賃を考えるときに、1年目の手取り、ましてや初任給で判断してしまうと、あとあと支払いが大変になる可能性があるのです。

 

自分にとって理想的な家賃を知るには、まず毎月必ずかかる金額から逆引きで算出・検討してみましょう。家計は、毎月一定の金額を支払う「固定費」と月によって金額が変わる「変動費」に分類されます。

 

固定費と変動費の一般的な例としては、以下のものがあげられます。

 

固定費

住居費(家賃)、水道光熱費、通信費(携帯電話、スマートフォン、インターネットなど)、車関連費(車のローン、駐車場代)、その他のローン、定期購入しているもの(サプリメント、使い捨てコンタクトレンズなど)、定期支払いしているもの(ジムの月会費、スマートフォンアプリの月額課金など)など

固定費で大きな割合を占めるのは家賃です。水道光熱費に関しては使わなくても基本料金がかかるので注意しましょう。

 

車を持っている人は、駐車場代やガソリン代などの支出が加わります。ローンについては、学生時代に奨学金を受けたり、教材費などをローンで購入したりした人は月々の支払額が固定費に含まれます。

 

変動費

食費、日用品代、被服費、娯楽費、嗜好(しこう)品代、理美容費、交際費、医療費、交通費、ガソリン代、冠婚葬祭費など

変動費については、その人のライフスタイルや行動パターンによって大きく変わります。外食が多い人は食費に、趣味にお金をかけたい人は娯楽費が多くかかります。

 

固定費と変動費の割合については、収入に対して固定費は50%変動費は40%残りの10%を予備費や貯金にまわすのが理想的です。

 

では実際に、何にいくら程度かかるのか、シミュレーションをしながら詳しく見てみましょう。

 

これから紹介するシミュレーションは、平均的な大卒男性の手取り17万円をベースに、総務省統計局の家計調査(2017年)を参考にして、一般的にこれくらい使うだろうという想定値を計算したものです。

 

「自分はここまで食費にお金をかけない」などの個人差がありますので、自身の生活に合わせて調整してみてください。

 

  • 家賃:4万2,500円(17万円×0.25%)
  • 水道光熱費:1万1,000円
  • 食費:4万円
  • 通信費(スマホ・ネット):1万5,000円
  • 日用品雑貨代:2万円
  • 交際費:2万円
  • 洋服代:1万円
  • 貯金・予備費:1万1,500円

【合計:17万円】

 

家賃を抑えられると、生活にも余裕が生まれます。ただ、病気といった急な出費が発生する場合もあります。もしものときに備えて、普段から貯金を意識しておくことが大切です。

 

さらに、生活スタイルに合わせて、いろいろなパターンでシミュレーションをしてみましょう。

 

  • 家賃:4万2,500円
  • 水道光熱費:1万5,000円
  • 食費:3万円
  • 通信費:1万5,000円
  • 日用品雑貨代:2万円
  • 交際費:1万円
  • 洋服代:1万円
  • 貯金:2万円
  • その他:7,500円

【合計:17万円】

 

たとえば節約を意識して自炊する場合、食費は月3万円に設定できますが、水道光熱費は微増します。しかし、食費を抑えた分は貯蓄に回せる余裕も出てきます。

 

  • 家賃:4万2,500円
  • 水道光熱費:1万1,000円
  • 食費:6万円
  • 通信費:1万5,000円
  • 日用品雑貨代:2万円
  • 交際費:1万円
  • 洋服代:1万円
  • その他:1,500円

【合計:17万円】

 

逆に外食が多いパターンは、昼と夜、1食1,000円とすると、食費は自炊派の2倍の6万円ほどに。交際費や洋服代などを削らなければ、貯蓄に回せるお金はほとんど残らないでしょう。

 

  • 家賃:4万2,500円
  • 水道光熱費:1万1,000円
  • 食費:4万円
  • 通信費:1万5,000円
  • 日用品雑貨代:2万円
  • 交際費:5,000円
  • 洋服代:5,000円
  • 貯蓄:3万1,500円

【合計:17万円】

 

社会人になってしっかり貯蓄をしよう、と思っている人も多いと思います。貯蓄は残った金額を貯金にまわそうではなく、まずは貯蓄をする金額を引いてから、残ったお金でやりくりをするのが基本です。

 

最初から大きな金額を積み立てするのではなく、手取りの1.5~2割くらいを目標に、まずは無理のない金額から始めてみるのがいいでしょう。

 

以上のケース以外に、お金をかける項目は人それぞれです。趣味にお金をかけたい人は、その分、食費や洋服代を抑えるなど、自分のライフスタイルに合わせて調整してみてください。

 

物件については希望の条件はいくつかあるものの、家賃はできればなるべく安く抑えたいものです。家賃を抑えられる部屋を探すときのチェックポイントを紹介します。

 

1)LP(プロパン)ガスより安い都市ガス物件を選ぶ

2)初期投資を抑えるにはフリーレント物件や仲介手数料無料、敷金・礼金ゼロ物件を選ぶ

3)インターネット代が管理費や家賃に含まれている物件を選ぶ

4)急行や快速の停車駅の前後の駅を狙う

5)駅から徒歩10分以上の物件を狙う

6)築浅物件や新築物件は避ける

 

ただし、特に女性の場合はセキュリティの万全さが大きなチェックポイントになるので、家賃の安さだけで選ばないようにしましょう。

 

社会人になると、社内の飲み会や冠婚葬祭費などのイベントで、予想外の急な出費がかかることも。いざというときのために、予備費をキープしておくことが必要となります。

 

そのためにも日々の生活の中で、少しずつ出費を抑えておくことも大切です。すぐに実践できる節約術としては、以下のようなものがあげられます。

 

1)自炊する

2)飲み物は買わずマイボトル(水筒)を持ち歩く

3)こまめな節電を意識する

4)格安スマホに乗り換える

5)スーパーの特売をチェックしてまとめ買いする

6)ポイントを効率的にためる

7)フリマアプリなどを活用して不用品は捨てずにお金にかえる

 

あまり節約にこだわりすぎると、生活の楽しさも半減してしまいます。自炊をしても調味料に凝ってみるなど、お金を使うところと節約するところを決めて、メリハリをつけることも大切です。

 

生活の中で楽しく節約術を取り入れてみましょう。

 

社会人になったらすぐに、学生のときよりランクアップした生活がしたい! そう思う気持ちも分かりますが、すぐに高い家賃の部屋に引越しをしたり、高額な家財道具を購入したりするのはやめておいたほうがベターでしょう。

 

社会人1年目はどんなものにどれくらいお金がかかるのか、手探り状態です。まずは自分にとって適正な家賃の物件を選び、毎月予備費が少しでも残るくらい、余裕をもって生活することが望ましいでしょう。

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