住宅ローン金利の最新動向
⽇銀が政策⾦利を引き上げた影響を受け、住宅ローンの⾦利は上昇傾向にある。
例えば、2024年9月の三井住友銀行の10年固定型住宅ローンの金利は前年同月から0.66ポイント上昇して1.75%、三菱UFJ銀行も同0.17ポイント上昇して1.05%となっている。これにより、住宅購入者の資金計画に影響を与えることも予想されている。
住宅ローンは「固定型」と「変動型」に分かれるが、現在、多くの購入者は低金利を享受できる変動型を選ぶ傾向にある。変動型は短期金利に連動し、最近の調査では約7割の購入者が変動型を選択しているようだ。しかし、変動型に関しても短期プライムレートに連動して今後さらなる変動が予想されているため、慎重な判断が求められるだろう。
金融機関間での顧客獲得競争も
これまで、多くの金融機関は「低金利」を武器に住宅ローンの顧客獲得競争を繰り広げてきた。しかし、最近の金利上昇を受け、金利以外の特典を打ち出して差別化を図る動きが活発になっている。金利以外の特典を打ち出す住宅ローンの例は後述するが、金利に加えて顧客のライフスタイルやニーズに合わせたメリットを提供する金融機関が増えてきているのだ。
したがって、住宅ローン選びの際には金利以外の要素にも注目することが不可欠といえる。特典やメリットを活用することで、長期的な負担を軽減できる可能性があるため、各金融機関の金利以外のサービスに目を向けてみてはいかがだろうか。
金利以外の特典を打ち出す住宅ローンの例
金利以外の特典を提供する住宅ローンは、顧客の多様なニーズに応えるために、金融機関が創意工夫を凝らした商品を展開しており、以下のような事例がある。
●イオン銀行
イオン銀行では住宅ローンを契約した顧客に対して、イオングループでの買い物時に5%OFFとなる特典やWAONポイント2倍といった優遇が提供されている。「イオン」「マックスバリュ」「まいばすけっと」など、イオングループの総合スーパーやスーパーマーケットは全国にあり、特典の恩恵を受けられるという人も多いだろう。
●三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行では女性向けの特典として、出産後に一定の期間の金利が優遇されるサービスを展開している。産休や育休などで収入が減りやすい期間に支払い額が減らせることはメリットになるだろう。
●ヤマダNEOBANK住宅ローン
ヤマダNEOBANK住宅ローンは、住信SBIネット銀行が提供する住宅ローンで、ヤマダファイナンスサービスを通じて利用可能。家電や家具の購入費用も住宅ローンに組み込める点が最大の特徴といえる。家の購入と同時に新生活の準備もスムーズに進められることが魅力だ。また、「ヤマダデジタル会員」向けに、ネット銀行ならではの利便性とヤマダ独自の特典を組み合わせた商品が提供されており、家電購入時のポイント還元や特別割引といったメリットも享受できるようになっている。このように、住宅ローンに加えて生活インフラに関わる家電や家具のコストをカバーできる点が、大きな魅力となっている。
●F NEOBANK
F NEOBANKは、プロ野球・北海道日本ハムファイターズのファン向けに住信SBIネット銀行が提供するサービスだ。このローンは、ファイターズの成績に連動して、毎年キャッシュバックを受けられるというユニークな特典になっている。例えば、ファイターズがシーズンで上位にランクインすれば、円預金や住宅ローンの取引に応じたキャッシュバックが発生する。また、「北海道ボールパークFビレッジ」での優待や球場内での特典も豊富で、ファンであれば試合観戦の際にFマイルをためることができるため、楽しみながらローンを利用することが可能だ。このように、スポーツファンのライフスタイルに合わせた特典が充実している点が特徴となっている。
●ANAマイル付き住宅ローン
ANAマイル付き住宅ローンは、ソニー銀行を通じてANAファシリティーズが提供する商品で、住宅ローンを利用することでANAマイルがたまる特典が付いている。具体的には、借入金額20万円につき100マイルが付与され、例えば3,500万円を借り入れた場合、1万7,500マイルを獲得できる。マイルはANAグループのフライトや提携先での利用が可能で、旅行や買い物にも役立てられる。飛行機を頻繁に利用する人にとっては、住宅ローンを通じてマイルをためることで、実質的な旅行費の節約にもつながるメリットが大きいだろう。旅行好きにとってうれしい特典といえる。
背景にはネオバンクの普及も
多様な住宅ローン特典が生まれている背景には、ネオバンクの広がりが大きく関わっている。ネオバンクとは、銀行免許を持たずに銀行サービスを提供する業者を指し、ヤマダNEOBANKやF NEOBANK、ANA NEOBANKもその一例だ。
最近注目を集めているのが、JR東日本の「JRE BANK」。JRE BANKは、新幹線の運賃が4割引になる特典や、口座開設時に4,000ポイントがもらえるなど、鉄道会社ならではの独自のキャンペーンを展開しており、一時は申し込みが殺到したようだ。
ネオバンクは米国で2010年頃から登場し、現在では欧州、アジアなど全世界に広がっている。日本では、2018年に改正銀行法が施行され、JAL NEOBANKが第1号として誕生した。その後、ヤマダ電機や北海道日本ハムファイターズなど多様な企業が参入し、現在では30以上の事業者が銀行代理業者として活躍している。こうしたネオバンクの普及により、銀行サービスはより手軽になり、特典の一般化が進んでいるのだ。今後も、この動きがさらに加速することが期待される。
住宅ローンを選ぶ際、これまでは一般的に金利が最も重要な要素とされてきた。しかし、昨今では金利以外の特典が注目され、住宅ローンの新しい時代が訪れている。ネオバンクを利用した企業が提供する特典は、単なる金融商品にとどまらず、家電割引やポイントサービス、さらにはファン向けの特別なキャンペーンまで多岐にわたる。
こうした特典は、住宅ローン選びに新たな価値を提供し、消費者のライフスタイルに直結するメリットをもたらしている。これからも、ネオバンクをはじめとした各金融機関による多様な特典を通じて、利⽤者に新しい価値を提供することが期待されるだろう。
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