どこにでもある公園がアミューズメントパーク並みの楽しさに!
最近、近所の大きな公園へ行くのが楽しくなった。「なんか、よくなってきてないか?」。そう思い始めたきっかけは、トイレやゴミ箱の清掃が行き届いてきたこと。さらに敷地内にキッチンカーが並び出し、グランピングやドッグラン施設もオープンした。今まで単なる「広い場所」という認識だったが、現在はアミューズメントパークのような感覚で訪れている。
なぜ最近になってサービスの質が向上したのか。調べてみると「PFI事業」という手法が見つかった。そこで、そもそもPFI事業とは何か、そのメリット・デメリットなどを解説しよう。
財政難やノウハウ不足を解決するひとつの手法
昨今の日本の自治体の多くは、「人口減→財政難→公共施設の老朽化」といった負の連鎖に悩んでいる。適切な公共サービスを維持するためには、公共施設などの建て替え・改修・修繕・運営の効率化などが不可欠だ。しかし、その財源もノウハウも不足しているというのが現実だろう。
これらを解決するひとつの手段として注目されているのがPFIだ。これはPrivate Finance Initiativeの略で、民間の資金やノウハウを活用して公共事業を実施する手法だ。従来は庁舎や公共住宅、学校、上下水道などの整備を行う際、自治体が設計・建設・運営の方法を決めてそれぞれの専門事業者に発注していた。一方でPFIでは、どのような設計・建設・運営を行えば最も効率的かを民間事業者に提案競争させて事業者を選定し、資金調達から運営まで任せる。この際、売店などの収益施設を併設する場合は、従業員の管理など自治体の負担をより少なくすることも可能だ。
PFIは、もともと1992年にイギリスで導入された公共サービスの民営化手法である。日本では、1999年7月に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)」が制定され、2000年3月に基本方針が策定された。以降、その活用分野は「道路・交通」「教育施設」「医療施設」「スポーツ施設」「美術館」「公園」「上下水道施設」など幅広い。
事業の実施状況も、スタートした1999年度は3件だったが、ほぼ右肩上がりに増え続けて2020年度には累計875件になっている。
PFI事業のメリット・デメリット
メリット
・高レベルなサービスの提供
PFIでは、専門知識やノウハウを持つ民間事業者がサービスを提供する。また、民間ゆえの競争原理も働くため高レベルなサービスを期待できる。
・資金確保が容易になる
前述のように財政難に陥っている自治体は多い。一方で民間事業者側も土地の確保などから事業をスタートするのは負担額が大きくなってしまう。PFIを活用することでお互いの負担を軽減できる。また、運営面においても自治体側はコスト削減になる。
・リスクを軽減できる
設備や運営に関するリスクを自治体と民間の双方が負担することで、それぞれのリスクを軽減することができる。
・地域の活性化
地域外企業の参入により雇用の創出や人材の流入が期待できる。
デメリット
・公共性の低下リスク
民間事業者が利益を追求することで利用料の値上げやサービス品質が落ちるといった公共性が低下するリスクもある。
・長期契約のリスク
PFI事業の契約期間は、10~30年程度の長期にわたる。その間に大きく変化する市場環境に柔軟に対応できない可能性もある。
・運営管理をコントロールしにくい
運営は民間事業者が主体となるため、自治体側は運営のコントロールがしにくくなる。
「PPP」「Park-PFI」との違い
PFIと意味が似た言葉に「PPP」と「Park-PFI」がある。PFIとの違いはそれぞれ以下のようになっている。
「PPP」とは
PPPは、Public Private Partnershipの略で、自治体と民間が連携して公共サービスを提供する手法の総称だ。その中のひとつがPFIである。PPPの手法にはPFIのほかに、民間事業者が設計から運営までの対価をリース料として受け取るリース方式など複数ある。
「Park-PFI」とは
Park-PFIは、公募設置管理制度のことで、公園内で民間事業者が売店やレストランなどを運営するための制度だ。従来は設置管理許可期間が10年だったが、改正された都市公園法が2017年6月に施行されて許可期間が20年に延長されるといった規制緩和が行われた。こちらも自治体が民間から企画案を募るといった手法だが、都市公園法に基づくものでPFIとは根拠法が異なる。具体的にはPFIとは、「契約期間が10~30年(Park-PFIは20年)」「特別目的会社の設立が必須(Park-PFIは不要)」といった違いがある。
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PFI事業の成功事例
ここで以前LIFULL HOME’S PRESSでも紹介したPFI事業の成功事例を紹介しよう(PPPを含む)。
●茨城県境町の移住支援
茨城県境町は県西部、千葉県と埼玉県の県境に位置する。東京駅や成田空港まで車で約1時間と比較的好立地といえるが、以前は他の地方自治体と同じように人口減に頭を抱えていた。
そこで境町は視察や勉強を重ねてPFI手法による賃貸住宅を完成させた。建設費の約50%を国の交付金、残り約50%を民間企業からの出資で賄い、町の負担をゼロにしたのだ。同物件の入居は、町外から転入する子育て・新婚世帯を優先している。また、すべての小・中学校に「ALT(外国語指導助手)」を常駐させ、第2子以降の保育料を無料にするといった大胆な子育て支援も実施。その結果、狙いどおり子育て・新婚世帯の移住者が着実に増加している。
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●静岡県函南町の「道の駅 伊豆ゲートウェイ函南」
「道の駅 伊豆ゲートウェイ函南」を建設し、現在は運営も行っている加和太建設株式会社は、当初同施設の建設だけを考えていた。しかし、地元企業が主体者として手を上げる動きが見られなかったため、事業者選定のコンペにも参加。施設管理運営会社の代表企業となった。
そして2017年にオープン。運営は建設コンサルタントのサポートで乗り切り、想定利用者が年間約70万人だったところ、実績は約170万人となった。現在の売り上げはオープンから1.4倍伸び、社員は100名も増えた。
関連記事:建設会社が経験したPFI事業と、その効果とは
●岩手県柴波町の「オーガルプロジェクト」
柴波町は1997年、まちの中心部である柴波中央駅前に10.7ヘクタールの土地を28.5億円で購入した。ところがその後うまく活用できずに「日本一高い雪捨て場」といわれていた。そこで2009年にPPP手法を採用した「オーガルプロジェクト」を策定。同プロジェクトは、紫波町や地元事業者が出資して設立した第三セクターであるオガール紫波株式会社が市場開発や計画、整備、運営を一体的に進めた。現在、柴波中央駅前には、図書館や子育て応援センターなどを備えた「オーガルプラザ」、ホテルやバレーボール専用体育館を備えた「オーガルベース」などがあり、年間80万人が訪れる場所になっている。また、同町の新庁舎整備事業ではPFI方式が採用され、2015年に開庁している。
関連記事:【岩手県紫波町 オガールプロジェクト ①】この"公民連携モデル"の何がすごいのか?
このようにPFI事業は、「より楽しい」「より住みやすい」まちづくりに有効な公共サービスの手法といえるだろう。ただし、「民間に頼れば安心」ではないことは誰もが想像できるだろう。もし住んでいる自治体、または住みたいと思っている自治体でPFI事業の計画を見つけたら、それが自分たちの求める内容なのか慎重に吟味したい。










