国も進める共生社会の実現

令和5(2023)年障害者白書(内閣府)によると、何らかの障がいのある人の総数は約1,160万人。これは国民の約9.2%にあたる数字であり、増加傾向が続いている。

国際的にも、障がい者の固有の尊厳の尊重を促進しようと、2006年には国連が「障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)」を採択。日本も2007年に署名して以来、国内法の整備に取り組んできた。

2011年の「障害者基本法」の改正では、障害者権利条約の趣旨を取り込んだ規定を設け、2013年に障害者差別解消法としてそれらを具体化した。また、障害者差別解消法では、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すとしている。2021年の障害者差別解消法の改正を受け、2024年4月以降は、事業者に対して障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されている。

一般社団法人 プレハブ建築協会 専務理事 臼井浩一氏一般社団法人 プレハブ建築協会 専務理事 臼井浩一氏

こうしたなか、障がいのある人が自立し社会の一員として暮らす共生社会の実現へと、住宅メーカーも住まいやまちづくりなどの分野で取り組んでいることをご存じだろうか。

2023年12月21日にオンラインで開催された「すまい・まちづくりシンポジウム2023」(一般社団法人プレハブ建築協会が主催)では、「ダイバーシティ&インクルージョンのまちづくり~多様な人々との共生をデザインする~」をテーマに、障がいのある人にフォーカスした基調講演や住宅メーカー3社による事例紹介、パネルディスカッションが実施された。

障がい者グループホームの運営者や地域住人らの声に、住宅メーカーが持つ技術的あるいは人的パワーで応えた三者三様の好事例が展開されている。またそういった取り組みは、地域への思わぬ波及効果も見られているとのこと。本稿ではそのシンポジウムの内容を紹介したい。

障がい者が自立する共生社会に向けた課題とは

筑波大学 人間系 障害科学域 助教 大村美保氏筑波大学 人間系 障害科学域 助教 大村美保氏

基調講演は、筑波大学 人間系 障害科学域 助教 大村美保氏により行われた。大村氏は「障がい者施設の建設では、周辺住人とコンフリクト(対立や衝突、意見の違いによる緊張状態)が起こることがあります」と話す。しかしこれからの時代、地域存続も視野に、多様性を認め支え合って暮らす社会の実現は不可欠だという。

国も地域共生社会の実現を推進しているが、その背景について「社会は変化し、生きていくのが困難と感じる層が、高齢者や子ども、障がいをもつ人など、従来の社会的弱者とされてきた人に限らなくなってきている。血縁のつながりが薄れた現代は、自由である一方で生きていく難しさが社会で見えるようになり、孤独や孤立も起こっています」と大村氏。

大村氏は、障がいのある⼈をインクルージョンする共⽣社会の実現に向けて必要なこととして、地域の⼈や社会がつながり、助け合い暮らす包摂的なコミュニティや、分野や領域を超えた地域づくりの担い⼿が出会い発展の場となるプラットフォーム、障がい者など社会的弱者⾃⾝の⾃⽴などを挙げる。

特に障がいのある人の自立について、障害者権利条約では「全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有する」としている。2014年にこの条約に批准した日本は、2022年に初めて国際モニタリングを受けた。しかし教育と暮らしの分野で、改善要請を受ける。

暮らしの分野で受けた具体的な要請は次のとおり。

●障がい者の施設収容を廃止するための迅速な措置をとること
●インフォームド・コンセントを確保し、地域社会で必要な精神保健支援とともに自立した生活を育むこと
●障がい者が特定の生活形態に住むことを義務づけられないようにすること
●障がい者が地域社会での自立した生活に移行するための、法的枠組みおよび国家戦略、都道府県の義務付けを開始すること
●独立した安価な住宅など、地域で自立して生活するための支援体制を強化すること

日本も2002年の障害者基本計画で「入所施設は真に必要なものに限定」するとしており、施設入所の割合は少しずつ減少してグループホームの利用者が増えているという。しかしまだ道半ば。「インクルーシブな社会をつくることと住まいの選択肢を増やすことは、地域社会で支えるサービスや、専門分野との連携で行う必要があります」と大村氏。障がい者にも「ライフスタイルや日常生活に関する選択の自由がある」とし、“自立”の意味も、かつての経済的・身辺的に他者に頼らず自力でできることという考え方から、身辺的には他者に依存することを認めながら、選択は自分でできるという考え方にシフトしていると語る。

障がいのある人も地域の一員として生きる共生社会の実現のためには、ハードとソフトの両面を整え、また周囲は何かをしてあげるのではなく、障がいのある人の自己決定をサポートする環境が必要だとした。

障がい者グループホームとカフェなどが共存する「OpenVillage ノキシタ」

OpenVillage ノキシタ(佐藤氏の投映資料より)OpenVillage ノキシタ(佐藤氏の投映資料より)

続いて住宅メーカー3社による事例紹介が行われた。1例目は、積水ハウス株式会社 地方創生戦略部 佐藤哲氏から「地域資源の活用と多世代交流による、居場所・コミュニティづくり」をテーマに、宮城県仙台市にある2つの障がい者グループホーム、「OpenVillage ノキシタ」と「台の森プロジェクト」の取り組みが紹介された。いずれも「福祉だけでなく、それをとりまく環境や社会課題を解決しようとする新しい取り組み」(佐藤氏)である。

ノキシタは、東日本大震災の被災者が移住した町にある。新しい町でのコミュニティづくりや、高齢者や障がい者の課題解決に取り組みたいと考えた運営事業者を積水ハウスがサポートしたものだ。

「高齢者が、障がい者や子どもをサポートする役割をもち、自身の健康につなげていく発想を形にしました。世代や障がいの有無を超えて人が集まれるよう、障がい者グループホームを包みこむように、ショートステイや保育園、就労支援カフェ、誰でも利用できるコレクティブスペースなどが配置されています」

ノキシタでは、震災による移住者らがコミュニティの重要性を再認識した経験も生かされているとし、コレクティブスペースに近隣住民も集まり、和やかに過ごす様子が紹介された。

OpenVillage ノキシタ(佐藤氏の投映資料より)ノキシタでは世代を超えたコミュニケーションが生まれている(佐藤氏の投映資料より)

佐藤氏は「現在、医療・福祉・介護の分野がボーダーレスになってきており、利用者や地域のニーズを受けとめたとき、ひとつの施設だけで問題解決を図る時代ではなくなっている」と感じたとのこと。最近では親子向けのイベントも企画。子ども連れでやってきた子育て世代が、ノキシタにいる高齢者に育児相談をするなどして、世代を超えた交流が生まれているそうだ。

「個々が持つ多様な問題は行政だけでは解決できないこともあり、孤立し悩みを誰にも話せない人たちが、気軽に相談し合える場所をつくることが必要だと実感しました」

他方「台の森プロジェクト」は、長年住まい手不在だった相続不動産を活用した事例だ。敷地内には、長期間かけて大きく成長した樹木がある。「この樹木をできるだけ残して地域に役立つ場所にしてほしいと、個人所有者から要望を受けたもの」と佐藤氏。手入れされた樹木は、立ち寄りたくなる森へと生まれ変わり、敷地内にはグループホームのほか、ギャラリーやカフェ、オーガニック野菜の畑、その野菜を使ったメニューを提供するレストランが共存する。

「四季折々の花や、夏も木陰で涼を楽しめる場ができました。コロナ禍でも十分な離隔を取りながら、小さなお子さん連れなど多くの方がいらしたそうです」

グループホームのスタッフが入居者と散歩に出て、町の人たちと挨拶を交わす。「敷地内のカフェなどとも、気づかい過ぎず、踏み込み過ぎず、良いご近所付き合いができているそうです」と佐藤氏。長年使われず、その活用に悩んでいた個人所有財産が、自然な形で地域に溶け込み、今では地域に欠かせない交流の場となっていることが伝わる。

「地域共生社会の実現には、住みながら自分ごととして取り組んでいく人たちが集まりやすい仕組みづくりが大切だと実感しました」

佐藤氏は、両プロジェクトを通じて感じたことをこう話して事例紹介を終えた。

OpenVillage ノキシタ(佐藤氏の投映資料より)施設の集いの中心となるノキシタのコレクティブスペース(佐藤氏の投映資料より)

農業で障がい者と地域高齢者の雇用を実現する「ココランハウス」

2例目は大和ハウス工業株式会社 栽培事業開発室 東 上氏から、「郊外住宅地での農福連携の実践」をテーマに、特例子会社によるオリジナルミニ胡蝶蘭の栽培が紹介された。農福連携とは、国が進める取り組みで「担い手が減っている農業に障がい者や高齢者が就き、社会参画を促すプロジェクト」(東氏)のことだ。

大和ハウス工業は、COCOLAN(ココラン)と名付けたオリジナルのミニ胡蝶蘭を開発。その栽培に、知的障がい者を社員として、また地域に住む高齢者をパートタイマーで雇用し、農福連携を行っている。栽培施設である「ココランハウス」は兵庫県三木市・緑が丘ネオポリス(青山地区)に所在する。ここはかつて同社が開発した住宅地でもある。

東氏は「誰でも従事できる易しい農業技術で、植物の成長を共に喜び合える“優しい”コミュニティを形成するのがミッション」と話し、その方法を「胡蝶蘭の栽培は難しいとされていますが、人工光(LED)による照射と、下から汲み上げる底面冠水方式により壁を乗り越えました。上下に棚を積む多段式栽培で、省スペース化と高齢者の移動距離の短縮も実現しています」と説明した。

出荷条件から外れたものは装花などに活用したり、残った株を元気づけて花芽出しの工程に循環させたり、環境配慮も欠かさない。地域共生活動の取り組みも積極的だ。学生の課外授業の受け入れや、近隣の小学校や特別支援学校での出張授業を実施しているほか、「2019年に試験栽培で初めて咲いたミニ胡蝶蘭は、三木市内小学校へ進呈し、卒業生からお世話になった人へのプレゼントに利用してもらいました。以来毎年続けており、喜んでもらっています」とも。ちなみにミニ胡蝶蘭は、敷地内のガーデンで月1回開催されるミニマルシェで買うことができるそうだ。

兵庫県三木市にある農福連携事業の拠点「ココランハウス」(東氏の投映資料より)兵庫県三木市にある農福連携事業の拠点「ココランハウス」(東氏の投映資料より)

農福連携事業は、特例子会社の大和ハウスブルーム株式会社が行う。「親会社(大和ハウス工業)が苗を仕入れ、大和ハウスブルームが栽培。それを全量、親会社に納品するというスキームです。一定要件を満たして厚生労働大臣の認可を受けると、特例子会社の障がい者雇用数を親会社の法定雇用率に算入できます」東氏。高度経済成長期に自社が開発した住宅地で障がい者と地域高齢者の雇用を生み、ミニ胡蝶蘭を通じて地域とのつながりも育むという、新たなまちづくりを展開する事例だ。

東氏は「親会社である大和ハウス工業と協力し、すべての障がい種の雇用を実現したいです。大和ハウスブルームでは、知的障がいのある人が農業を通じてやりがいを持って働けることを理念に続けていきます」と展望を語り、「ココランハウスの視察アテンドはブルームのメンバーがします。関西に来られる際は、実際にご覧いただければと」と締めくくった。

兵庫県三木市にある農福連携事業の拠点「ココランハウス」(東氏の投映資料より)大和ハウス工業のオリジナルミニ胡蝶蘭「COCOLAN」(東氏の投映資料より)

モデル化した建物とマスターリース・サブリースで展開する「ケアリンクシステム」

3例目は、パナソニックホームズ株式会社 商品企画室 特建事業商品企画課 大元尚弘氏から「ケアリンクシステムと実例」をテーマに、障がいのある人々が安心して暮らせる住まいの提供についての紹介がされた。

同社が医療・福祉事業プロジェクトで手がけた建築は、全国で2,000棟を超える。実績を積む中で「市場の声からコンサル事業も必要と気づき、2005年に直営の介護付き有料老人ホームを開設。ここで得た生きたノウハウをコンサル業に生かしています」と大元氏。最近の取り組みについて、「高齢者向けの医療・福祉建築に加えて、障がい者グループホームが増えています。障がい者グループホームを整備し、その周辺のサービス、医療、相談支援などで地域社会を作っていくことを目指しています」と話す。

障がい者の高齢化や重度化が進む中、グループホームについては、2018年にそれまでの介護サービス包括型、外部サービス利用型に加えて、日中サービス支援型が制度化された。24時間体制の支援を提供するものだ。

「我々は日中サービス支援型で、10人程度+短期入所1人を1ユニットとし、1ヶ所あたり2ユニットをベースに展開。居間・食堂は自宅を再現したようにつくり、居室は静かな位置に配置してプライバシーを確保しています。水回りもケアしやすい配置にするなどした建物をモデル化し全国展開することで、価格が明確で、スピーディーな展開ができています」(大元氏)

建物をモデル化するメリットは、検討中のオーナーや事業者が実際に運営中のグループホームを見ることができることで、完成をイメージしやすい点が大きいという。しかしWAM NET(独立行政法人福祉医療機構)実施のアンケートでは、資金調達の目途が立たないとの理由で、障がい者グループホームを建てたい事業者の割合が低く出ていると大元氏。

そこで、それをカバーするのが同社の独自システムである「ケアリンクシステム」というわけだ。土地建物オーナーと医療介護事業者の間にパナソニックホームズのグループ会社を入れ、30年一括借り上げのマスターリース、サブリースによって事業を進める。同社は運営事業者の経営をモニタリングしながら、オーナーに対して定期的に賃料を支払う。事業者にとっては、初期投資を抑えてスピーディーに事業展開できることと、上質な建物を使用できることがメリットと話す。

パナソニックホームズの障がい者グループホーム建設実績パナソニックホームズの障がい者グループホーム建設実績

建築事例はさまざまで、住宅地に溶け込む一般住宅のような建物も紹介された。個人が地元の社会貢献をしたいと建てたグループホームだという。
ほかに、1階に作ったパン工房で職業支援をしながら、2階・3階をグループホームとする事例や、一つの敷地に障がい者グループホーム2棟と生活介護施設をつくった事例もあった。「地域に溶け込む拠点をつくり、街づくりにつながる仕掛けについては、あえて難しいチャレンジをしています」とのこと。

土地建物オーナーは、社会貢献したい気持ちはあったとしても、どのような建物構成にすればいいかがわからないということも多いだろう。その分野で実績を積んできた企業としてこう締めくくった。「障がい者グループホームの建物は、社会貢献と長期安定経営を両立できる事業です。オーナーさま、事業者さま、利用者さま、それぞれにメリットあるご提案をし、社会貢献できる建物を数多くつくっていきたいと思います」

パナソニックホームズの障がい者グループホーム建設実績パナソニックホームズの医療福祉分野での実績

住宅メーカーが考える障がい者福祉分野の事業とは

ここからはパネルディスカッションへうつる。大村氏からの質問に各社が答える形だ。

Q. 取り組みの中で、地域住民や企業にとっての効果をどのように感じた?


「高齢者と障がい者に着目してつくった場だが、働く人たちには若い人が多く、何らかの場をつくることは結果的に全世代向けのものになっていくと感じました。敷地内のカフェには近所の人や遠方から来る人など、さまざまな人が訪れます。時間帯によっては、近所の人が開放された敷地内で体操をしたりと、思ってもみなかった使われ方をしています」(積水ハウス:佐藤氏)

「顧客向け、社内向け、それぞれの媒体にグループホームの取り組みを掲載し社内外に訴求したことで、障がい者グループホームおよびさまざまな福祉建築のご相談が来るようになりました。建築地の周辺では初め心配の声も多く出ますが、運営事業者さまも立ち合って運営方法をしっかりご説明することで理解を得られています」(パナソニックホームズ:大元氏)

Q. 事業を取り巻くステークホルダーはどのように選ぶ?


「障がい分野はセンシティブな部分があると認識しており、専門性を持つ者を育てて専任の担当者を置いています。事業者との面談では、事業者の考え方を聞き、地域に合った運営方針の事業者とお付き合いします。勉強会も繰り返し行い、関係性を築きます」(積水ハウス:佐藤氏)

「運営会社の方針、財務、安全な運営方法とともに、働くスタッフの負担軽減につながる建物仕様に理解があるかを重視しています。そうでなければ利用者さんに安全が届けられないと思うためです。また、必要な部分にはコストをかける必要があることも説明します。中には、手を組むのは難しいと思う事業者さんもいます」(パナソニックホームズ:大元氏)

Q. 障がい分野で今後社会が求めるものとは?


「介護保険も使えない、障がいも軽いなど、制度を利用できない中間ゾーンの人たちへの対応として、いろいろなパターンの住宅提案が必要です。そういう目線を持たないと、グループホームか施設か家かという、一律の考え方になり危険だと思います」(積水ハウス:佐藤氏)

「まだまだ障がい者が給料をもらって働ける場は少ないです。一般企業でも、弱者救済としてではなく戦力として雇用する動きになっていかなければならないと考えます。三木市だけでなく、エリアを広げていけたらと考えています」(大和ハウス工業:東氏)

左から、大村氏、佐藤氏、東氏、大元氏左から、大村氏、佐藤氏、東氏、大元氏

企業がつくりだすダイナミックな共生社会に期待

大村氏は最後に、地域共生社会について「従来の支える、支えられるという関係性ではない包摂的なコミュニティづくりが求められている」と話した。今回各社から紹介されたのは、その解ともいえそうな事例だ。


地域共生社会、ダイバーシティ、インクルージョン……。意味はわかっても「では自分はどうすれば」となりそうなものだ。そこで出番となるのが、企業ではないだろうか。シンポジウムの中で大村氏が何度も口にしたのは「企業だからできること」という言葉。

障がい福祉分野の建設では、積水ハウスもパナソニックホームズも、初めはコンフリクトがあるとの話だった。コンフリクトに対しては、丁寧な説明や勉強、話し合いを続ける過程を経ることが大切であると、両者が口にする。民間企業が持つ独自性が、今回紹介した事例のような展開を生んだ。大村氏はこれらを「企業がつくりだすダイナミックな共生社会」と評する。

なお、ここでの「ダイナミックな」とは取り組みのことであり、広範囲という意味ではない。筆者も、地域共生社会は「自分ごととして取り組んでいく人たちが集まりやすい仕組みづくり」(積水ハウス:佐藤氏)を進めることが重要だと考える。人が自分ごととして考えられる規模感、というものはあるはずだ。自分ごとでないことには人は関心を持てず、そこに地域共生は実現しない。障がいのある人にフォーカスした取り組みであっても、地域住人へ波及効果が得られるのは、そういった視点があるからなのではないか。

また積水ハウスの佐藤氏は「建てることは得意。でも運営はそれが得意な人に」とも話しており、専門性を重視することも大切なポイントだと思われる。

大和ハウス工業は、50年以上前に自社が開発した住宅地で障がい者や地域高齢者の雇用を生みだした。これはまさに地域に深くかかわる企業だからこそできること。パナソニックホームズも「難しいことへあえて挑戦したい」と今後の展望を語るなど、住宅メーカーがデザインするダイバーシティ&インクルージョンな社会は、今後もさまざまな地で見ることができそうだ。

“住まい”は重要な共生社会の基盤だ。住宅メーカーが果たす役割はやはり大きい。

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