地震で全半壊していない家屋でもそのまま住み続けられるとは限らない
毎年のように規模の大きな地震が発生し、「地震大国」と呼ばれる日本。2024年1月1日には「令和6年能登半島地震」、8月8日には宮崎県日向灘を震源とする地震が発生している。どちらもマグニチュード7を超える、規模の大きな地震だ。マグニチュード7未満の地震だとさらに回数は増える。気象庁によれば、2024年に全国で震度3以上を観測した地震は27回、震度4以上を観測した地震は7回発生しているという。
地震で家屋が全壊や半壊などの大きな被害を免れ、見た目では何も問題がないように見える場合、「助かった」と安心するかもしれない。しかし一見被害を免れたように見える家屋でも、その後もそのまま住み続けられるとは限らない。見えない部分・わかりにくい部分が損傷していたり、揺れの影響で構造耐力が低下している可能性があるためだ。
このような家屋に居住していると、再度地震が発生したときに倒壊などの大きな被害を受けることが考えられ、危険である。とはいえ、建築などの知識のない人が安全かどうかを調査・判断するのは困難な作業といえよう。そこで国土交通省と一般財団法人日本建築防災協会は木造住宅向けに、専門の知識がなくても住宅の状況を判断できるチェックリストを考案し、パンフレットを作成し配布している。
この記事では木造住宅の地震後の安全チェックリストについて、その内容やポイントを紹介したい。地震後に木造住宅に住み続けるべきか、地方自治体や専門家に相談すべきか、判断する参考にしてほしい。
※参考
木造住宅の地震後の安全チェック方法を作成しました!|国土交通省
国土交通省と日本建築防災協会による、木造建築の地震後の安全チェックリスト
国土交通省と一般財団法人日本建築防災協会によるパンフレットの安全チェックリストは、以下の条件に該当する木造住宅を対象としている。まずは自宅が該当するかどうかを確認しよう。
【対象となる木造住宅】
- ◆ 震度5強以上の揺れを受けた
- ◆ 大きな被害(家全体が傾く、柱が折れる、外壁が外れるなど)はない
- ◆ 平屋、2階建て、3階建てのいずれか
- ◆ 1981年(昭和56年)6月以降に建てた
自宅がパンフレットの木造住宅の地震後の安全チェックリストに該当していたら、リストで確認すべき項目は次の4つとなる。
【安全チェックリストの項目】
(1)敷地や住まいの状況
(2)基礎の状況
(3)内壁と外壁の状況
(4. 発生した地震の居住地域での震度
1項目ずつ詳細を見ていこう。
【チェック1】敷地や住まいの状況のチェック
まず確認するのが、敷地や住まいの状況だ。確認項目は全部で以下の3点。
(1)敷地内に液状化やひび割れがある
(2)床をものが転がる
(3)窓の開閉がしづらくなった
(1)に関しては目視で確認でき、(3)に関しては実際に窓を開閉してみるとことで確認ができる。(2)は、野球や硬式テニス・サッカーなどのボールを床に置いてみよう。もし何もしなくてもボールが転がっていけば、(2)に該当する。
もし先の3項目がすべて「いいえ」であれば、次のチェック項目へ進もう。
ひとつでも「はい」になったら、自宅が地震の影響で耐震性が低下していることが考えられる。居住する地方自治体の役所や、専門家への相談をおすすめする。
【チェック2】基礎の状況のチェック
続いてチェックする項目は、基礎の状況だ。確認するのは、次の2項目。
(1)基礎に大きな損傷がある
(2)基礎にひび割れが3ヶ所以上ある
(1)の「大きな損傷」とは、基礎部分に大きな欠けがあったり、モルタルなどの仕上げ材の浮き・剥がれがあったりする場合だ。(2)のひび割れは、ひびの幅が0.3mm以上のものが目安となる。0.3mmは厚手のハガキやポストカード・名刺などの厚みとほぼ同じになる。ひび割れがあったら、実際にハガキや名刺などを当ててみて、幅を測ってみよう。
2項目がすべて「いいえ」であれば、次のチェック項目を行う。
ひとつでも「はい」になったら、耐震性が低下が懸念されるため、居住する地方自治体の役所や専門家へ相談しよう。
【チェック3】内壁と外壁の状況のチェック
次にチェックする項目が、内壁と外壁の状況だ。内壁・外壁それぞれに確認を行う。まず内壁の場合、以下の3点のどれに該当するかを確認しよう。
(イ)目立つ損傷がない
(ロ)損傷が比較的小さい
(ハ)損傷が比較的大きい
なお内壁がクロスなどの壁紙か、しっくい・ジュラク等の塗り壁かによって確認の仕方が変わってくる。壁紙の場合、窓などの開口部の隅に破れが生じる程度だったら(ロ)、その破れが床あたりまで達していたときは(ハ)に該当すると判断する。
塗り壁の場合、木部沿いに隙間ができていたら(ロ)、壁に割れが発生していたら (ハ)に該当すると判断できる。
続いて外壁を見ていこう。外壁の場合も、次の3点のどれに該当するかを判断する。
(イ)目立つ損傷がない
(ロ)損傷が比較的小さい
(ハ)損傷が比較的大きい
また外壁もサイディング(横張り)かモルタル等の塗り壁かといった仕上げの方法によって、判断の仕方が変わってくる。
サイディングの場合、目地の細かい開き・ズレなどの他に目立った損傷がないときは(ロ)、割れや目地のズレといったものが見られる場合は(ハ)だと判断する。塗り壁の場合は、幅0.3㎜未満のひび割れだったときは(ロ)、剥がれや幅0.3㎜以上のひび割れがあるときは(ハ)に該当する。
内壁・外壁で、いずれも(イ)(ロ)のみだった場合は、次のチェック項目へ進もう。内壁または外壁にひとつでも(ハ)があった場合、地震により耐震性が低下しているとみられる。早めに居住する地方自治体の役所や専門家へ相談した方がいいだろう。
【チェック4】発生した地震の居住地域での震度
最後にチェックするのは、発生した地震の居住地域での震度だ。居住地域の震度が「震度7」「震度6強」「震度6弱」だった場合は、そのまま家に住み続けても大丈夫と判断される。
一方、「震度5強」だった場合、チェック3の内壁・外壁の状況がすべて「(イ)目立つ損傷がない」だったら、住み続けても大丈夫と判断できる。しかし内壁・外壁のうち、ひとつでも「(ロ)損傷が比較的小さい」があった場合は、居住する地方自治体の役所や専門家への相談が必要になる。
注意してほしいのは、自宅に住み続けても大丈夫と判断される場合でも、屋根瓦が被害を受けていたりするなど、チェック項目以外に補修が必要な部分がある場合、そのままにせず早めに補修を依頼することだ。たとえば、ちょっとした衝撃で屋根瓦が落下したりするなど、危険が生じる可能性があるためである。
チェックで耐震性の低下の可能性がわかったら、すぐさま自治体等へ相談を
大きな地震のあとは、余震も大きな場合がある。また地震大国である日本では、いつ再度地震が起こるかわからない。新たな被害を受けないためにも大きな地震のあとには、木造住宅の地震後の安全チェックリストを活用して自宅の状況を確認してほしい。そしてもし耐震性の低下の心配があるなら、躊躇することなく自治体や専門家へ相談しよう。
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