家族や友人が賃貸物件の契約をする際に、“保証人としてサインをしてほしい”と求められることがあります。書面にサインをするだけで簡単に保証人になれますが、契約者が家賃滞納をした場合には保証人に支払い義務が命じられることもあります。
保証人は、契約者の代わりとなって家賃の滞納分を支払わなくてはいけないのでしょうか。今回は保証人契約や、家賃滞納の際に生じる保証人の義務について解説します。
保証人不要の物件家賃・賃料6万円以下の快適物件
保証人とは?
まずは保証人についてご説明します。賃貸借契約において支払いが義務付けられた主債務者が債務を行わなかった場合、主債務者の代わりに債務を行う義務を負担することを“保証人契約”といい、これに該当する人を“保証人”といいます。
賃借人が家賃滞納をした場合、保証人は請求される?

賃借人である債務者が家賃滞納をした場合、保証人は滞納分の家賃を代わりに支払わなくてはいけないのでしょうか?
保証人は“催告の抗弁権”と“検索の抗弁権”という権利を有しており、この2つの権利によって債務者の家賃滞納による請求を断ることが可能となるケースがあります。それぞれの権利について詳しくみていきましょう。
◇催告の抗弁権
催告の抗弁権とは、家賃滞納が発覚した場合、まず先に賃借人である債務者本人に請求を求めるよう要求できる権利です。
保証人契約において、主債務者が支払いを行わない場合に、主債務者の代わりとなって対処するのが保証人の役割です。しかし、家賃を請求する側である賃貸物件のオーナーまたは管理会社(=債権者)は、まず債務者に請求しなければいけません。
主債務者に請求せず、保証人に請求した場合、保証人側は「まずは主債務者本人に請求してください」と要求することができます。
◇検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、保証人が「まずは主債務者本人の財産から返済を求めてください」と言える権利です。
家賃滞納をしている主債務者に財産があり、返済が可能と立証された場合には、保証人に支払いを求めるのではなく、主債務者の財産から返済することになります。
つまり保証人は、万が一自分のもとへ主債務者の滞納による請求が届いたとしても、主債務者に支払い能力があることを証明できれば、自分への請求を拒否できるということです。
主債務者の財務状況によって支払いの可否が決まる
保証人が持つこの2つの権利によって、家賃滞納が発覚した際に保証人に請求が届いたとしても、まずは主債務者に請求するよう返すことができ、主債務者に返済できる能力がある場合は代わりに支払う必要はありません。
ただし、これは主債務者の財務状況を立証できた場合にのみ適用されます。主債務者に返済能力がないと見なされた場合には、保証人が代わりとなって請求に応じなければいけないので、くれぐれも注意しましょう。
保証人不要の物件 家賃・賃料6万円以下の快適物件“連帯保証人”と“保証人”の違いとは?

一方、保証人とよく混同される言葉として“連帯保証人”というものがあります。
連帯保証人とは、主債務者と連携して債務を負担することを約束する連帯保証契約を結んでいる人のことです。
保証人と有する権利が異なり、債務者に家賃未納といった問題が発生した場合の対応が違ってきます。後々のトラブルを避けるためにも、違いを理解しておきましょう。
連帯保証人の場合は、主債務者に支払い能力があっても拒否できない
連帯保証人の場合は、主債務者が家賃滞納した場合、主債務者に代わって支払う義務が生じます。連帯保証人には、保証人が有する“催告の抗弁権”と“検索の抗弁権”の権利がないため、家賃滞納の請求が届いた場合に断ることができません。
また、主債務者に支払い能力があったとしても拒否ができないため、請求を受けると主債務者の代わりに滞納分の家賃を支払わざるを得ません。また主債務者本人に財産があったとしても、連帯保証人の財産が押さえられてしまう可能性もあります。
損害賠償金も請求される対象に
家賃滞納だけでなく、契約解除日を過ぎても部屋を明け渡さない場合、解除日から実際に明け渡す日まで通常の家賃の2倍相当の損害賠償を請求されることがあります。連帯保証人の場合は、損害賠償金も請求される対象となりますので、十分に注意してください。
また、家賃滞納に限らず、共益費や管理費についても同様に請求される場合があります。ただし、水道や光熱費については、別途水道局やガス会社、電気会社と個別に契約を結ぶことが多いため、主債務者である契約者本人が単独で責任を負うのが一般的です。
保証契約時は必ず“保証人”か“連帯保証人”かの確認を
保証人の場合は、主債務者からの家賃滞納などによる請求を断れる可能性がありますが、連帯保証人の場合は請求を断ることができません。
アパートやマンションなどの賃貸物件においては、保証制度だけでは家賃の回収ができない可能性があるため、連帯保証契約を結ぶことを推奨してくるところも多いです。
保証契約をする際は、自分が“保証人”と“連帯保証人”のどちらとして契約するのか、しっかりと確認してから行うようにしましょう。
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