「観光の街」ではなく「住む街」としても注目を集める難波エリア

観光や商業の中心地として知名度が高い大阪の難波エリアが、いま「住む街」として新たな注目を集めている。大阪・難波(なんば)エリアは、大阪市のほぼ中央、中央区と浪速区にまたがるエリアに位置する。梅田エリアと並び、大阪の二大繁華街の一つで、グリコの看板で有名な「道頓堀」や吉本新喜劇の「なんばグランド花月」などが集まる場所が難波だ。


これまで難波といえば、インバウンド客であふれる道頓堀や心斎橋、あるいはターミナル駅周辺の巨大な商業施設群をイメージする人が多かっただろう。そのため、都市開発の優先順位はオフィスやホテル、商業ビルが先行し、静かな暮らしを求める層からは、住まいの候補として挙がりにくい側面があった。

その結果、難波は複数路線が乗り入れる交通利便性と、百貨店や商店街が揃う生活利便性を兼ね備えながら、住宅価格の面では都心のなかで割安感が残るようになった。つまり、ポテンシャルに対して市場の評価がまだ追いつききれていない「出遅れ感」が、難波の特徴だったといえる。

難波エリアのタワーマンション難波エリアのタワーマンション

しかし現在、大阪市全体の不動産市場は大きな転換期を迎えている。うめきた2期をはじめとする大規模プロジェクトが牽引する梅田エリアでは、新築・中古ともにマンション価格が高騰し、一般的な会社員世帯には手が届きにくい水準になりつつある。この価格上昇の波は大阪市内全域に波及しており、難波エリア周辺の地価やマンション相場も確実に底上げされている状況だ。

そのため、難波エリアは職住近接を求める単身者やDINKS層だけでなく、資産性を重視する層からの視線も熱くなっている。すでに「完成された街」として高値を維持する梅田エリアとは対照的に、これから住宅地としての価値が再評価されようとしているのが、今の難波エリアなのである。

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データで読み解く難波エリアのマンション相場

ここで、難波エリアと梅田エリアの中古マンション動向を見てみよう。

LIFULL HOME'Sのデータによると、JR大阪駅(梅田エリア)の中古マンション価格(70m2換算)は、2025年時点で1億円を突破する勢いを見せており、その上昇カーブの角度も急激だ。オフィス・商業施設に加え、グラングリーン大阪などの超大型開発やハイグレードなタワーマンション供給が集中する梅田は、すでに成熟相場として中古マンション相場が高止まりしている。

JR大阪駅の中古マンション価格相場の推移 ※築10年、専有面積70m2の条件でAI査定した参考価格(出典:LIFULL HOME’S 住まいインデックス)JR大阪駅の中古マンション価格相場の推移 ※築10年、専有面積70m2の条件でAI査定した参考価格(出典:LIFULL HOME’S 住まいインデックス)

対して難波エリアは、梅田ほどの過熱感はないものの、ここ数年で急激な上昇を見せている。LIFULL HOME'Sのデータを見ると、大阪メトロなんば駅周辺の中古マンション価格は2013年頃には3,000万円前後で推移していたが、2025年には6,000万円台前半まで上昇している。この10年強で価格は約2倍に跳ね上がっており、大阪中心部の資産価値向上が難波にも確実に波及していることが読み取れるだろう。また、JR難波駅周辺のデータを見ても同様の傾向があり、2013年の3,000万円前後から2025年には5,500万円を超えており、エリア全体として上昇トレンドを描いているのは間違いない。

つまり現在の難波エリアは、都心の一等地でありながら、梅田エリアに比べると相対的に割安感があるものの、さらなる伸びしろが期待される場所であることがわかる。梅田エリアがすでに天井知らずの相場になりつつあるなか、難波は今後の再開発や交通インフラ整備によって、資産性と居住性のバランスが取れたエリアとして、発展が期待できるエリアといえる。

JR大阪駅の中古マンション価格相場の推移 ※築10年、専有面積70m2の条件でAI査定した参考価格(出典:LIFULL HOME’S 住まいインデックス)大阪メトロなんば駅の中古マンション価格相場の推移 ※築10年、専有面積70m2の条件でAI査定した参考価格(出典:LIFULL HOME’S 住まいインデックス)
JR大阪駅の中古マンション価格相場の推移 ※築10年、専有面積70m2の条件でAI査定した参考価格(出典:LIFULL HOME’S 住まいインデックス)JR難波駅の中古マンション価格相場の推移 ※築10年、専有面積70m2の条件でAI査定した参考価格(出典:LIFULL HOME’S 住まいインデックス)

難波エリアの居住価値を高める再開発プロジェクトが進行中

現在、難波エリアのさらなる成長が期待できるプロジェクトも進行中だ。

南海難波駅と大阪メトロなんば駅直結の大規模開発である「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」がその1つである。難波エリアの中心地、高島屋大阪店のすぐ東側で計画されているこのプロジェクトでは、地上28階・高さ約128mの複合高層ビルが建設される予定となっている。

商業施設やオフィス機能に加え、高級ホテルである「ハイアット セントリック」も入居を予定している。このプロジェクトによる複合高層ビルは、2027年3月に着工し、2031年3月の開業を目指しており、先行して整備された「なんば広場」と連携することで、駅周辺の回遊性が向上し、エリア全体のブランド力の底上げが期待されている。住宅そのものの開発ではないが、こうした「街の顔」となる再開発は、周辺の居住価値にも良い影響を与えるに違いない。

なんば広場については、以下の記事をチェックしてみてほしい。

大阪ミナミの玄関口・なんば駅前が変わる。民間主導でつくる人中心の空間「なんば広場」

「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」現地の様子(2025年12月現在)「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」現地の様子(2025年12月現在)
「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」現地の様子(2025年12月現在)「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」現地の様子(2025年12月現在)

さらに、間接的に難波エリアの価値を高めているのが、周辺の再開発による波及効果だ。現在、大阪都心部では梅田エリアや中之島、夢洲などのベイエリアを中心に、大規模な再開発が続いている。これらのプロジェクトによって、大阪そのものの集客力が高まっており、その恩恵がターミナル駅である難波エリアにも及んでいるのだ。

梅田駅から2駅の十三(じゅうそう)エリアの再開発については、以下の記事を参考にしてほしい。
大阪・十三で進む再開発計画。広域交通結節点へ、阪急なにわ筋連絡線・新大阪連絡線の計画も

難波エリア自体は引き続き商業・オフィス開発が中心だが、周辺エリアの再開発が進むことで、都心をシームレスに使いこなせることができるようになる。日常的な買い物やエンターテインメントは難波エリアで完結させつつ、少し足を延ばせば中之島の文化施設や梅田のビジネス街にもスムーズにアクセスできる。そうすることで、難波エリアでの生活が便利になり、資産価値にもポジティブな影響が及ぶのではないだろうか。

「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」現地の様子(2025年12月現在)多くの人で賑わうなんば広場
「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」現地の様子(2025年12月現在)中之島で進む再開発プロジェクト(2025年12月現在)

交通利便性の向上が期待されるなにわ筋線の開業

難波エリアの住宅価値は、2031年春を予定している「なにわ筋線開業」によって、さらなる成長が期待されている。

なにわ筋線は、JR難波駅・南海新難波駅(仮称)と、梅田エリア、さらには新大阪駅をダイレクトに結ぶ計画である。このプロジェクトにより、関西国際空港から新幹線停車駅である新大阪駅までが一本でつながることとなる。難波エリアはその中間地点として、交通の軸としての役割を担うことになるだろう。これまで乗り換えが必要だったり、時間や距離が心理的なハードルとなっていたりした南北移動が劇的に改善されるインパクトは大きい。

JR難波駅で進められているなにわ筋線の工事(2025年12月現在)JR難波駅で進められているなにわ筋線の工事(2025年12月現在)

なにわ筋線が開通し交通利便性が向上すれば、必然的に居住ニーズや投資マネーを呼び込むきっかけとなる。一般的に、都心へのアクセス時間が短縮されると、その沿線や駅周辺の住宅需要が高まり、家賃やマンション価格が上昇する。難波から大阪の主要都市への実質的な「距離」が縮まることで、都心で働くビジネスパーソンにとっても、難波は十分に通勤圏内の有力な選択肢となるはずだ。

さらに、関西国際空港へのアクセスが強化されれば、インバウンド需要の向上とともに、空港関係者やグローバルに働く層の居住ニーズも取り込みやすくなる。その結果、難波エリアは観光地としての顔と、利便性の高い居住地としての顔が共存する、多くの人が住みたいと思える街となるだろう。

3つの好材料が重なる難波エリアのポテンシャル

では、これからの5年、10年先を考えたとき、「住む場所としての難波」をどう捉えれば良いのだろうか。

大阪の不動産市場は、万博跡地の開発やIR(統合型リゾート)、観光客の増加といった強い支えがあるため、急激に価格が下がるリスクは低いとの声が聞かれる。ただし、これまでのように「買えばどこでも値上がりする」という局面はいつまでも続かないため、これからはエリアごとの実力を見極めることが重要だ。

その視点で見ると、難波エリアには他にはない3つの好材料が揃っている。まず、観光地として世界中から人を引き寄せる圧倒的な商業パワー。2つ目は、住環境に良い影響をもたらす駅前の再開発や施設の再整備。そして最後に、アクセスの向上が期待される、なにわ筋線という新しいインフラだ。

生活のしやすさと、将来の資産性のバランスを高いレベルで両立させたいと考えるのであれば、今から難波エリアに注目しておくのは、合理的だと言えるだろう。他にはない熱気と利便性が混ざり合う難波エリアの魅力は、これからが本番なのかもしれない。

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