物価も家賃も上がるなか「敷金・礼金」の動向は?
現在、売買市場における物件価格は首都圏を中心に高止まり、連動して賃貸物件の賃料も上昇傾向となっている(※1)。物価や電気代などの上昇も続くなか、経済的な不安を抱いている人も多いのではないだろうか。住まいを借りる際、イニシャルコストとして大きな負担になるのが敷金と礼金だ。そこで、近年の敷金・礼金の動向を調査した。本稿では、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の動向をまとめる。
※1:「LIFULL HOME'Sマーケットレポート 2024年1~3月 まとめ版」より
【敷金】の動向
敷金とは、賃貸物件の契約の際に家賃の不払い時などに備え徴収されるお金のこと。賃貸契約の終了時には、未払いの賃料などがなければ返金されるのが通常だ。
「敷金0物件」割合推移: 賃料20万円未満の物件では増加傾向、20万円以上では踊り場に
LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件のうち、敷金0(ゼロ)物件の割合の推移を賃料帯別に出した。すると、賃料20万円未満の物件ではその割合が増加傾向に。なかでも賃料10万円未満の物件では2018年に35.6%だったところ、2023年には53.2%と17.6ポイント増加している。一方で、20万円以上の物件でも増加傾向にあったものの、2023年は減少に転じており、踊り場に差しかかっているようだ。
敷金の平均値推移:全賃料帯において減額傾向、賃料の高い物件ほど減額幅が大きく
LIFULL HOME'Sに掲載された「敷金あり」物件の敷金の平均値を賃料帯別に算出した。全賃料帯においてコロナ禍の2020年から2021年にかけて大きく減少し、その後は緩やかに減少、停滞している。特に賃料20万円以上の物件では、2018年は1.52ヶ月分だったのに対し、2023年では1.18ヶ月分と0.34ヶ月分の減額が見られた。
【礼金】の動向
礼金とは、賃貸物件の契約の際に、「賃貸人(大家)へのお礼」を込めて渡すお金のこと。敷金契約が終了しても、通常返金はされない。
「礼金0物件」割合推移:直近は全賃料帯で減少。10万円未満の物件でも半数を割る
LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件のうち礼金0(ゼロ)物件の割合は、直近1年間すべての賃料帯で減少しており、すべての賃料帯で増加傾向だった敷金0物件とは異なる傾向となった。15万円以上の物件では近年増加傾向だったものの、2023年には減少に転じており、15万円未満の物件では一時的な停滞がありながらも5年間を通じて減少傾向が続いている。
礼金の平均値推移: 直近は全賃料帯で増額
LIFULL HOME'Sに掲載された「礼金あり」物件の礼金の平均値を賃料帯別に算出したところ、直近1年間は全賃料帯において増額傾向となった。賃料10万円未満の物件では2020年、10万円以上20万円未満の物件では2021年、20万円以上の物件では2022年を境に増額に転じている。
調査概要
・対象エリア:一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
・対象物件:LIFULL HOME'Sに掲載された居住用賃貸物件
・対象期間: 2018年1月~2023年12月
公開日:






