借換え後は「変動型」が40.5%と最も多い
住宅金融支援機構は、2015年12月に「民間住宅ローン借換えの実態調査」を発表した。調査は、2014年11月から2015年10月に借換えをした人を対象に実施。住宅ローンを借換えた人は、どの金利タイプを選択したのか、ローンを組んでからどれくらいの期間で借換えたのかが分かる調査となっている。現在、住宅ローンを利用していて、今後借換えを検討している人は、参考にしてほしい。
借換え後の金利タイプは、「変動型」が最も多く40.5%、「固定期間選択型」がほぼ同水準の39.3%でそれに次ぎ、「全期間固定型」は20.2%となった。2014年度の調査結果と比較すると、「変動型」は昨年の37.6%から2.9%増加、「固定期間選択型」は40.5%から1.2%減少、「全期間固定型」も21.9%から1.7%減少となった。
借換えまでの経過期間は、すべての金利タイプで10年(120か月)以内が最も割合が多く37.8%だった。3年(36か月)以内が10.5%、5年(6か月)以内が11.0%となっており、合算すると10年以内に借換えた人は59.3%となる。約6割の人が10年以内に住宅ローンを借換えていることが分かる。
世帯年収が高くなるほど「変動型」への借換え割合が上昇
世帯年収別にみると、400万円以下の世帯では「固定期間選択型」が最も割合が多く42.5%、次いで「変動型」が30.1%、「全期間固定型」が27.4%となっている。この割合が、世帯年収が高くなるほど「変動型」の割合が多くなり、年収1500万円超の世帯では、「変動型」が48.8%と約半数を占めており、続いて「固定期間選択型」が34.9%、「全期間固定型」が16.3%だった。
返済期間を通して金利が一定の「全期間固定型」と比較して、「変動型」や「固定期間選択型」は金利上昇が発生した際にリスクを伴う。世帯年収の高い人は、金利が上昇した際は、繰り上げ返済をするなど何かしら対処が必要であることも踏まえて「変動型」に借換えたのだと思われる。
借換え理由は、「金利低下」と「返済額の減少」が多数
借換えをした理由は、「金利が低くなるから」が68.5%と最も多く、「返済額が少なくなるから」が53.3%となった。借換えによって金利が低下した人は全体の92.1%であり、「0.5%超1.0%以下低くなった」が23.9%と最も多かった。
金利が低くなること、返済額が少なくなることをメリットに借換える人が大多数いる結果となったが、借換えを検討する際に踏まえておきたいのが、借換えにかかる費用だ。住宅ローンの借換えは、現在利用している住宅ローンを完済し、また新しく別の住宅ローンを新規で組み直すことになる。まず、現在利用している住宅ローンを完済するために、繰上返済手数料、住宅ローンの抵当権抹消費用が必要となる。そして、借換える際は住宅ローンを借入れしたときと同様に諸手続きに係る費用が発生する。
あくまで一例ではあるが、住宅金融支援機構が提示しているフラット 35への借換えの際のモデルケースがある。
【フラット 35】に借換える場合のモデルケース試算
○残高 1,500 万円、残返済期間 20 年(借換後の返済期間 20 年)、借入金利年 4.00%(借換後の借入金利年 2.50%)
ボーナス払いなし、元利均等返済の場合 借換え諸費用 約51万円
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※借換えの際には、諸費用として融資手数料、印紙税、現在ご返済中の住宅ローンの抵当権抹消費用(登録免許税、司法書士報酬等)、【フラット 35】の抵当権設定費用(登録免許税、司法書士報酬等)、機構団体信用生命保険の特約料(毎年払い、上記の表の試算は初年度分のみ計上)、未精 算の未払利息等が必要となり、それぞれお客さまのご負担となります(【フラット 35】借換融資の対象となる諸費用があります)
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住宅ローンを組んでから、10年以内に借換えをする人が6割ほどいることから、一度組んだ住宅ローンを、一定期間で見直しをしている人が多くいることが窺える。借換えに手数料はかかるものの、当然金利が低くなることのメリットは大きい。
最新の状況でいうと、2月9日に、長期金利の代表的な指標になっている10年物国債の利回りが、過去最低を更新し一時的に初めて0%まで低下した。それを受けて今後、固定金利は低下することが予想されるので、借換えを検討中の人は最新情報を確認するとよいだろう。金利や自身の支払いの状況を踏まえながら、各社の住宅ローンをよく比較して検討してほしい。
調査概要
調査方法:インターネット調査
インターネット調査会社のモニター180万件のうち2の調査対象の要件を満たす方に対し、インターネットによるアンケート調査(10月)を実施し、先着順に回答があった民間住宅ローン借換者972件を調査対象とした。
調査対象:現在、民間住宅ローンを借入されている方で、2014年11月から2015年10月までに借換された方n=972
調査時期:2015年10月
調査項目:民間住宅ローンを借入されている方の借換による金利タイプの変化など
・全国の20歳以上70歳未満の方(学生の方及び無職の方を除く)
※居住用の民間住宅ローンの借換(住宅取得に伴う新規の住宅ローン、リフォームローン、土地のみのローン又はアパート若しくは投資用のローンを除き、フラット35を含む)を対象
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