住まいの選択で「賃貸と購入」のどちらが良いのか、どちらが得なのか、昔から議論されながら、永遠に答えがみつからないテーマなのかもしれません。人々の価値観が多様化した現代なら、なおさら難しい問題でしょう。

人によって考え方はさまざまですが、賃貸のメリットとしてまず挙げられるのは柔軟性です。

 

仕事や家族の都合で住み替えることが容易なほか、長期間にわたる住宅ローンの支払いに拘束されることがなく、収入が減ればそれに見合った賃料の物件に移り住むことも可能です。
近隣との対人関係などでトラブルがあったときも、賃貸であればすぐに逃れることができるでしょう。

 

一方、家を購入することのメリットとしては、住宅ローンの支払いさえ終われば老後の生活が安定しやすい、資産として子供に残すことができる、社会的な信用に繋がりやすい、自分の好みに合った内装やリフォームができる、賃貸物件と比較して平均的に建物グレードが高い、物件次第ですがイザというときに他人に貸して賃貸収入を得られる、などといった点が挙げられます。

 

それぞれのメリットの反対を考えれば他方のデメリットになりますが、自分の身の丈に合った物件を選ばないと、どちらの場合であっても生活が破綻するリスクを伴います。

 

賃貸と購入

賃貸と購入

賃貸と購入とを比較するとき、同じ立地、同じ広さ、同じグレードの住宅で考えることが大切です。

 

賃貸の平均的物件よりも購入の平均的物件のほうが広くてグレードが高いため、平均像の比較で金銭の負担を考えてもあまり意味がありません。

 

このとき、一つの参考指標となるのが不動産を貸した場合の利回りです。現在、新築物件の利回りは4~5%、築20年前後の中古物件の利回りが8~10%といったところでしょう。
利回りが5%ということは20年分の家賃で購入できることになります。

 

同様に、利回りが10%であれば10年分の家賃で購入できるのです。
もちろん、購入した場合には住宅ローンの金利、固定資産税や都市計画税の負担、マンションであれば管理費や修繕積立金、一戸建て住宅であれば相応のメンテナンス費用などの負担も考えなければなりません。

 

そのような費用を含めて新築物件の場合における負担金額を試算すると、およそ30年程度で賃貸も購入も同じ水準となることが多いでしょう。
その後は賃貸のほうが負担は年々増え続けます。また、購入した場合にはたとえ将来的に値下がりしたとしても、ある程度は資産として残り、賃貸を続けた場合には何も残らないということになります。

 

しかし、このような試算はあくまでも金利や家賃の水準がこれからも変わらないことを前提としたものに過ぎません。
今後の社会情勢の変化によって大きく異なることもありますから、結果的にどちらがお得だったのかは、数十年後になってみなければ分からないことです。

 

将来は親の家を相続して移り住む予定の人であれば、それまで賃貸で過ごしたほうが得ということもあるでしょう。

 

将来、何が起きるのか誰にも分かりませんから、住宅を購入した場合でも賃貸の場合でも不安はつきまといます。購入して住宅ローンを抱えれば、「収入が減ったときにどうなるだろうか」「金利が上がったらどうしようか」と悩むことも多いでしょう。

 

不動産相場が下落することで、売りたくても売れない状況に陥ることを不安に思うことがあるかもしれません。一方、賃貸であれば自分たち夫婦がともに高齢となったとき、はたして住む家があるのかどうかが問題です。

 

高齢者向けの賃貸住宅が増えつつあるとはいえ、決して無料ではありません。どんなに高齢になっても家賃の支払いが続けば、年金だけで生活できるかどうか不安です。
年老いてからの不安を和らげるためには、住宅を購入して早めに住宅ローンの支払いが終わるような生活設計を考えることも必要です。

 

年金だけの収入になっても住宅ローンの支払いが続くようなら、逆に賃貸生活を続けて貯蓄を優先することも考えなければなりません。老後までしっかりと視野に入れたプランのもとに、賃貸か購入かをよく見極めることが大切です。

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