「(仮称)うめきた2期地区開発事業」とは

うめきた2期地区全景。手前の大屋根がJR大阪駅(イメージ)うめきた2期地区全景。手前の大屋根がJR大阪駅(イメージ)

大阪のビジネスや商業の中心地であり、関西の玄関口ともいえる梅田エリア。
まさにその中心部で、着々と工事が進んでいるのが、「(仮称)うめきた2期地区開発事業」だ。今回は、関西で注目度No.1ともいえる、この駅前大規模開発の現状をまとめてみる。

「うめきた地区」とは、JR「大阪」駅の北側にあった旧梅田貨物駅にあたる約24haの区域で、1期地区(約7ha)と2期地区(約17ha)に分かれている。1期地区は、2014年に「グランフロント大阪」として開業し、数多くの人が訪れる場所になっている。そして道路を挟んだ西側のエリアが2期地区となり、現在、三菱地所株式会社を代表企業とするJV(ジョイント・ベンチャー)9社による開発が進んでいるのである。

うめきた2期地区は、隣接するJR大阪駅をはじめ7駅13路線が利用でき、交通アクセスは良好。さらに、2023年春開業予定の「うめきた(大阪)地下駅」によって関西空港へのアクセスが改善、2031年春に開通予定の「なにわ筋線」によって難波エリアへも接続し、国内だけでなく海外も含めて、多くの人が集まりやすい交通網が整備される。「うめきた2期」開発は、大阪・関西の発展を牽引し、日本の国際競争力を強化する新たな拠点として期待されているのである。

うめきた2期地区全景。手前の大屋根がJR大阪駅(イメージ)うめきた2期の広域図。現在でも多方面からの鉄道路線が集まる梅田エリアは、東海道線支線地下化や、なにわ筋線の開業によって、その中枢性がさらに高まる見通しだ

うめきた2期地区のまちづくりの方針は、「みどり」と「イノベーション」の融合拠点。プロジェクトPRムービー内で「ごちゃまぜってイノベーション!」と表現されているように、豊かな自然、都市の営み、テクノロジー、文化などを大阪らしく全部融合するということなので、どんな街になるのか筆者もとても楽しみである。

「うめきた2期」は、緑豊かな都市公園を中心に、北街区と南街区の3つのエリアで構成され、その中にオフィス、ホテル、中核機能、商業施設、住宅などが計画されている。特に、目玉となるのが街の中央部に誕生する約4万5,000m2の大型都市公園。敷地面積の約半分が緑の公園になり、さらに地区全体で約8haもの緑を創出する予定になっている。ターミナル駅である大阪駅の駅前に、これだけの緑の空間ができるのはとても魅力的であり、かつ贅沢なことである。世界的に活躍するGGN(グスタフソン・ガスリー・ニコル)がプロジェクト全体のランドスケープデザインを牽引する予定になっていて、「うめきた」ならではの緑あふれる空間に期待感が高まる。

スケジュールとしては、2024年の夏頃に先行まちびらき(一般住宅および一部都市公園)。そして、2027年度に、うめきた2期地区全体開業の予定になっている。

うめきた2期地区全景。手前の大屋根がJR大阪駅(イメージ)うめきた2期地区の配置図。南北それぞれに賃貸棟と分譲棟が配されるほか、中央部には広大な都市公園が整備される

大規模オフィスと商業施設。多様なホテルや都市型スパも

南街区賃貸棟外観(完成予想イメージ)南街区賃貸棟外観(完成予想イメージ)

オフィス機能は南街区の西棟と東棟に、総貸室面積約10万9,000m2用意されている。

国内外の先駆的な企業やクリエイティブな人々の活動の受け皿となるオフィスを目指し、子育て支援施設やテラスラウンジなど、充実したオフィスサポートが整備される予定になっている。また、都市公園では、ウェルビーイング(Well-bing)に配慮したワークプレイスやイベント空間、潤いの場なども整備されるので、今までにない新しいワークスタイルが実現できそうだ。

また、コワーキングスペースやSOHO、交流スペースなどを有したイノベーション施設やMICE施設を整備。新たなライフデザイン・イノベーションの創出を目指している。

南街区賃貸棟外観(完成予想イメージ)北街区賃貸棟外観(完成予想イメージ)
南街区賃貸棟低層部外観(完成予想イメージ)南街区賃貸棟低層部外観(完成予想イメージ)

南街区と北街区の賃貸等の低層部分には、国内外からの来訪者に楽しんでもらえる、さまざまなレストランやショップが入居する。また、近隣住民や梅田で働く人たちが交流できる場を設けて、次世代型の体験価値の提供を目指している。

そして、商業ゾーンの核テナントとして、株式会社ラスイートが運営する「都市型スパ」が出店する。天然温泉をはじめとした温浴ゾーン、都市公園を一望できるプールやジムなど、健康や美容、運動、リラクセーションを網羅したウェルネス拠点となるだろう。また、ホテルは、富裕層向けのスーパーラグジュアリーホテルが約250室。関西・大阪のカルチャーを発信するライフスタイルホテルが約300室。観光からビジネスまで幅広いニーズに対応するアップスケールホテルが約480室と、3つのカテゴリーのホテルを導入することで、さまざまなニーズに対応できるようになっている。ホテルが充実することで、さらにエリアの拠点性が高まるだろう。

南街区賃貸棟外観(完成予想イメージ)「都市型スパ」の屋内プール(上)ではARによる映像を駆使し、幻想的な空間を創出。温浴ゾーン(下)では、多様な温浴設備のほか、本格的なサウナ、岩盤浴・溶岩浴エリアなどを併設する予定だ

街の中心に位置する大型都市公園に、タワーマンションも

うめきた2期全体図うめきた2期全体図

約4万5,000m2の都市公園は、南エリアと北エリアの2つで構成されている。
南エリアは、「リフレクション広場(芝生広場と水景)」を中心に多くの人がイベントなどで集まる賑わいの空間になっており、北エリアは、「うめきたの森」を中心に、豊かな自然が感じられる憩いの空間になっている。

また、この南北の公園は「ひらめきの道」という空中デッキで結ばれ、新梅田シティやグランフロント大阪に接続するので、大きな回遊ルートになっている。また、地上部分は「ステッププラザ」が設けられて、道路と公園が連続したデザインとして南北の統一を図っている。

ほかにも、園内には カフェやレストランなど、より楽しくなる施設も整備される予定だ。パークマネジメント・エリアマネジメント組織が質の高い運営管理を行い、多彩なプログラムやイベントが提供される予定なので、とても楽しみである。
住宅についての詳細は未発表だが、南街区と北街区にそれぞれ、約600戸のタワーマンションが建設される予定になっている。ハイグレードの都市型住宅で、今までにない緑にあふれた都心生活が実現できるだろう。

うめきた2期全体図都市公園全景

うめきた2期工事の今

着々と工事が進む「うめきた2期地区」(2021年9月撮影)着々と工事が進む「うめきた2期地区」(2021年9月撮影)

「うめきた2期地区」の工事の進捗状況を、近隣のビルから確認してみた。2021年9月現在、現場ではいくつものクレーンが動き、工事車両が走っているが、全体を見渡してもまだ建物の形は確認できない。地下の「うめきた(大阪)地下駅」の工事が先行しているので、地上に建物が建つのはこれからのようだ。このようにビルの上から見れば様子はよくわかるが、街を歩いている場合は、工事現場の万能塀が続いているだけで、進捗状況はほとんどわからないだろう。「グランフロント大阪」の時もそうであったが、建物が見えない間は、新しく街ができるという感じはしなかった。ある程度建物の姿が見えるようになると、開発が進んでいる実感が湧いてくると思うが、それはもう少し先になるだろう。今後も、定期的に進捗状況を確認していきたい。

着々と工事が進む「うめきた2期地区」(2021年9月撮影)うめきた2期地区全景(2021年9月撮影)

「ヒト、モノ、コト」が集まるうめきた2期の期待感

グランフロント大阪外観グランフロント大阪外観

JR大阪駅北側の「うめきた2期地区」は、まさに大阪の一等地。西日本一のターミナル駅であるJR大阪駅の北側に、まだこんなに広い土地が残っていたということに驚いてしまうが、このプロジェクトに対する期待値はものすごく高い。特に、建物ばかりの無機質な開発ではなく、約半分の広さが都市公園という、緑あふれる街になるのがうれしい。東京に比べると大阪市内は緑が少ないと言われることもあったので、これが完成するとちょっと自慢できるネタになるだろう。

駅前再開発で街がきれいになり、魅力的な施設ができると、多くの人が集まってくるというのは、「グランフロント大阪」で経験済みである。「グランフロント大阪」は、開業5年目で来館者数2億5,000万人を突破し、現在は、年間約5,000万人が訪れる場所になっているのだ。

また、飲食店や施設だけでなく、さまざまなイベントも企画されてきた。例えば、駅前のグランフロント広場では、広場に白い砂を敷き詰めたビーチバレー大会や、今や冬の風物詩となったアイススケート「ウメダ★アイスリンクつるんつるん」などを開催。大相撲三月場所の時期になると、北館1階のナレッジプラザの中央に土俵を設置して「うめきた場所」が開催され、身近で力士の取組を見ることができる。「ここでこんなことをするのか!」という、驚きとワクワクのイベントを定期的に企画するなど、タウンマネジメントがしっかりと考えられているので、より多くの人が集まってくるのである。
そう考えると、「うめきた2期」の規模はさらに大きいので、今からワクワクが止まらない。次世代の大阪の新しい都市モデルとなるので、とても楽しみである。

グランフロント大阪外観「ビーチバーレー大会」の風景(2017年10月撮影)
グランフロント大阪外観「うめきた場所」の風景(2018年3月撮影)

公開日: