品川駅西口・14.7ヘクタールの巨大プロジェクト。6つの街区で進む連鎖的再開発
現在、港区内の主要駅の1つである品川駅では、同駅の西口にあたる高輪三丁目において、計画区域約15ヘクタール(東京ドーム約3個分)に及ぶ大規模な市街地再編が進められている。
再開発が進行しているエリアは、港区高輪三丁目の一部地域(下図参照)であり、現在、「グランドプリンスホテル高輪」、「グランドプリンスホテル新高輪」、「ザ・プリンスさくらタワー東京」などが位置している。施行区域面積は約14.7ヘクタールに及ぶ。都市計画としては、第一種市街地再開発事業や土地区画整理事業、再開発等促進区を定める地区計画(容積率や用途規制の緩和により土地利用の転換を街区単位で円滑に実施するための都市計画ツール)を活用している。この区域内では、現時点で判明している情報によると、A地区、B-1-1、B-1-2、C-1、C-2およびD地区の計6地区に分けて建築物の建替え等やインフラ等の再整備が行われる。
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この再開発における各地区の面積と主要用途は次のとおり。
<A地区>
・区域面積:約3.3ヘクタール
・主要用途:事務所、商業、ホテル、MICE(コンファレンス、多目的ホール)
<B−1−1地区>
・区域面積:約0.9ヘクタール
・用 途:公園
<B−1−2地区>
・区域面積:約3.0ヘクタール
・主要用途:事務所、商業、ホテル、住宅、MICE
<C−1地区>
・区域面積:約2.1ヘクタール
・主要用途:事務所、商業、住宅、産業支援
<C−2地区>
・区域面積:約0.1ヘクタール
・主要用途:集会場
<D地区>
・区域面積:約0.5ヘクタール
・主要用途:住宅・商業
今回の記事では、これらの再開発のうち建築工事が進められているA地区および再開発組合が認可されているC地区について紹介する。
再開発の背景と手続きの経緯
品川駅西口地区の市街地再編に関連するまちづくりの出発点には、「都市再生」がある。都市再生とは、都市再生特別措置法(2002年に制定の法律)に基づいた都市再生プロジェクトで、同法は、バブル崩壊後の不況打開や情報化・国際化、都心への人口回帰などを目的として制定されたものだ。同法に基づく都市再生プロジェクトは、市街地の高度利用と都市計画決定に関する手続きの特例措置、税制優遇などを受けることができる。
品川駅西口地区では、同法に基づく都市再生緊急整備地域の指定をはじめ、東京都市計画区域マスタープランや港区まちづくりマスタープラン、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2020に基づき、検討が進められてきた。2022年1月には、「品川駅西口地区まちづくり指針」が策定され、まちづくりのコンセプトやまちづくりの方針などが定められた。
こうした背景のもと、まちづくりのコンセプトとして、「世界の人々を迎え入れる品格ある迎賓都市・開かれたまちへの転換〜国際交流拠点の実現に向けた、多様な都市機能の導入と緑豊かな空間の調和をもとに、段階的かつ一体的な市街地の形成を図る〜」を定め、各地区で事業が進められている。
なお、今回取り上げるA地区については、2025年5月末に「京急品川開発プロジェクト」として建築着工した。加えて、C地区については、2024年2月に東京都より再開発組合の認可を受けている。
<これまでの主な経緯(A地区)>
・2022年1月:品川駅西口地区まちづくり指針(高輪三丁目地区)の策定
・2022年11月:品川駅西口地区地区計画の都市計画決定(変更)
・2023年6月: 品川駅西口土地区画整理事業の事業計画認可
・2025年5月:建築着工
<これまでの主な経緯(C地区)>
・2020年3月:再開発準備組合の設立
・2022年12月:高輪三丁目品川駅前地区第一種市街地再開発事業の都市計画決定
・2024年2月:高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発組合の設立認可
【A地区】トヨタの新東京本社が2029年度開業へ。29階建て複合ビルが西口の新たな顔に
A地区では、京浜急行電鉄株式会社およびトヨタ自動車株式会社が事業主体となり、地上29階建て、建物高さ約152mの建築物が計画されている。また、主要用途としては、事務所や商業、ホテル、MICE(コンファレンス、多目的ホール)の機能が導入される。
<(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画>
・敷地面積:23,584m2
・延べ面積:311,802m2
・容積率:約1,000%
・用 途:オフィス、商業、ホテル、MICE(コンファレンス、多目的ホール)等
・構 造:鉄骨造・一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造
・規 模:地下4階・地上29階建て、高さ約152m
・事業主体:京浜急行電鉄株式会社、トヨタ自動車株式会社
・基本設計:株式会社日本設計
・実施設計:大成建設株式会社一級建築士事務所
・施 工:大成建設株式会社東京支店
・竣工予定:2029年1月
※出典:京浜急行電鉄株式会社(2025年5月)『「京急品川開発プロジェクト」本格始動 (仮称)品川駅西口地区A地区新築計画着工』および東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第5条第1項の規定に基づく現地標識による。
なお、事業主体として、トヨタ自動車株式会社の名があるように、同社では、A地区の計画建物に2029年度に「新東京本社」を開業することを決定している。
【C地区】155mの超高層棟に「MICE」機能を凝縮。国際競争力を高める拠点整備
C地区では、施行地区面積約2.2ヘクタール内において、C-1街区とC-2街区に分けて建築が行われる。C-1街区では、用途として事務所や住宅、産業支援施設などの機能が導入され、C-2街区では、集会場(地域交流施設)の機能が導入される。また、これらに加えて、デッキレベルに約5,120m2の広場、地上部分には、約700m2の広場や約860m2の緑地などが整備される。総事業費は約1,445億円が計画されている。
<C−1街区>
・敷地面積:約16,180m2
・建築面積:約12,940m2
・延べ面積:約186,900m2(容積率算定対象の延べ面積:約159,900m2)
・建蔽率:約80%
・容積率:約990%
・用途:事務所、店舗、MICE、産業支援施設、住宅(約50戸)等
・構造規模(高層棟):鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、地下2階地上30階建て、高さ約155m
・構造規模(低層棟):鉄筋コンクリート造、地下2階地上8階建て、高さ約32m
・建築着工:2026年度
・竣工予定日:2028年度
※出典:高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発組合「高輪三丁目品川駅前地区第一種市街地再開発事業 事業計画書」
<C−2街区>
・敷地面積:約580m2
・建築面積:約160m2
・延べ面積:約170m2(容積率算定対象の延べ面積:約160m2)
・建蔽率:約30 %
・容積率:約30 %
・用途:集会場
・構造規模:鉄筋コンクリート造、地上1階建て、高さ約10m
・建築着工:2026年度
・竣工予定日:2028年度
※出典:高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発組合「高輪三丁目品川駅前地区第一種市街地再開発事業 事業計画書」
再開発事業のスケジュール
<A地区>
改めて、A地区では、事業のメインである建築物の整備については2025年5月に着工しており、すでに現地では建築工事が進められている。建築工事の竣工予定は、現時点での事業計画では2029年度が予定されている。
<C地区>
C地区では、2026年度の建築着工、2028年度の竣工に向けて準備が進められている。なお、東京都の公表資料によると、再開発の進行に不可欠な東京都からの権利変換計画認可については、予定として2025年3月が示されている。しかしながら、予定として示されている認可時期に対し、現時点で組合からの公表が確認できないため、今後の更新情報を確認する必要がある。
2029年度の完成に向け、品川駅西口が「国際交流拠点」へと進化を遂げる
今回は、港区高輪三丁目の品川駅西口地区で進む市街地再編のうち、建築工事が進行しているA地区((仮称)品川駅西口地区A地区新築計画)と、再開発組合の認可を受けているC地区(高輪三丁目品川駅前地区第一種市街地再開発事業)を紹介した。
品川駅西口一帯では、第一種市街地再開発事業、土地区画整理事業、地区計画等を組み合わせ、街区ごとの建替えと基盤整備を段階的に進められる。また、A地区では、オフィス・商業・ホテル・MICE等を導入する大規模建築が計画され、事業主体には京浜急行電鉄とトヨタ自動車が名を連ねる。C地区では、事務所・住宅・産業支援施設等の導入に加え、デッキレベルの広場や地上部の広場・緑地、集会場などの整備が計画されている。
今回紹介したA・C地区に加えて、区域内では公園整備が位置づけられるB地区や、住宅・商業等が計画されるD地区など、複数の街区で再整備が見込まれている点も特徴である。今後は、各地区の権利変換等の進捗や建築計画の確定情報の更新にあわせて、駅周辺の動線や都市機能の形成過程を追っていく必要がある。

![品川駅西口地区のまちづくりコンセプトとイメージ ※出典:品川駅西口地区まちづくり指針(高輪三丁目地区)検討委員会(2022年)「品川駅西口地区まちづくり指針[高輪三丁目地区]」](http://lifull-homes-press.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/press/2026/02/5bbcd70cf76d6552609f4baf19490d24-600x450.jpeg)












