国土交通省「令和5年度マンション総合調査」によると、居住者同士のマナーをめぐるトラブルの原因として、生活音に関するものが最も大きな割合を占めています。
近隣と良好な関係を築くためには、防音性の高い物件を選ぶこともひとつのポイントです。
今回は、鉄骨造の物件の防音性について、木造や鉄筋コンクリート造と比較をしながら解説していきます。
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種類別に見る建物の構造と特徴
賃貸物件で主に見かける構造の種類としては、鉄骨造(S造)のほかに木造、鉄筋コンクリート造(RC造)があります。それぞれの特徴と違いについて見ていきましょう。
家賃設定が低めの「木造」

木造とは、建物の主要構造部を木材でつくった建築物のことを指します。
工期が比較的短いため、建設コストを抑えられるのが特徴です。通気性が良く、湿度が保たれやすい点が大きなメリットだといえます。
賃貸アパートは木造建築であることが多く、建設コストがかかるマンションと比べて家賃が安い傾向にあります。

強度の高い「鉄筋コンクリート造」

鉄筋コンクリート造の最大の強みは、耐久性に優れている点にあり、ビルやマンションなどの中高層の建物に多く用いられています。
コンクリートに強度の高い鉄筋を埋め込んでつくられた鉄筋コンクリート造と、それに加えて鉄骨を使用した鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)があり、どちらも断熱性が高い点が大きな特徴です。
ただし、建設コストがかかるため、家賃も高額になりやすい一面があります。また、コンクリートは気密性が高いため、木造と比べて湿気がこもりやすく、カビや結露が発生しやすいのが難点です。

鋼材の大きさによって特徴が異なる「鉄骨造」

鉄骨造とは建物の骨組みに鉄骨を使っている構造です。
鉄骨造は鉄骨の厚みによってさらに2つの種類に分けられ、6mm以上の鋼材が使われていれば「重量鉄骨造」、6mm未満の鋼材が使われていれば「軽量鉄骨造」となります。
重量鉄骨造は、少ない建材でも大きな荷重を支えられるため、壁の位置や間取りを自由に設計しやすいのが大きな特徴です。ホームセンターなどの大型の店舗や工場、体育館などに用いられることが多いものの、住宅においても広いフロアをつくる際に使われます。
軽量鉄骨造はアパートやマンションにも使われていることが多く、設計の工程が少なくて済むことから、家賃を比較的安く抑えられる点が魅力です。
木造とは違ってシロアリなどの害虫問題が起こりづらく、鉄筋コンクリート造のように結露が起こる心配もあまりありません。

鉄骨造の防音性はそれほど高いわけではない
建物の構造において、もっとも高い防音性が期待できるのは鉄筋コンクリート造だといえます。壁や床に使用されているコンクリートが生活音を遮断してくれるため、騒音トラブルを回避しやすいのです。
一方で木造の物件は防音性がそれほど高くなく、物件によっては生活音に悩まされてしまうケースもあります。
木材にはコンクリートのような遮音性がないため、近隣とのトラブルを避けるためにも、十分に配慮して生活を送ることが大切です。
鉄骨造は木材と比べてつくりは頑丈であるものの、防音性についてはあまり大きな違いがありません。
重量鉄骨造は軽量鉄骨造と比べて、多少の防音効果は期待できるものの、鉄筋コンクリート造ほどの遮音性能はないのです。
そのため、鉄骨造の物件を選ぶうえでは、騒音対策について気を配ることが重要となります。

内見前に知っておこう! 防音性の高い部屋選びのポイント

構造タイプが同じでも、部屋のつくりによって防音性には違いが生まれるため、特に木造や鉄骨造の物件では内見のタイミングで慎重に判断することが大切です。
ここでは、防音性の高い物件選びのコツについて解説していきます。
騒音トラブルになりにくい部屋の特徴
自分の部屋からの騒音が気になってしまう人は、1階の角部屋を選ぶことで、トラブルが生まれるリスクを軽減できます。
床下への音が気になってしまうなら、階下が店舗などになっている物件を選ぶのもひとつの方法です。
また、隣の居室との間にお風呂やトイレ、収納場所があるつくりであれば、通常の生活音が伝わるのを防ぐことができます。間取り図の段階で、しっかりと部屋のつくりを確認しておきましょう。

内見のタイミングで気をつけるべきポイント
内見のタイミングでは、手をたたいて部屋の遮音性を確かめてみることもできます。音が響くのであれば、部屋の音が隣へ伝わらずにきちんと遮断されていると考えられるのです。
一方、音が響かない場合は、壁に吸音されている可能性とともに、隣の部屋へ抜けてしまっているケースも考えられます。
そこで、壁そのものの防音性がどの程度期待できるのか、壁を軽くたたいて音の高さを確認してみましょう。
ゴツゴツと低い音がしたときには、壁の中に防音材や遮音材などが使われている場合があり、防音性が期待できます。
反対に高い音がしたり軽い感触がしたりしたときには、防音性がそれほど高くない可能性が高いでしょう。

防音性アップ! 自分でできる簡単な騒音対策

防音性の低い鉄骨造の物件においては、実際に生活を送るうえで騒音対策を行うことも大切です。
床や窓、壁に音が伝わりづらい工夫を凝らすことで、生活音が響くのをある程度抑えることができます。
床は、毛足の長い厚手のカーペットや防音カーペットを敷くことで、階下へ伝わる足音などを防ぐことが可能です。
また、窓には遮音性の高い防音カーテンを用いたり、背の高い家具を壁際に配置したりするだけでも、周囲に伝わる生活音をある程度遮断できます。
騒音が気になってしまう場合は、家具の置き方にも気を配るといいでしょう。

鉄骨造の特徴と防音方法を知り、静かな暮らしを実現させよう
- 木造や鉄筋コンクリート造、鉄骨造は建設コストや特徴に大きな違いがある
- 鉄骨造には軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類がある
- 鉄骨造は防音性についてはそれほど期待できない
- 間取り図を見たり内見をしたりするタイミングで防音について確かめることが大切
- 工夫次第では自身で部屋の防音性を高めることもできる
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更新日: / 公開日:2020.03.05










