年齢帯別の購入品目の特徴
前回(※【住宅取得に係る消費実態調査①】~住宅取得に伴う耐久消費財等の購入実態~)では住宅の種類別に1世帯当たりの耐久消費財の平均購入額を見て、その特徴について述べた。また、1世帯当たりの住宅取得にかかわる品目の購入比率が高いものについて、その理由をお伝えした。
今回は、年齢帯別の購入品目の特徴と耐久消費財以外の消費支出動向等について紹介したい。
まず、年齢帯別に1世帯当たりの平均購入額をみると、40歳代以上になると年齢帯が上昇するにつれて、次第に上昇する傾向がみられ、特に60歳以上については、約200万円で最も購入額が多かった(下図1)。
一方、同じく図表内で年齢帯別の年収をみると、年収は20歳から60歳未満までは上昇しているが、60歳以上になると30~40歳未満とほぼ同じ水準に減少している。
このように、60歳以上になると、年収が減収するにもかかわらず購入額が高くなっているのである。
以下、年齢帯別に品目別の購入額をみて、考察してみる。
1)家具等の購入額
1世帯当たりの平均購入額が上位である品目について、世帯主の年齢帯別に集計を行った。このうち、カーテン、ベッド・ソファーベッド、応接セット、食堂セットについては、年齢帯が上がるにつれて、1世帯当たりの平均購入額が上昇する傾向がみられ、特に60歳以上においては他の年齢層よりも購入額が高くなった(下図2)。
60歳以上の住宅取得者の家具等への購入額が大きい理由として、
①すでに子供が社会人として独立する等により教育費の負担が少なくなった
②世帯主が退職により自宅で過ごす時間が長くなった
等の理由により、住宅での生活が重視され、家具等への支出が増加したことが考えられる。
2)家電等の購入額
次に年齢帯別に家電の購入状況についてみると、ルームエアコン、照明器具、テレビ、電気冷蔵庫、温水洗浄便座、電気洗濯機等については世帯主の年齢が上昇するにつれて購入額が多くなる傾向が見られた(下図3)。
特にルームエアコンについては、年齢帯が上昇するにつれて、支出額は大きく増加する傾向にある。年齢が高くなるにつれて、快適さや健康面を考えて購入していること等が予想される。
また、照明器具、テレビ、電気冷蔵庫等については、大半の世帯は所有していると考えられるが、住宅取得を機会に、より快適な生活や省エネ等のため購入しているものと考えられる。
3)その他
今度は、家具、家電以外のその他についてみると、乗用車(新車)について、60歳以上の購入額が大きくなった(下図4)。また、門・へい(垣根)について、年齢帯が上昇するにつれて上昇する傾向がみられる。
一方、太陽光発電システムについては、40歳代が最も多く、次に20歳代となった。60歳代は最も購入額が低く、他の品目とは対照的な結果となった。
先述したように、60歳代になると子供が独立するなどし、世帯人員が減少することが予想される。一方、世帯人員が多い40~50歳代については、電気代等の節約の観点から太陽光発電システムの導入がされたこと等が予想される。
住宅取得後における耐久消費財以外への消費支出動向
住宅の取得により、住宅の広さや設備の変化、住宅ローンを利用した場合は、ローンの返済等により、取得前とは生活が変わり、かつ支出状況が変化することも考えられる。この調査では、住宅取得後における耐久消費財の購入以外の支出状況についても訊いており、以下でその結果を照会する(下図5)。
「食費(外食費、酒などの嗜好品を含む)」について、2014年の調査結果をみると、約半数は「変わらない」と回答しているが、「増えた」、「やや増えた」の割合が約34%を占めており、「減った」、「やや減った」の約17%を大きく上回った。2012年度の調査でもほぼ同じ傾向がみられることから、この結果は消費税率引上げの影響だけではないと考えられる。
「光熱費・水道料」については、「増えた」と「やや増えた」が約5割を占めている。他の項目と比べて「増えた」が大きくなった。2012年の調査結果もほぼ同様の結果であることから、単に電気代の上昇以外の要因と考えられる。住宅取得による部屋数の増加に伴うエアコンや照明等の家電の増加による影響などが考えられる。
「教育費」についても、「増えた」と「やや増えた」が約23%で、「減った」と「やや減った」の約11%を上回っており、子育てへの支出が増加した回答者が多い。一方、「被服費」は「変わらない」が6割弱で最も多くを占めるものの、「減った」と「やや減った」が3割弱を占め、「増えた」と「やや増えた」を上回った。
また、「交際費、こづかい」も「減った」と「やや減った」が3割弱を占めたのに対して、「増えた」と「やや増えた」が約14%で、支出が減少した世帯が多くなった。
以上、「食費」と「光熱費・水道料」のような家族全体での生活にかかる支出が増加したのに対し、「被服費」、「交際費、こづかい」のような個人のための支出については、「教育費」を除いて支出が減少したとみられる。
かなり憶測めいた結論となるが、このように家族全体の支出が増加したのは、住宅取得の目的が子育てや家族での生活の充実のためだからと考えられる。
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