物価も家賃も上がるなか「敷金・礼金」の動向は?

物価や電気代などの上昇が続くなか、賃貸物件の賃料も上昇傾向となっている(※1)。一方で実質賃金はマイナスが続いていることもあり、経済的に不安を抱いている人も多いのではないだろうか。住まいを借りる際、イニシャルコストとして大きな負担になるのが敷金と礼金だ。そこで、近年の敷金・礼金の動向を調査した。本稿では、近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府)の動向をまとめる。首都圏についてはこちらの記事を参照いただきたい。

※1:「LIFULL HOME'Sマーケットレポート 2024年1~3月 まとめ版」より

【敷金】の動向

敷金とは、賃貸物件の契約の際に、家賃の不払い時などに備え徴収されるお金のこと。賃貸契約の終了時には、未払いの賃料などがなければ返金されるのが通常だ。

「敷金0物件」割合推移: 全賃料帯で増加傾向。賃料10万円未満は4分の3が敷金0物件

LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件のうち、敷金0(ゼロ)物件の割合を賃料帯別に出したところ、全賃料帯において増加傾向となった。特に賃料20万円未満の物件ではコロナ禍に入った2020年の伸びが大きく、5類感染症移行後も増加を続けている。

近畿圏 賃料帯別 敷金0物件 シェア推移近畿圏 賃料帯別 敷金0物件 シェア推移

敷金の平均値推移:全賃料帯で減額傾向。賃料20万円未満の物件では平均が1ヶ月分を下回る

LIFULL HOME'Sに掲載された「敷金あり」物件の敷金の平均値を賃料帯別に算出したところ、全賃料帯において減額傾向となった。2023年の平均敷金は0.82~1.01ヶ月分となっており、賃料20万円未満の物件では平均が1ヶ月分を下回っている。

近畿圏 賃料帯別 敷金0物件 シェア推移近畿圏 賃料帯別 敷金 年次推移

【礼金】の動向

礼金とは、賃貸物件の契約の際に、「賃貸人(大家)へのお礼」を込めて渡すお金のこと。敷金契約が終了しても通常、返金はされない。

「礼金0物件」割合推移:賃料15万円未満の物件ではゆるやかに増加も、15万円以上では停滞

LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件のうち、礼金0(ゼロ)物件の割合の推移を賃料帯別に見ると、賃料帯によって動向が分かれた。すべての賃料帯で増加傾向だった敷金0物件とは異なる傾向だ。賃料15万円未満の物件では礼金0物件の割合がゆるやかに増加し続けている一方で、15万円以上20万円未満の物件では2023年に減少に転じている。20万円以上の物件では2022年に減少、2023年に若干増加するなど、6年間を通して大きな増減はない。賃料10万円未満の物件でも直近(2023年)のシェアは27.8%にとどまっており、首都圏と比べて近畿圏では礼金0物件は少数派といえそうだ。

近畿圏 賃料帯別 礼金0物件 シェア推移近畿圏 賃料帯別 礼金0物件 シェア推移

礼金の平均値推移:全賃料帯で減額傾向に。賃料20万円未満の物件では特に大きく減額

LIFULL HOME'Sに掲載された「礼金あり」物件の礼金の平均値を賃料帯別に見ると、近年は全賃料帯において減額傾向となっている。なかでも賃料20万円未満の物件でより大きく減額となっている。

近畿圏 賃料帯別 礼金0物件 シェア推移近畿圏 賃料帯別 礼金 年次推移

調査概要

・対象エリア: 大阪府、兵庫県、京都府
・対象物件:LIFULL HOME'Sに掲載された居住用賃貸物件
・対象期間: 2018年1月~2023年12月

公開日: