八重洲エリアでは3地区で再開発が進展
日本の玄関口である東京駅の東側に位置する八重洲エリアで、新たなまちづくりが進んでいる。これまでも大規模開発が活発なイメージがあった八重洲エリアだが、現在、3地区で同時に進められている市街地再開発事業により街のあり方そのものを変えようとしている。
すでに完了している「東京ミッドタウン八重洲」に続き、「東京駅前八重洲一丁目東A地区」「同B地区」、そして「八重洲二丁目中地区」の3つの巨大プロジェクトが連動している。これらの再開発は、それぞれが独立した事業でありながら、「東京駅前の交通結節機能の強化」という共通の目的のもと、地下空間のネットワーク化や新たな都市機能の導入を通じて一体的に進められている。本記事では、この3つの再開発事業の概要と、八重洲エリア全体がどのように変貌していくのかを解説していく。
八重洲エリアで進展中の市街地再開発事業の位置
現在、東京駅東側に位置する八重洲エリアでは3地区で大規模な市街地再開発事業が進められている。地区としては、八重洲一丁目地内では「東京駅前八重洲一丁目東A地区」、および「同B地区」、八重洲二丁目地内では「八重洲二丁目中地区」となっている。それぞれの市街地再開発事業のエリアは次のとおりとなっている。
この他、八重洲一丁目の北側に位置する日本橋の再生プロジェクトと一体的に進められている再開発では、「八重洲一丁目北地区」においても市街地再開発事業が進められている。
▶︎八重洲一丁目北地区の再開発に関する参考記事:首都高地下化で青空の戻る日本橋リバーウォーク誕生へ。水辺と街がつながる再開発が進行中
これまで八重洲エリアでは、2022年に「八重洲二丁目北地区(街区名称:東京ミッドタウン八重洲)」の再開発が完了し、オフィスや商業施設、ホテル、区立城東小学校の機能に加え、地下空間には「バスターミナル東京八重洲」が立地している。
この八重洲二丁目北地区(東京ミッドタウン八重洲)」の都市計画決定と同時期となる2015年9月に計画決定されたのが「東京駅前八重洲一丁目東A・B地区」となる。また、「八重洲二丁目中地区」については、2017年9月に都市計画決定されている。
東京駅前八重洲一丁目東A地区の再開発とは
八重洲一丁目東A地区の位置は、八重洲通りに面し、施行面積は約0.1ヘクタールと、再開発事業としては比較的規模の小さなエリアに地下2階、地上10階建ての事務所・店舗等の施設が計画されている。後述する同地区に隣接したB地区と比べると規模感として小さいイメージを持つかもしれないが、延べ面積は、大規模小売店舗に匹敵する1万m2超の約1.2万m2が計画されている。
街区名称(A・B地区)は、2025年3月に東京建物株式会社が「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」に決定している。
A地区における事業目的や設計方針、建築物の詳細概要は次のとおり。なお、A地区はB地区と一体的に進められているため、両者ともに事業目的は同じ。また、冒頭でお伝えしたように、今回の市街地再開発では「東京駅前の交通結節機能の強化」が共通目的として掲げられており、現在、地上部分で発着している高速乗合バス乗り場は新たに設けられる地下空間のバスターミナルに移行する。
【事業目的】
①東京駅前の交通結節機能の強化
②国際競争力を高める都市機能の導入
③防災対応力強化と環境負荷低減
【設計方針】
国際都市東京の玄関口としてふさわしい複合機能集積地の形成
【建物概要】
・建物名称:TOFROM YAESU THE FRONT
・施行面積:約0.1ヘクタール
・用 途:店舗、事務所等
・建築面積:約1,200m2
・延べ面積:約12,160m2
・規 模:地下2階、地上10階建て、高さ約45m
・容積率 :約900%
・公共施設:歩行者通路(地上・地下1階)、広場(約250m2)など
・総事業費:約167億円(うち、補助金6.8億円)
※出典:東京駅前八重洲一丁目東A地区第一種市街地再開発事業 事業計画書(2025年5月28日改定)
東京駅前八重洲一丁目東B地区の再開発とは
東京駅前八重洲一丁目東B地区は、施行位置の北西側が外堀通り、南側が八重洲通りに面している。施行面積は約1.3ヘクタールであり、このエリアに地下4階、地上51階建ての事務所や店舗、劇場(約800名収容)、バスターミナル等の複合施設が計画されている。
なお、バスターミナルについては、八重洲二丁目北地区の市街地再開発により2022年9月に八重洲の地下空間に「バスターミナル東京八重洲」が開業している。この第二期エリアに該当するのが今回の再開発であり、新たに地下空間にバスターミナルが整備される。加えて、新たに設けられるバスターミナルは、八重洲地下街を経由して東京ミッドタウン地下のバスターミナルと結ばれる予定となっている。
計画建物の延べ面積は、約22.5万m2となる。同施設と地下街空間で結ばれるグラントウキョウノースタワー(主テナント:大丸東京店)が約21万m2のため、ほぼ同程度の規模といえる。なお、同じく地下空間で結ばれる予定の東京ミッドタウン八重洲の延べ面積は約28万m2となっている。
B地区における事業目的や設計方針、建築物の詳細概要は次のとおり。なお、B地区はA地区と一体的に進められているため、A地区と事業目的等は同じ。
【事業目的】
①東京駅前の交通結節機能の強化
②国際競争力を高める都市機能の導入
③防災対応力強化と環境負荷低減
【設計方針】
国際都市東京の玄関口としてふさわしい複合機能集積地の形成
【建物概要】
・建物名称:TOFROM YAESU TOWER
・施行面積:約1.3ヘクタール
・用 途:事務所、店舗、医療施設、カンファレンス(劇場を含む)等
・建築面積:約8,400m2
・延べ面積:約225,200m2
・規 模:地下4階、地上51階建て、高さ約250m
・容積率 :約1,760%
・公共施設:バスターミナル(約6,000m2)、歩行者通路(地上・地下1階)、屋外広場など
・総事業費:約2,207億円(うち、補助金約209億円)
※出典:東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業 事業計画書(2024年10月18日改定)
八重洲二丁目中地区の再開発とは
八重洲二丁目中地区再開発は、外堀通りや鍛冶橋通り、柳通りに面する施行面積約2.2ヘクタールの中で実施される。2022年に竣工している東京ミッドタウン八重洲とは、あおぎり通りを挟んで隣接するエリアとなる。また、柳通りを挟んで京橋二丁目西地区の再開発(京橋エドグラン:2016年竣工)にも隣接している。
計画建物は、延べ面積38.9万m2、地下3階、地上43階建ての事務所や劇場の用途が計画されている。
特徴的といえる劇場については、阪急電鉄・梅田芸術劇場らが2025年5月に公表した資料によれば、座席数として約1,300席が計画されている。また、同資料では、この劇場を「ミュージカルや演劇・宝塚歌劇・コンサートなど、世界にも発信できる上質な演目の上演を通じて、世界と日本を結ぶ新たなエンターテインメントの拠点となることを目指す」としている。
さらに、他地区同様に、地下1階・2階には、東京ミッドタウン八重洲地下のバスターミナルに隣接する形で約7,400m2のバスターミナルが整備される。この地下バスターミナルが第3期エリアに該当する。
事業目的や設計方針、建築物の詳細概要は次のとおり。
【事業目的】
①東京駅前の交通結節機能の強化と利便性の向上
②東京の国際競争力強化(インターナショナルスクール、サービスアパートメント、エンターテインメント)
③環境負荷低減と防災対応力強化
【設計方針】
国際都市東京の玄関口にふさわしい顔となる風格のある施設づくり
【建物概要】
・施行面積:約2.2ヘクタール
・用 途:事務所、劇場、店舗、サービスアパートメント、インターナショナルスクール、バスターミナル
・建築面積:約15,540m2
・延べ面積:約389,290m2
・規 模:地下3階・地上43階建て、高さ約227m
・容積率 :約1,670%
・公共施設:バスターミナル(約7,400m2)、歩行者通路、屋外・屋内広場
・総事業費:約3,740億円(うち、補助金約411億円)
※出典:八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業 事業計画書(2024年11月8日変更認可)
事業スケジュールまとめ
再開発事業は、いずれも建築工事に着手している。このうち、最も早く竣工するのが「八重洲一丁目東B地区」であり、2026年2月の竣工が予定されている。その後、同年7月に同A地区が竣工する。また、少し時間を空けて、2029年1月に「八重洲二丁目中地区」が竣工する予定となっている。
・八重洲一丁目東A地区
建築工事の竣工予定:2026年7月
・八重洲一丁目東B地区
建築工事の竣工予定:2026年2月
・八重洲二丁目中地区
建築工事の竣工予定:2029年1月
なお、竣工予定は、現在、再開発組合が公開している事業計画書に基づくものであり、今後の社会情勢等の変化に伴い竣工時期が変わる可能性がある。
3地区の再開発のまとめ
今回、事業が進められている3地区の市街地再開発事業における最大の特徴としては、事業の目的の一つである「東京駅前の交通結節機能の強化」にある。これを達成するため地下空間には巨大なバスターミナルが整備される。これらのバスターミナルは、八重洲地下街を起点に一体的に結ばれ、それぞれの再開発事業の地下空間にバスターミナルが整備される(補足:竣工済の東京ミッドタウン八重洲地下バスターミナルには、9バースが供用済)。
すべてのバスターミナルが完成すると合計で28バース(うち、待機バース8)となる。現在、地上部分で発着している高速乗合バスは地下空間に移行する。これにより地上部分で路線バスやタクシーなどが錯綜している状況が解消されるとともに、歩道上に待合客が溢れている状況も緩和される。
また、「八重洲二丁目中地区」の再開発が完了すると、地下ネットワークが拡充され、京橋駅と東京駅八重洲地下街が結ばれる。これにより、京橋駅から地上に出ることなく、東京駅までアクセスすることが可能となる。
このことに加え、京橋地区でも再開発が進められており、完成すると、東京駅から、東京高速道路(KK線)跡地で進められている歩行者空間(Tokyo Sky Corridor)とも結ばれることとなる。
さらに、再開発に伴う特徴的な建物用途として、主用途であるオフィスのみならず、劇場やカンファレンスホール、インターナショナルスクール、サービスアパートメントなどが計画されている。多様な用途が混在する複合拠点が形成されることとなり、これにより、八重洲に新たな魅力的な拠点が形成される。
なお、すでに「東京駅前八重洲一丁目東B地区」および「八重洲二丁目中地区」の再開発に伴い整備される劇場やカンファレンスホールに関してのサイトが立ち上がっているので興味がある方はぜひ。
▶︎東京駅前八重洲一丁目東B地区
新劇場・カンファレンスホール https://www.yaesu.theater-conference.jp
▶︎八重洲二丁目中地区
劇場 https://www.umegei.com/shin-gekijo/





















