住宅市場動向調査を読み解く
2014年7月14日に国土交通省から発表された「平成25年度住宅市場動向調査について」。
この調査レポートは全383ページにわたり、平成25年度の住宅の建設、購入、リフォーム等の実態把握・分析を行っている。
レポート自体は今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的にしているが、住まい探しを考える私たちにも役に立つ情報が多い。昨年の住宅市場動向のデータを見て、今後の住まい探しの際の参考にしてもらいたい。
今回は、住み替え前の住居に関するデータ紹介する。住み替え前の住居種別、持ち家の場合の処分方法、売却益について見てみたい。
住み替え前の住宅の種類は?
住宅を購入した人に、「住み替え前の住宅」の種類について聞いたところ、以下の結果となっている。
□注文住宅取得世帯(※建て替えを除く)
→「民間の賃貸住宅」51.5%、「持ち家」19.3%、「親・兄弟など親族の住宅」13.5%
□分譲戸建て住宅取得世帯
→「民間の賃貸住宅」50.7%、「持ち家」16%。「社宅や寮など」12%
□分譲マンション取得世帯
→「民間の賃貸住宅」46.7%、「持ち家」20%、「社宅や寮など」13.3%
□中古戸建て住宅取得世帯
→「民間の賃貸住宅」46.5%、「公営住宅、公社などの賃貸住宅」14.9%、「持ち家」13.5%
□中古マンション取得世帯
→「民間の賃貸住宅」40.2%、「持ち家」21%、「公営住宅、公社などの賃貸住宅」13.8%
全ての住宅の種類において、住み替え前の住宅が「民間賃貸住宅」である割合が最も多く、4~5割程度を占めている。
また、分譲マンション、中古マンション取得世帯は「持ち家」と答えた割合が多く、マンションの購入層は他の住宅種類と比較すると買い替えの傾向が比較的高いことがわかる。
「持ち家」の処分方法は
では、「持ち家」に居住していた住み替え世帯は、どのように処分したのだろうか。その方法を聞いた結果は次のようになった。
□注文住宅取得世帯(※建て替えを除く)
・戸建て住宅を処分
→「売却した」38.2%、「親族が住んでいる」16.3%、「空家になっている」16.3%
・集合住宅を処分
→「売却した」61.3%、「親族が住んでいる」16.1%、「他人に貸している」12.9%
□分譲住宅取得世帯
・戸建て住宅を処分
→「売却した」58.3%、「親族が住んでいる」25%、「他人に貸している」8.3%
・集合住宅を処分
→「売却した」83%、「他人に貸している」6.4%、「親族が住んでいる」と「空家になっている」が4.3%(同率)
□中古住宅取得世帯
・戸建て住宅を処分
→「売却した」52.8%、「親族が住んでいる」30.2%、「空家になっている」7.6%
・集合住宅を処分
→「売却した」64.9%、「親族が住んでいる」18.9%、「他人に貸している」10.8%
「売却した」が最も多い結果となり、「親・兄弟など親族が住んでいる」が次に続く。
また、従前住宅の建て方別で比較すると、集合住宅であった方が「売却した」世帯の割合が高い。前述の従前住宅の種類の調査でマンションの購入層が「持ち家」と応える割合が高く、買い替えの傾向が強いことの裏付けにもなるのではないか。
売却益は出たのか?
不動産を購入する時、将来もし売却するときにあまり損のない、つまり資産価値の落ちにくい物件を購入したいと考える人は多いと思う。では、実際に売却した人たちの売却益はどのようになっているのだろうか。
従前の住宅を「売却した」と答えた人に、その売却益を質問した。
□注文住宅取得世帯(※建て替えを除く)
戸建て住宅を処分:-865万円
集合住宅を処分 :-1,007万円
□分譲住宅取得世帯
戸建て住宅を処分:-800万円
集合住宅を処分 :-858万円
□中古住宅取得世帯
戸建て住宅を処分:-1,332万円
集合住宅を処分 :-300万円
いずれも売却損の発生する結果となった。もちろん、地域によって地価の変動には差があるため、不動産の所在地によっても異なるのであくまで参考として見てほしい。
注文住宅、分譲住宅取得世帯については、わずかではあるが集合住宅を処分した方が売却損が大きいことがわかる。
特徴的なのが中古住宅取得世帯で、戸建て住宅処分の場合、-1,332万円と大きな売却損が発生している一方、集合住宅処分では-300万円と小さく、他の物件種別と差があるのが特徴的だ。
調査概要
調査実施社:国土交通省
調査対象:平成24年4月~平成25年3月に住み替え・建替え・リフォームを行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、
訪問留め置き調査により実施
※詳細は国土交通省のページを確認してください
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