東日本不動産流通機構の調査によれば、2020年における首都圏の中古一戸建て住宅の成約件数が4年ぶりに過去最高を更新しました。中古マンションは供給数(市場に売り出される数)が減少しているため成約数こそ減っていますが、価格や平米単価は8年連続で上昇しており、ますます人気が高まっていることが分かります。

今回はそんな中古住宅について、デメリットに触れながら、購入時に注意すべきポイントを詳しく見ていきましょう。

中古一戸建てのデメリット

 

まずは、中古一戸建てのデメリットについて詳しく解説します。

中古の一戸建ては、購入後の維持費や修繕費用がかさみやすい点がデメリットです。新築と比べて、設備や建物が劣化するタイミングが早まるので、購入してからすぐに修繕費がかかってしまうこともあります。

 

特に、ある程度の築年数が経過した物件では、耐震性などの問題から、安全に住むためにリフォームが前提となるケースも多いです。そのため、購入時には建物や設備の状態を細かくチェックして、修繕費用やメンテナンスコストも含めた資金計画を立てることが大切です。

住宅ローンの審査では、購入する物件の担保価値も重要な評価対象となります。新築と比べて中古は評価が下がってしまうので、築年数や状態によってはローンの審査が厳しくなることもあるのです。

 

また、住宅ローン控除などの各種優遇制度には、新耐震基準以降など建物の年数に関する条件が設けられているものもあります。事前に制度の要件をチェックしておくことも大切です。

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中古マンションのデメリット

 

続いて、中古マンションのデメリットを見ていきましょう。

マンションは一戸建てと異なり、共用部分を管理・保全するための管理費や修繕積立金がかかります。特に、修繕積立金は築年数が古くなればなるほど金額が高くなる傾向があります。

地震が多い日本では、耐震性に関わる基準がたびたび厳格化されていますが、そのなかでも特に大きな変化が1981年から導入された「新耐震基準」です。それまでの耐震基準は「旧耐震基準」と呼ばれ、旧耐震基準で建てられた建物は、現行の耐震基準よりも低い水準で建てられているケースが多いので注意しましょう。

 

ただし、旧耐震基準で建てられたマンションにも、補強工事などによって新耐震基準と同等の耐震性を持つ物件もあります。

中古マンションは中古の一戸建てと比べても、築年数がより経過している物件の取扱数が多いのが特徴です。そのため、建物や共用部分に問題がなくても、室内設備の劣化が進んでいる場合も少なくありません。

 

室内の設備は日常生活に直結する要素なので、築年数が経過した物件を購入する際には、できるだけ新品への交換費用を含めて購入代金を検討しておくと安心です。

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中古住宅のメリット

 

デメリットさえ解消できれば、中古住宅が最良の選択肢となるケースも決して少なくありません。ここでは、中古住宅のメリットを解説します。

まずは、何といっても新築より安い価格で購入できるのが大きなメリットです。新築と同じ価格設定であれば、より利便性の高い立地やより広い家も視野に入るため、住まい選びの選択肢が一気に広がります。

中古住宅を購入する人のなかには、購入代金を抑える代わりに、リフォームやリノベーションにお金をかけて自分好みの住宅を実現するといった選択をするケースも多いです。大規模なリノベーションであれば間取りなども変えることができるので、建て売りの一戸建てや新築マンションよりも、自分に合った住まいを手に入れられる可能性があります。

どちらかといえばマンションにおけるメリットですが、中古は新築と比べて実物を見ることができるため、共用部分の管理状態などを確かめられるのが利点です。「マンションは管理を買え」といわれるほど、管理状況やメンテナンスは重要な要素の一つですが、新築では購入前に実態を確認することができません。

 

中古であれば、購入前に管理体制や入居者の質などもある程度確かめられるので、その点については安心感があります。

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不動産会社に相談する

 

中古住宅の購入時には、具体的にどのような点に気をつければいいのでしょうか。ここでは、購入前に理解しておくべき注意点について解説します。

これまでも見てきたように、中古住宅は新築と比べて設備の交換や建物の修繕が必要となるタイミングが早いです。そのため、修繕費用なども含めたトータルコストで資金計画を立てることが大切です。

リフォームやリノベーションを前提としている場合は、最初から不動産会社に相談しながら購入を進めるのがポイントです。なぜなら、購入する物件によっては、「構造上の問題から一部の柱や壁が撤去できない」「法令上の制限の問題から増築不可能」といった可能性もあるためです。

 

また、マンションの場合は管理規約などの面から、リフォーム内容に制限がかかってしまうケースもあります。そのため、リフォーム・リノベーションについても詳しい不動産会社を選び、専門的な観点からアドバイスをもらえると安心です。

「瑕疵保険」とは、購入した住宅に欠陥が見つかった場合に、その補修費用などに対して保険金が支払われる仕組みです。中古住宅の購入時に売主に依頼して加入すれば、最長で5年間まで保証が受けられます。

 

加入時には専門の検査員による建物の調査を受ける必要がありますが、加入できれば購入後の一定期間、安心して居住できるようになります。

 

「ホームインスペクション」とは、住宅診断士などの第三者の専門家が建物や設備を検査し、劣化の度合いや不具合の有無を調査するサービスです。売主や不動産会社ではなく、第三者による診断結果が確認できるので、中古住宅を購入するときにはとても心強い制度といえます。

 

2018年からは、仲介取引において不動産会社が購入者にホームインスペクションの仕組みを説明することが義務付けられるなど、本格的な導入が進んでいます。費用自体は一件当たり3万~5万円が相場です。安心して取引できることを考えると、決して高い金額ではありません。

中古物件を探す

 

中古住宅の購入を進めるときには、デメリットを十分に理解して、できるだけ状態のいい物件を見極めることが大切です。最後に、安心できる中古物件を探すときに役立つサービスをいくつかご紹介します。

中古マンションを探すときには、LIFULL HOME’Sの特集が役に立ちます。そのうちの一つが、「LIFULL HOME’S住宅評価物件」です。

 

この特集では、あらかじめインスペクションが行われた中古マンションだけを絞り込み、さまざまな地域の物件を掲載しています。特集内の物件はすべて検査結果を確認できるため、建物の状態や価格の妥当性をチェックしながら、優れた品質のマンションを効率的に探すことができます。

「マンション管理評価書付き物件」も、中古マンションを探すときに役立つ特集です。「マンション管理評価書」とは、「管理組合の運営状況」や「建物設備の維持管理状況」「修繕計画」といったマンション管理における重要なポイントを専門家が評価した結果のことです。

 

マンションの管理状況はこれまで一般公開されておらず、購入前に確認することは難しいのが実情でした。しかし、LIFULL HOME’Sでは不動産情報ポータルサイトで初めて、誰でも管理評価を見られるようにサービスを整えています。

 

中古マンションは同じ築年数であっても、管理・修繕の度合いによって住み心地や耐久性、資産価値に大きな差が生まれることが少なくありません。購入前に管理評価書を確認すれば、状態のいいマンションだけに絞って候補を探すことができるので安心です。

LIFULL HOME'S住宅評価物件

中古物件イメージ

 

  • 中古一戸建ては購入後の維持費や修繕費も見込んで資金計画を立てる
  • 住宅ローン審査や各種優遇措置の要件が厳しくなるので事前に調べておく
  • 中古マンションは修繕積立金が高くなりやすい点に注意が必要
  • 中古住宅は購入費用を抑えてリノベーションに費用をかけられるのがメリット
  • ホームインスペクションや管理評価書などの仕組みも理解しておくと安心
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