北九州モノレール開業40周年 地域発展を支えたこれまでの歴史を振り返る
小倉の街を南北に結ぶ北九州モノレール。街の発展を支え、雪の日も走り続けてきた。高架を走るその姿は、今や北九州の風景として欠かせない存在だ。
そんな北九州モノレールが、2025年1月9日に開業40周年を迎えた。40年間愛され続けてきた北九州モノレールのこれまでを、北九州モノレール 総務部の壽善朗さんに取材してきた。
高度成長期の交通課題を解決し、地域の未来を担うインフラへと進化した北九州モノレール
高度成長期、北九州市内はマイカーが急増。市の中心都市・小倉の南部に広がる住宅街・徳力地区から小倉駅まで、車での所要時間は1時間を超えていた。増加の一途をたどる人口に、路線バスなど既存の交通機関での対応も困難になっており、都市交通審議会(現・交通政策審議会)が、小倉都市部に新たな輸送機関の必要性を運輸大臣に提言していた。
そこで、1976年にモノレールを運営する北九州高速鉄道株式会社が設立され、1985年に小倉駅(現在の平和通駅)と小倉南区北部の住宅街に位置する企救丘(きくがおか)駅を結ぶ、全12駅(当時)、全長8.4キロメートルの「北九州モノレール 小倉線」が開通した。
当初は国鉄(現JR九州)小倉駅の北側を起点とするルートなど、複数のルートが検討されたが、さまざまな制約や工事条件、コストの関係から見送られ、国鉄小倉駅の南口へ駅が設けられることとなった。高架を走行することでの騒音やプライバシーの懸念、人の流れの変化による商店街への影響など、地域からはさまざまな不安の声が上がったことにより、小倉駅への乗り入れが実現せず、モノレール小倉駅は、国鉄小倉駅から約400メートル南に離れた場所への設置となった。しばらくは、乗り換えの際に国鉄小倉駅まで歩かないといけなかったが、開業から13年が経過した1998年、JR小倉駅の建て替えを機に、ようやく北九州モノレールのJR小倉駅乗り入れが実現。この年、北九州モノレールは単年度決算で黒字に転じた。
モノレール開業によって田園地帯から人気の住宅街となった終着駅・企救丘
特筆すべきは終着駅・企救丘駅周辺の変貌だ。市の南部に位置する企救丘は、かつて田園風景が広がる住宅開発途上の地域だった。開業前は住宅もまばらで、バスと自家用車に頼る生活を余儀なくされていた。しかし、モノレール開業を機に住宅地としての価値が高まり、現在では高層マンション群が建ち並ぶ住宅密集地へと変貌。小倉の中心部まで19分という利便性から、若い世代の人気エリアとなっている。
小倉南区・北区の全人口約38万人の2割程度がモノレール利用圏内に住む。北九州市全体の人口は減少傾向にある中、モノレール沿線は比較的人口を維持している。200台規模で定期乗車券利用者向けのパークアンドライド駐車場も整備され、郊外からの利用者にも対応。モノレールの存在は沿線の資産価値維持に貢献している。
確かな技術力が支える利便性 雪にも強い運行システムとICカード導入で進化を続ける
北九州モノレールの最大の特徴は、天候不問の運行能力だ。日本跨座式と呼ばれる形式で、車輪が軌道を挟みこむ。コンクリートと鉄製の軌道は荒天にも強い。特に雪への対策は徹底しており、降雪が予想される日の始発前には、軌道へ凍結防止液を散布するという。さらに、先頭車両には雪を除けるためのブラシも設置されている。
「高架を走行するモノレールは、強風や積雪の影響を受けやすい条件下にありますが、台風時以外はほぼ確実に運行しています。台風の際の計画運休も、社会全体の動きに合わせたものです」と、壽さんは説明する。通常時の運行は極めて安定しており、ダイヤが乱れることは年に一度あるかないかだ。
高頻度運行も特徴だ。日中は10分間隔、朝は7分間隔という運行を維持しながら、過去6回のダイヤ改正で利便性を向上させてきた。2016年には21時台の運行間隔を15分から10分に短縮、最終電車も24時まで延長した。
開業以来使用してきた磁気式乗車券は、取り間違いやリサイクルの問題に加え、機械トラブルの原因となっていた。この課題を解決する転換点となったのが、2015年のICカード導入だ。JR九州とモノレールの乗車が1枚のカードで利用可能となり、観光客も気軽に利用できるようになった。さらに、同時に導入したQRコード式切符は、磁気乗車券の問題を一気に解決した。
地域と共に歩む北九州モノレール 広がり続ける連携の輪が示す新たな可能性
地域との関わりは多岐にわたる。沿線の幼稚園や学校と連携し、七夕シーズンには園児の飾り付けた笹を展示。北九州市立大学の学生と共に行う清掃ボランティア活動「グリーンバード」(全国展開する環境保護団体)に参加したり、沿線の九州職業能力開発大学校(愛称:九州ポリテクカレッジ、厚生労働省所管の職業訓練校)の学生の作品を駅に展示したりするなど、教育機関との連携も積極的だ。
北九州市内の観光スポットが点在している課題に対し、モノレール満喫マップを制作するほか、沿線の魅力情報を配信するホームページ「ちょこっとモノ旅」を開設し、新たな魅力の掘り起こしを行うなど、観光客の市内周遊に向けた取り組みも積極的に行っている。
沿線には、JRA(日本中央競馬会)が運営する全国10ヶ所の競馬場の一つ・小倉競馬場があり、JRAとの連携も実現。40周年を記念したコラボイベントを行った。
加えて、西日本鉄道グループの西鉄バス北九州と沿線居住者の利便性向上に向けた取り組みを行うなど、公共交通事業者間の連携にも積極的に取り組んでいる。
次の10年への新たな挑戦 40年の実績を糧に未来を見据える北九州モノレール
開業40年を迎え、設備老朽化への対応は待ったなしの課題だ。モノレールという特殊な設備ゆえ、部品調達にもコストがかかる。
「これまでの40年間、人と人、町と町を繋ぐ公共交通としての使命を果たしてきました。これを50年、60年と続けていけるよう、試行錯誤しながら前を向いて取り組んでいきたい」と壽さんは語る。次の10年への決意を込めた言葉には、40年の実績に裏打ちされた自信と、新たな挑戦への意欲が感じられる。
所要時間19分、13駅・8.8キロの路線には40年の歴史と、数えきれない市民との思い出が刻まれている。
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