FRIENDLY DOORとは

不動産会社の数はコンビニより多いと言われている。入居者を待つ物件は多くあるが、自身の抱えるバックグラウンドを理由に、部屋探しが思うようにいかない人がたくさんいる。

「FRIENDLY DOOR」は、住まいの選択肢に制限がある人を“住宅弱者”と称し、社会課題解決を住宅の視点から取り組むプロジェクトだ。今回は、FRIENDLY DOORが取り組むサービスを紹介する。

FRIENDLY DOORとは

LIFULL HOME’S FRIENDLY DOORは、LIFULL HOME’S が取り組む住宅や住環境関連を通じた社会貢献活動「ACTION FOR ALL」プロジェクトの一つだ。FRIENDLY DOORでは、さまざまなバックグラウンドにより住宅を借りづらいユーザーと不動産会社をつなぐサービスを展開している。

住宅を借りづらいユーザーを、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、高齢者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者、家族に頼れない若者、フリーランスの9つのカテゴリーに分類。そのようなバックグラウンドに対して理解があり、住まい探しについて相談できる不動産会社を探せるサイトを提供することで、住まい探しに抵抗を感じやすいユーザーの心的負荷を下げることが目的だ。

一方、不動産会社やオーナーに向けて、接客チェックリストやセミナー(不動産会社向け有料セミナー、不動産オーナー・仲介会社向け無料セミナー)を提供している。
住宅弱者の多くは、「お部屋を借りたいけれど、借りるのに苦労する」「以前に不動産会社で嫌な思いをした」といった経験があるという。こうした状況が生じているのは、不動産会社の住宅弱者のバックグラウンドに対する無理解や知識不足が原因だと、LIFULL HOME’S では考え、住宅弱者それぞれのバックグラウンドについての情報や、業務上で活用できる情報を発信して、不動産会社の認識のアップデートを図ることを目指している。

こうした対ユーザーや不動産会社やオーナー、双方に働きかけることで、住宅弱者と不動産会社の隔たりを近づけて“したい暮らし”の実現へと取組みを進めているのがFRIENDLY DOORなのだ。

サービスその1・住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索

ユーザーに向けたサービス『住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索』は、住宅を探すことに困難がある人を、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、高齢者など、カテゴリーに分類している。
ユーザーは自分に該当するカテゴリーを選び、住みたい都道府県を選択、そのカテゴリーに対してフレンドリーな不動産会社を探すことができる。

ここに掲載される不動産会社は、FRIENDLY DOORの趣旨に賛同し、上記カテゴリーの方々へ親身に対応できると表明している会社のみである。

住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索

現在は、会社だけでなく物件単位でも検索できるほか、難民・避難民に対する住まいの支援窓口を開設している。今後はさらに、住宅の分野での支援活動に注力する予定だ。

▼LIFULL HOME'S 難民・避難民に対する住まいの支援窓口
https://actionforall.homes.co.jp/friendlydoor/refugee

住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索

サービスその2・不動産会社向け接客チェックリスト

LGBTQ接客チェックリスト

不動産会社向け接客チェックリストは、住宅弱者への理解を促進し、不動産会社の意識をアップデートすることを目的に作成されている。

設問に回答して正答率を確認できるだけでなく、解説を通して理解を深められるのが特徴だ。基礎的な用語紹介のほか、接客時のシチュエーション毎に気を付けるべき点をはじめとした店舗運営時に役立つポイントを確認することができる。

現在は、LGBTQ接客チェックリスト、障害者接客チェックリスト、高齢者接客チェックリスト、外国籍接客チェックリストの4つが公開中だ。

一例としてLGBTQ接客チェックリストを挙げる。LGBTQ当事者のライフプランニングサポートや不動産仲介を行う株式会社IRISの代表取締役CEO須藤啓光さんの監修のもと、セクシャル・マイノリティの方に限らず、オールフレンドリーな接客を想定して制作されている。

LGBTQ接客チェックリストは、初級編・上級編の2編で構成されている。初級編では、「LGBTQに関する基本的な知識を有しているか」「適切な接客ができているか」の2つの点を問う設問だ。
上級編では、さらに一歩踏み込んだ意識が確認される。より具体性が強く、顧客満足度の高い接客を重視した設問になっている。

リリースしてから約1ヶ月で、100を越える不動産会社が利用したことからも、そのニーズの存在がうかがえる。

▼「LGBTQ接客チェックリスト」初級編
▼「LGBTQ接客チェックリスト」上級編

LGBTQ接客チェックリストLGBTQ接客チェックリスト

サービスその3・不動産会社向け有料セミナー

不動産会社向け有料セミナーは、FRIENDLY DOORと不動産特化型学習プラットフォーム“LIFULL HOME'Sアカデミー”が共同で行う、不動産会社に特化した講座だ。

現在提供しているセミナーの中にLGBTQ接客研修がある。
LGBTQ接客研修は、LGBTQ接客チェックリストでも協力を仰いでいる株式会社IRISと連携し、受講者の意識改革と接客の質を上げるための講習を展開しています。
研修はLGBTQ当事者のお客様に向けた接客時の注意点を共有して、今後の業務に活かせる内容だ。

2021年には積水ハウス不動産ホールディングス株式会社に採用され、加盟店に向けた1000店舗規模でのウェビナーを実施した。

【関連記事】
【LGBTQ研修×不動産会社】積水ハウスグループが取り組むダイバーシティ&インクルージョンとは
https://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_01208/

LIFULLHOME'Sアカデミーが提供するLGBTQ研修の案内資料LIFULLHOME'Sアカデミーが提供するLGBTQ研修の案内資料

サービスその4・不動産会社・オーナー向け無料セミナー“FRIENDLY DOORセミナー”

FRIENDLY DOORセミナーは、不動産業界で働く方向けのLIFULL HOME’Sのサービス“LIFULL HOME’S Business 仲介・管理”で行われているセミナーのうち、FRIENDLY DOORで扱う分野に特化した講座だ。参加費は無料。先着順で誰でも参加することができる。

サービスその4・不動産会社・オーナー向け無料セミナー“FRIENDLY DOORセミナー”

住宅弱者支援に詳しい専門家を講師に迎えて、対応方法や支援の仕方、住宅弱者に向けた不動産活用の実例などをレクチャーする。
それぞれの分野の現場の声を聞き、今後の学びにつなげる内容になっている。

これまでに10回開催され、どの回も好評だった。

【これまでに開催したセミナー】
・生活保護利用者の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ【基礎編】
・生活保護利用者の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ【実践編】
・LGBTQの方々の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
・高齢者の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
・シングルマザーの住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
・外国籍の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
・LGBTQの方々の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ【実務応対編】
・生活困窮者の居住支援 〜 制度の活用法と空室対策 〜
・住宅弱者(暮らしの基盤)を支えるデジタルツール活用
・居住支援法人から学ぶ 身体障害者の住まい探し対応ノウハウセミナー

住宅弱者を支える情報発信を

<b>龔 軼群(キョウ イグン)</b>2010年新卒で株式会社LIFULLに入社。賃貸事業部で新規サービスの開発を担う。2018年に新規事業提案制度「SWITCH」で優秀賞を獲得し、2019年11月、社会的弱者に対して包括的に住まい支援を行う「FRIENDLY DOOR」をサービスローンチし、事業責任者を務める。LIFULLの社会貢献活動委員。社外活動では、世界の貧困削減に取り組む認定NPO法人Living in Peaceの代表理事を務める。龔 軼群(キョウ イグン)2010年新卒で株式会社LIFULLに入社。賃貸事業部で新規サービスの開発を担う。2018年に新規事業提案制度「SWITCH」で優秀賞を獲得し、2019年11月、社会的弱者に対して包括的に住まい支援を行う「FRIENDLY DOOR」をサービスローンチし、事業責任者を務める。LIFULLの社会貢献活動委員。社外活動では、世界の貧困削減に取り組む認定NPO法人Living in Peaceの代表理事を務める。

人の営みの要ともいえる住宅は、社会問題とも大いに関係している。暮らしが多様化する今、不動産業界でも情報のアップデートが必要ではないだろうか。

今後に向けて、LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL FRIENDLY DOOR 事業責任者の龔 軼群(キョウ イグン)は次のように語る。

龔:FRIENDLY DOORを始めて、一つひとつの社会課題の根深さを実感しています。これから増えていく「高齢者」ひとつをとっても、孤独死や認知症・介護、見守りなど抱える問題はさまざまです。「LGBTQ」についても、多様な性への偏見・差別、法的な問題、そこに対して制定された条例などの理解も重要になってきます。
「生活保護利用者」や「外国籍」も同様で、それぞれ固有の課題が存在しており、そして社会課題は重なり合って、さらに難易度が上がります。また、「高齢かつ生活保護利用者」の方、「外国籍かつLGBTQ」など、二つ以上の属性を抱える方も多く存在しています。

誰も取り残さない社会を実現するには、クリアしなければならない課題が山のようにあることを知って、愕然としたこともありました。でも、誰かが動かなければ、社会は何も変わりません。それだったら私がやろう、という想いで活動しています。

地道な一歩一歩ではありますが、歩き出すといろいろなところから手を差し伸べてくれる人が現れてきて、徐々にFRIENDLY DOORの活動は広がってきています。まだ実現したい世界への道のりは遠いかもしれませんが、これからもFRIENDLY DOORではさまざまなサービスを提供し、社会問題に取り組むNPOや企業の方へのインタビューなど、住宅弱者にまつわる情報を発信し、歩みを進めていきたいと考えています。

※本記事の内容は、LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL note 2022年8月掲載当時のものです。

住宅弱者を支える情報発信を

【LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL】は、「FRIENDLY DOOR/フレンドリードア」「えらんでエール」のプロジェクトを通じて、国籍や年齢、性別など、個々のバックグラウンドにかかわらず、誰もが自分らしく「したい暮らし」に出会える世界の実現を目指して取り組んでいます。

公開日: