Bリーグが2026年シーズンに再編

2016年に開幕したBリーグ(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)が2026年シーズンから新たな枠組みに変更される。
現在、1部のB1リーグが24クラブ、2部のB2が14クラブ、一般社団法人ジャパン・バスケットボールリーグが運営するB3リーグが18クラブの合計56クラブで構成されている。

このリーグ構成が、2026年からは、新B1が「B.LEAGUE PREMIER」、新B2が「B.LEAGUE ONE」、新B3が「B.LEAGUE NEXT」へ変更されるとともに運営も一本化される。

Bリーグの運営団体によると、新B1は目標として「本気で世界の頂点へ」を掲げており、プロバスケットリーグとして有名なNBAのような「アリーナエンターテインメント」を届けたいとしている。また、新B2リーグ及び新B3リーグでは、クラブが目指す姿として「バスケを国民的スポーツへ」を掲げている。

さらに注目したいポイントとして、これまでの年度競技成績による昇降格を廃止することとしている。新しい基準を満たすことで現B2リーグであっても「B.LEAGUE PREMIER」に参入することが可能となる。「B.LEAGUE PREMIER」の主な基準として、次のように示された。

・入場者数:平均4,000名以上
・売上高:12億円以上(バスケ関連事業:9.6億円以上)
・アリーナ:5,000席以上など(スイートルーム・ラウンジの設置など)

Bリーグが2026年シーズンに再編

また、現在、郡山総合体育館をホームフィールドとしている「福島ファイヤーボンズ」が属するB2の新しい主な基準とは次のように示された。
・入場者数:平均2,400名以上
・売上高:4億円以上
・アリーナ:3,000席以上など(現B1基準)

なお、新B3であるNEXTについては、入場者数については基準はないものの売上高として1億円以上、アリーナは3,000席以上(現B2基準)としており、いずれONEに統合するとしている。

Bリーグが2026年シーズンに再編

Bリーグ再編のねらい

Bリーグ再編の狙いは、再編の方針で掲げているビジョンから読み取ることができる。Bリーグの新たなビジョンでは、「経営」、「強化」及び「社会性」の3つを軸に、「地域を、そして日本を元気にする存在に」としている。

ポイントとしては、
・「経営」:クラブ経営の成長を促せるか。
・「強化」:日本のバスケの強化に資するか。
・「社会性」:地域活性化に貢献できるか。

こうした制度改正に至った背景として、競技成績により昇降格が発生する現行制度の課題があげられている。

高レベルで事業・競技を両立し順調に成長するクラブが登場する一方で、昇降格リスクからチームへの投資が優先され事業投資が後手となった結果、地域や利害関係者に貢献するための経営資源を割けないクラブが多く存在している実態があるためだ。

アメリカのNBAのようにスポーツ施設で、アリーナを起点とした非日常感に溢れる「エンターテインメント」を提供する事業として拡大と成長を促す仕組みに移行してきたいという運営側の意図が反映されている。当然、プロスポーツとしての競技レベルの向上はもちろんのこととはいえ、ビジネスの事業拡大によりNBAに次ぐ世界2位のリーグを目指したいとする運営側の本気度を感じさせる再編と言っていいと思う。

Bリーグ再編のねらい

郡山総合体育館は新B1基準に対応するための工事が開始

2026年のBリーグ再編が目前に迫る中、福島ファイヤーボンズのホームフィールドである「宝来屋 郡山総合体育館」では、新B1基準に対応するアリーナとするため、2024年3月から2025年3月末までの間、改修工事が進められる。

2022年5月に施設所有者である郡山市が改修等を行う事業者を公募(隣接する陸上競技場等の改修を含む)した。その後、審査等を経て2022年12月に施設改修及び維持管理を行う事業者(提案価格:約98億円、事業期間:2033年(令和15)年3月末、代表企業:ゼビオコーポレート株式会社)が選定された。

郡山総合体育館は新B1基準に対応するための工事が開始

改修範囲は、総合体育館の他、隣接する開成山スタジアム、陸上競技場なども含まれ、一部の施設ではすでに工事がはじまっている。

総合体育館では、新B1基準への対応として観客席増設(アリーナ化)や体育館床の更新、4面大型ビジョンの新設などが予定されており本格的なプロバスケチームのホームフィールドに生まれ変わる。これに加えて、現在、民間資金等を活用して改修工事が進められている開成山公園への往来が楽になるよう、公園と体育館を分断している道路上空にペデストリアンデッキの設置などが予定されている。

開成山公園では、新B1基準への対応のための改修工事もさることながら、隣接して2024年4月から生まれ変わる街中の憩いの場である「公園」との連携により、一体的な賑わいの都市空間をつくろうとしていることが分かる。このことから、単なる施設改修というよりは公園とスポーツ施設が一体となった新しい市街地再開発といってもいい。

郡山総合体育館は新B1基準に対応するための工事が開始

福島ファイヤーボンズが新B1基準を満たすためには売上や集客が重要に

とはいえ、アリーナエンターテインメントの空間を提供する土俵はつくられつつあるが、チームが新B1基準を満たすためには、クラブの売上と集客に課題が残っている。

Bリーグによると、ボンズの2022年度シーズンの営業収入は約5.7億円と、新基準である12億円には及ばない。また、集客面でも課題が残る。新基準である平均4,000人以上とする集客数だが、福島ファイヤーボンズでは今シーズンの最新データ(2024年1月21日時点)で2,121人にとどまっている。
なお、最新データによると、4,000人以上を達成しているのは56クラブ中22クラブであり、最も集客人数が多いのが琉球ゴールデンキングスの7,863人となっている。

今後、「福島ファイヤーボンズ」が新B1のプレミアリーグに参加するためには、売上と集客の確実な確保が重要となってくる。施設整備は順調に進むと考えられるため、売上と集客面で郡山都市圏の住民や企業等と連携した地道なファンづくりに期待したい。

2023年12月撮影2023年12月撮影

スポーツを軸とした新しい「市街地開発」が進みつつある

ここ近年で、サッカースタジアムやバスケのアリーナなどのスポーツ施設において官民連携が進んでいる。全国的にみても、バスケでは沖縄アリーナ、野球場ではエスコンフィールドHOKKAIDOなどをはじめ全国各地で官民が連携したスポーツ施設への変革が起きている。

従来の日本におけるスポーツ施設といえば、「単機能型」、「行政主導」、「郊外立地」、「非収益性」などで、スポーツを“する・みる”の場としてのみ機能していた。ところが、そうした従来型の発想から展開する契機となったのが、東京五輪の開催が決定、スポーツ庁が誕生した2015年あたりだ。

単純なスポーツ施設としての場からイベントやコンサートなどの交流機能、周辺施設を含めた一体的な複合開発、さらに防災拠点も備えた多目的スタジアム・アリーナの整備が進むようになっている。

以前、私自身も地方都市のスタジアム構想に関わっていた際に、スポーツ分野への投資を行っている政府系の投資銀行の方と、スポーツを核としたまちづくりについて会話をしたことがある。その際には、日本はスポーツ施設のエンターテインメント性(多目的な用途や地域の核としての使い方)を有するポテンシャルがあるのに現時点では投資が弱い、という指摘が勉強になった記憶がある。私自身は、その時からスポーツ施設のあり方に対する考え方が変わり、「まちづくり」にどう活かすかという視座に立つようになった。

スポーツのエンターテインメント性を備えた施設整備として先進国のアメリカでは、例えば、NBAのブルックリン・ネッツのホームアリーナである2012年に開設された「バークレイズ・センター(ニューヨークブルックリン)」は、多目的アリーナとして整備され、バスケの試合の他にコンサートやイベント会場に利用されている。加えて、オフィスや商業施設、住宅などもあわせて開発された。この他にも海外ではスポーツとビジネスを両立させて地域課題を解決しようとする取り組みが進められている。

日本でもスポーツ庁が「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」を作成するなどして、地方自治体のスタジアム・アリーナ整備を支援する動きが進んでいる。政府としては2012年にスポーツ市場規模約5.5兆円を2025年には15兆円規模に拡大させることを目標としており、今後もスポーツ市場への税財政的な支援・投資が積極的に進むと考えられる。

スポーツを軸とした新しい「市街地開発」が進みつつある

おわりに

新アリーナとなる郡山総合体育館の最大のメリットは、地方都市にありがちな郊外立地ではなく「街なか立地」にあると考えている。郊外立地では、一般的に交通アクセスが悪く、チャーターバスや自家用車に頼らざるを得ない上に周辺の人口が密度が低い。このため、公共交通アクセスの良い街なか立地に比べると、交通渋滞発生による時間損失や滞在時間の短縮、これに伴う消費額の減少、集客面での課題に陥りやすい。

一方で郡山の新アリーナでは、周辺人口も多くアクセス性もよいことから集客力の高まりとともに周辺への住宅や商業施設などの開発を誘導する可能性もある。スポーツ庁資料にもあるがまちづくりと一体として整備する以上は、人口減少が進む地方都市では「コンパクトシティ」と連動した取り組みが求められる。

現在、開成山公園では来訪したくなる公園に向けた整備も進められており、集客能力としては現在よりも一段と高くなるのではと考えている。もちろん「福島ファイヤーボンズ」の今後の活躍に左右されるものの、次へのステージに登るためのステップが確実に整備されることは選手や運営側の精神的な安定に寄与し、バスケ関連事業や選手等の育成への投資に集中できるのは思う。

郡山都市圏は約50万人を抱える東北第2位の都市圏でもあり、駅前での市街地再開発プロジェクトも進んでいることからも、今後も郡山への市街地開発を含む不動産投資に注目していきたい。

2023年12月撮影2023年12月撮影

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