フラット35を知るきっかけ、決定に影響した媒体ともにインターネットが多い

住宅金融支援機構は、2015年9月に「民間住宅ローン利用者の実態調査」を発表した。調査内容はフラット35利用者編、民間住宅ローン利用者編、民間住宅ローン利用予定者編と対象者ごとに分かれている。
住宅ローンを選ぶ際には、変動型、固定期間選択型、全期間固定型のどの金利タイプにするのか、どの銀行で借りるか、またどれくらいの期間で返すのか…と、検討し決めるべき内容は多い。今回は、本調査より「フラット35利用者利用者編」を参考に、どうしてフラット35を選択したのか、きっかけや利用の決め手となった事項を確認する。

フラット35利用者はどういった媒体を見てフラット35を知ったのだろうか?

知るきっかけとして影響が大きかった媒体等は、「インターネット」が21.7%と最も多く、次いで「折込チラシ」が18.3%、「住宅情報誌」14.5%と続いた。
また、利用を決定するに際して影響が大きかった媒体についても「インターネット」が17.4%と最も多く、次いで「雑誌(住宅情報誌を除く)」が14.5%、「折込チラシ」12.8%となった。
前回の調査では、知るきっかけ、決定するに際して影響が大きかった媒体ともに最も多かったのが「住宅・販売事業者」であったのが今回はどちらも「インターネット」の割合が最も多くなっている。

実際に購入をしたい物件を見に行ったり、モデルルームに行く前にあらかじめ自身で住宅ローンについて下調べをしておき、さらに検討段階に入った際にまたインターネットで情報収集をし比較・検討する人が増えていることが考えられる。

住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」<br>フラット35利用者編を参照して作成 n=235住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」
フラット35利用者編を参照して作成 n=235

選んだ理由は金利の低さ

フラット35を利用した理由については、「金利が低い」が44.7%と最も多かった。続いて「金利上昇に備えて将来の返済額を確定」が43.0%となった。
前回の調査では「金利上昇に備えて将来の返済額を確定」が50.5%で一番多かったが、今回の調査では2位となっている。

今回の調査で選んだ理由として最も多かったフラット35の金利を確認すると、平成27年2月の最低金利が1.37%と史上最低水準になって以降、1.4~1.5%の間を上下しており、11月2日時点の最低金利は1.55%となっている。

平成26年の最低金利の平均は1.70%であり、平成27年は1.52%である。このことからも「金利が低い」がフラット35の選択理由になっていることが理解できるが、では、ほかの金利タイプと比較した場合はどうなのだろうか?
新生銀行の変動金利タイプで年0.680%、当初10年固定タイプで1.30%。イオン銀行では変動金利0.57%、当初10年固定で1.10%となっている。(2015年11月20日時点)
フラット35の金利は昨年と比較し低くなってはいるものの、他の金利タイプと比較して特別低いというわけではない。

変動タイプは金利の見直しが発生するため現時点で低くとも、その金利でずっと借り続けられるとは限らない。フラット35の全期間固定タイプであれば借りた時点の金利が最長で35年適用される。
選んだ理由の2番目にあがった「金利上昇に備えて将来の返済額を確定」が、金利が低いことに加えて選択の後押しになったと思われる。

住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」<br>フラット35利用者編を参照して作成 n=235住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」
フラット35利用者編を参照して作成 n=235

金利はわずかな違いでも返済額に大きな差が出る

11月2日時点の最低金利が1.55%と前述したが、これは6年前の平成21年11月の最低金利2.69%と比較すると1.14%下がっている。1%というと大きな差に感じないかもしれないが、これが長期に渡る住宅ローンとなると返済金額が大きく変わってくる。

下記は借入額が3,000万円、返済期間が35年、返済方法は元利均等、ボーナス返済なし、全期間固定で借入した場合の総返済額の比較だ。

□固定金利2.69%の場合
毎月返済額 11.1万円 総返済額 4,634 万円

□固定金利1.55%の場合
毎月返済額 9.3万円 総返済額 3,889 万円

総返済額の差は745万円で、年間での支出の差は21万円となる。
住宅ローンを返しながらも生活費や子供の養育費、貯蓄も必要であることを考えると金利の差はやはり大きい。ローンを返し終わった後にいくら手元に残せるかにも大きく差が出ることになる。

なお、2015年11月20日時点の住宅ローン以外のローンの金利を確認してみたところ、イオン銀行の教育ローンで変動金利年2.80%、三菱東京UFJ銀行のマイカーローンは変動金利で年2.975%だった。
この金利からも、いかに住宅購入が優遇されているかが分かる。
教育ローンや一般的なカードローンなどとは異なり、住宅ローンは購入する住宅によっては後々売却したり、人に貸したり、資産として活用できる可能性もある。もちろんローンの支払いが終わった後もそこに住み続けるという選択もある。

自分にあった住宅ローンのを選ぶことは大切であるが、どんな住宅を購入するかもその後の資産形成の観点から重要なポイントであることを念頭に置いて検討したい。

住宅金融支援機構フラット35借入金利の推移(最低・最高)より<br>※返済期間が21年以上35年以下の場合※平成27年11月2日時点住宅金融支援機構フラット35借入金利の推移(最低・最高)より
※返済期間が21年以上35年以下の場合※平成27年11月2日時点

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査対象:民間住宅ローン利用者( n=1,009 )うちフラット35利用者n=235 フラット35以外n=774
・2015年3月から2015年6月までに民間住宅ローンの借り入れをされた方
・全国の20歳以上60歳未満の方(学生の方及び無職の方を除く)
調査時期:2015年3月~2015年6月

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