初めての一人暮らし、テレワーク中心の生活なら郊外駅も視野に
コロナ禍以降、「LIFULL HOME`S 借りて住みたい街ランキング」では上位駅の顔触れに変化が見られる。※1:「LIFULL HOME'S 住みたい街ランキング2022」https://www.homes.co.jp/cont/s_ranking/新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、働き方は多様化した。毎日都心のオフィスに通う人もいれば、毎日自宅でテレワークを行う人、週の半分は出社し、半分は自宅で仕事をする人もいるだろう。
それに伴い、住まい選びの基準も変化が見られる。LIFULL HOME'Sが発表した「借りて住みたい街ランキング」(※1)では、2019年・2020年に1位だった「池袋」駅に代わり、2021年・2022年は「本厚木」駅が2年連続首位となった。「本厚木」駅から都心の主要駅への所要時間は1時間ほど。仕事空間の確保のため、比較的広い部屋が借りられる郊外に関心を持つ層が一定数増えている結果ととれる。
春は一人暮らしの新居を探す人が増える時季。LIFULL HOME`S PRESSでは、テレワークが中心となる新生活を想定し、「都心から多少離れても家賃を抑えたい」「駅前で生活に便利なものがそろう街がいい」「仕事の合間に自宅近くでリフレッシュできる環境がいい」といったニーズに応えるべく、「【一人暮らし×テレワーク編】住みやすさのわりに家賃が安い駅ランキング2023」を実施した。ランキング概要を見ていこう。
【一人暮らし×テレワーク編】住みやすさのわりに家賃が安い駅ランキング2023 概要
自宅で働く人が増えたとはいえ、週に数回は出社や打合せのために都内へ出向く人も多いだろう。今回のランキングではそのようなライフスタイルを想定し、対象駅は全国ではなく1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の全駅とした。
また、「駅周辺の施設充実度(※2)が高い」ことを「住みやすい」と定義し、不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME'Sの独自データをもとに、各駅から徒歩15分圏内の単身世帯用物件の平均家賃とその駅周辺の施設充実度から「理論家賃(駅周辺の住みやすさに見合う妥当な家賃)」を算出。その理論家賃と比べて実際の平均家賃が安い駅をランキングにした。 これはテレワーク中心のライフスタイルを想定した際に、「住環境が優れているわりに、家賃を抑えて一人暮らし用の物件を借りられる駅」を表しているといえる。
※2:駅周辺の施設充実度は、LIFULL HOME'S住まいインデックスで用いられるWalkability Index(ウォーカビリティインデックス)の総合スコアを参照。
Walkability Indexとは:駅から徒歩15分以内でアクセス可能な施設(スーパー、コンビニ、公園、飲食店、カフェ、文化施設、子育て・教育施設、医療施設など)を、分類ごとの周辺立地数をもとに、その充実度を100点満点でスコア化したもの。東京大学・株式会社日建設計総合研究所が共同で研究・開発を進めている、不動産の立地環境を暮らしやすさの観点から指標化した日本初のデータ。
1位 柏駅、2位 京成千葉駅、3位 千葉駅。千葉県の主要駅がトップ3に
ランキング1位は「柏」駅(JR常磐線・千葉県柏市)、2位は「京成千葉」駅(京成千葉線・千葉県千葉市)、3位は「千葉」駅(千葉都市モノレール・千葉県千葉市)。千葉県の中核市である柏市の中心駅と、千葉県を代表する主要駅がトップ3に名を連ねる結果となった。
1位となった「柏」駅は、千葉県北西部に位置する千葉県有数のターミナル駅である。駅周辺一帯も商業集積地となっており、「柏」駅の「駅周辺充実度(駅から徒歩15分以内でアクセス可能な施設数をスコア化したもの)は、100点満点のうち86(※3)。カテゴリー別では「パン」のスコアが90、「飲食店」のスコアが88と、一人暮らしの食生活を支えるお店が駅前にそろうのもうれしいポイントといえる。駅周辺だけでも日常の買い物から休日のレジャーまでまかなえる幅広い魅力がある街だ。
その一方、「柏」駅は今回の対象駅の中で、駅周辺充実度から算出した理論家賃(11.32万円)よりも実際の平均家賃が最も安く、6.98万円であった。これは「柏」駅の住環境から見た妥当な家賃に対し、4.34万円安い家賃相場で借りられる可能性があることを意味している。平均家賃6.98万円は上位トップ10の中でも、7位「平塚」駅に次ぐ2番目に低い金額だ。
また、通勤時間帯には「東京」駅までJR常磐線で約40分、「品川」駅には約50分で到着する。毎日通勤するにはやや遠いと感じる人もいるかもしれないが、週に何日かの出社であれば、通勤時間と家賃とのバランスがいい街と捉える人も多いかもしれない。
※3:LIFULL HOME'S住まいインデックス「柏駅の住まいと暮らしやすさ」
https://lifullhomes-index.jp/info/areas/chiba-pref/01045-st/
柏駅の賃貸物件
https://www.homes.co.jp/chintai/chiba/kashiwa_01045-st/list/
2位は「京成千葉」駅。理論家賃と平均家賃との差額はマイナス4.25万円と、「柏」駅に続き2位となった。「京成千葉」駅は「柏」駅と同様、駅前に百貨店などの大型商業施設が集積しており、日常の買い物に困らない街だ。京成線の高架下にはグルメやファッションの専門店街である「千葉ショッピングセンターC・one」が広がり、地元住民に利用されている。「駅周辺充実度」は87、中でも「飲食店」スコアは87、「弁当・惣菜」スコアは95と、仕事や学業に忙しい一人暮らしにとって外食や中食を楽しみやすい環境といえるだろう。
また、京成電鉄千葉線のほか、近接するJR「千葉」駅の各線や千葉都市モノレール「千葉」駅へも徒歩圏内と、交通利便性に優れる街でもある。
※4:LIFULL HOME'S住まいインデックス「京成千葉駅の住まいと暮らしやすさ」
https://lifullhomes-index.jp/info/areas/chiba-pref/04923-st/
京成千葉駅の賃貸物件
https://www.homes.co.jp/chintai/chiba/keiseichiba_04923-st/list/
3位にランクインしたのは、都心方面へ向かう各路線が集結するターミナル駅「千葉」駅。優れた交通利便性も大きな魅力だが、「千葉駅周辺の活性化グランドデザイン」を掲げて進められてきた商・住一体型の大規模な駅前再開発によって、駅の周辺環境はここ数年でより便利に発展を遂げている。
一方、「千葉」駅のここ3年の家賃相場の上昇率は千葉県の平均と同水準で、駅周辺の施設充実度が同程度の「大宮」駅や「町田」駅と比べると1万円ほど安く一人暮らし用の部屋を借りられる結果となっている。
※5:LIFULL HOME'S住まいインデックス「千葉駅の住まいと暮らしやすさ」
https://lifullhomes-index.jp/info/areas/chiba-pref/00208-st/
千葉駅の賃貸物件
https://www.homes.co.jp/chintai/chiba/chiba_00208-st/list/
住環境・家賃のバランスがいいのは国道16号線沿いエリア
下の画像は本ランキングの結果を地図上に示したものである。4位には「八王子」駅(JR中央線・東京都八王子市)、5位には「藤沢」駅(小田急江ノ島線・神奈川県藤沢市)がランクイン。埼玉県からも「川越」駅(東武東上線・埼玉県川越市)・「大宮」駅(JR埼京線・埼玉県さいたま市)が15位以内にランクインするなど、全体として首都圏を環状に結んだ国道16号線沿い、またその周辺の各拠点駅が上位に名を連ねる結果となった。
国道16号線は、"横浜市を起点に町田市、八王子市、さいたま市、柏市、千葉市などを連絡する、都心より半径約30km圏の東京近郊の都市を結ぶ全長約331kmの環状道路"と定義されている(※6)。車の交通利便性も高い国道16号線周辺エリアは、コロナ禍において"子育て世帯が都心から移り住むエリア"として、さまざまなメディアで取り上げられ注目を浴びたが、とりわけターミナル駅はテレワーク中心の生活を送る一人暮らし層にとっても、利便性と生活コストの面で住みやすい街といえるかもしれない。
※6:国土交通省 関東地方整備局 川崎国道事務所
https://www.ktr.mlit.go.jp/kawakoku/kawakoku00005.html
「テレワーク継続意向」は約84%。ライフスタイルの多様化が進む
テレワークは一定の割合で私たちの日常に根付いている。国土交通省発表「令和3年度 テレワーク人口実態調査」(※7)によれば、テレワークを実施した人のうち「コロナ収束後にもテレワークを継続したい」意向を示したのは約84%と、今後も働き方の一つとしてテレワークは定着していくものと予想される。東京都も終日のテレワークに加え、半日・時間単位のテレワーク(テレハーフ)を推奨するなど、よりフレキシブルな働き方を模索する動きは広がっていくだろう。
どこで働くか、何時間働くか、どのくらいの時間を自分の街で過ごすか、一人ひとりのライフスタイルの選択肢が広がることにより、住みたい街や選ぶ住まいの条件もより個別のものに変わっていく。本企画「住みやすさのわりに家賃が安い駅ランキング2023」では、そのような多様なライフスタイルのユーザーニーズを想定し、2023年1月10日に同様の駅ランキング【一人暮らし×都心通勤・通学編】を発表、本リリース以降は【二人暮らし×都心通勤・通学編】、【二人暮らし×テレワーク編】を順次発表していく。一人ひとりにとって、"自分にぴったり"な街や住まいが見つかる一つのきっかけになれば幸いである。
※7:令和3年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果
https://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/content/001471975.pdf
■ランキング調査概要
・対象駅:1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)に所在する全駅、また掲載物件200件以上の駅
・対象物件:築40年以内、駅徒歩15分以内、1R・1K・1DK、10平米以上~45平米未満の賃貸マンション
・対象期間:(家賃・掲載物件)2021年10月~2022年9月・(駅周辺充実度)2022年10月時点
・算出方法:駅ごとの対象物件の平均家賃と駅周辺の施設充実度から「理論家賃(駅周辺の住みやすさに見合う妥当な家賃)」を算出。その理論家賃と比べて実際の平均家賃が安い駅をランキング化
・集計分析:LIFULL HOME'S事業本部 リサーチグループ
公開日:









