北広島市の地価動向は、住宅地・商業地ともに上昇率1位
国土交通省の公表する公示地価(全国2万6,000地点)によると、2023年の地価は住宅地・商業地の前年からの上昇率上位10位までを北海道が独占している。「エスコンフィールドHOKKAIDO」で一躍全国区となった北広島市に至っては、住宅地の全国1位から4位、商業地の1位と2位を記録した。
近年の地価上昇は、三大都市圏と呼ばれる東京・大阪・名古屋圏よりも地方四市と呼ばれる札幌市・仙台市・広島市・福岡市の方が著しい。その地方四市の中でも特に札幌市が前年比15.0%アップという高い上昇率となっており、その相対的な割安感から周辺エリアである北広島市に需要が生まれ、北広島市でも高い上昇が見られているのだ。実際、北広島市の住宅地の平均上昇率は26.2%と札幌市を大きく上回っている。
また、JR北広島駅西口周辺の再開発によってできる「複合交流拠点施設」が、2024年秋にオープンすることも地価上昇を後押ししている。北広島市の地価動向は、今後もしばらくは上昇傾向にあるだろう。
北広島市の地名は、広島県から来た開拓者たちに由来
北広島市の名前に「広島」が含まれるのは、歴史的な背景に由来している。この地域の歴史は古く、アイヌ民族が住んでいたことでも有名だ。
地名の「広島」は、明治時代の1884年に当時の広島県段原村からやってきた和田郁次郎さんを指導者とする、広島県からの25戸前後の移住者によって開拓されたことに由来する。和田郁次郎さんは札幌の東に入植地を定め、「広島開墾」として多くの広島県民を入植させた。大凶作のなか第1陣の25戸は苦難の開拓を強いられつつも、懸命な努力のもと米作りに取組み成功を得る。
この成功により1888年には広島からの移住が再開され、「広島村」と名付けられた。その後「広島村」は1968年に町制施行し「広島町」になり、1996年の市政施行以降は「北広島市」として発展している。
新球場オープンを契機に再開発へ
北広島市は、隣接する札幌市の発展により街の求心力が停滞し、少子高齢化や人口減少が起き始めていた。そのようななか北広島市は、2023年3月に開業したプロ野球・北海道日本ハムファイターズ(以下、ファイターズ)の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」をきっかけに、生まれ変わりつつある。
2022年までファイターズの本拠地として「札幌ドーム」が使用されていたが、野球に特化していない球場であるため、球団の理想とするプレー環境ではないことや運営の自由度に課題があった。新球場を求めていたところ、誘致に積極的だった北広島市と協力したことで「エスコンフィールドHOKKAIDO」が完成したのが事の経緯だ。
この新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」と、周辺エリアを含めた「北海道ボールパークFビレッジ」(以下、ボールパーク)に参画した株式会社日本エスコンと北広島市がパートナー協定を締結し、「官民共創」で北広島市の再開発に取組む体制となっている。ボールパークの建設が決定したことで、重要なアクセス拠点を担うことが想定されるJR北広島駅西口エリアの活性化整備計画として、両者が協議のうえ策定されたものが「キタヒロ・ホームタウン-BASE 2021-2029」である。
JR北広島駅西口「市有地A」は、市の顔となる複合交流拠点に
北広島市の再開発では現在、駅西口周辺エリアの「市有地A」「市有地B」での街づくりと、新球場付近での「ボールパーク新駅」計画が進められている。
駅西口では、沿道景観や歩行者空間、公共空間の再整備などを行い、歩行者が歩きやすい歩車共存の街並みづくりが行われる。訪れる多くの人が快適かつ安全に過ごすことのできるコンパクトな駅前広場とすることが目的だ。
「キタヒロ・ホームタウン-BASE」の第1弾プロジェクトである「市有地A」は、「駅前広場」「複合交流拠点施設」「立体的広場・公園」の整備を通じて、北広島の新たな玄関口となる予定だ。地域の住民・事業者・観光客・ビジネスパーソンなどさまざまな人が過ごすことのできる交流の場をつくることを目的としている。
2024年秋頃に開業予定の「複合交流拠点施設」に関しては、1~3階に商業施設、4~5階にカフェテラスやコワーキングスペース、イベントスペース、会議室、スポーツジムなどの交流施設を備え、7~14階にスマートテクノロジーを導入したホテルを設ける予定のようだ。14階建てとなればなかなか大きな施設のため、存在感が際立ちそうである。
外観は、低層階が自然に囲まれ、各フロアが階段状になったデザインを特徴としている。各フロアにテラスが設けられ、屋外からも階段で行き来することが可能だ。
JR北広島駅西口「市有地B」は、公園を活用した暮らしの複合交流拠点に
「キタヒロ・ホームタウン-BASE」の第2弾プロジェクトである「市有地B」は、駅前から住宅地への玄関口として、「屋外交流広場」や「北広公園」の環境を整備する。駅前のにぎわいや利便性と、北広公園の憩いや自然環境を享受できる暮らし方を多くの人が実現できる場を提供することが目的だ。
市有地Bを活用して建てられる分譲住宅は、子育て世代から高齢者までの多様な暮らしに対応できるよう2LDK~4LDKの間取りを提供。2025年に完成予定である。駅前から北広公園までつながる歩行者デッキである「Living Park」に面した交流ラウンジを設け、居住者と地域住民が交流できる場も整備する。1階は駐車場、2階は子育て支援施設や生活利便機能を充実させる予定だ。
ボールパーク新駅計画は、見直し案が発表される
ボールパーク開業に伴いJR北海道が発表した「ボールパーク新駅」は、ボールパークへのアクセス向上を目的に2027年度末までの開業を目指している。ところが、新駅の設置に関して当初計画から見直しが行われると話題が上がっていた。
その見直しのきっかけになったのが新駅の建設費だ。JR北海道は新駅の建築費に80~90億円かかるとしていたが、エスコンフィールドHOKKAIDOの開業が迫った2023年2月に人件費や資材の高騰を理由として115~125億円かかるとした。当初から4割ほど費用が増加したため、JR北海道は北広島市に対して新駅設置費用の増額を要求。ボールパーク新駅は北広島市がJR北海道に設置を依頼したものであるため建設費用の全額が自治体負担だが、これを受けた北広島市は合意が難しいとし、JR北海道に対して経費削減と工期短縮を求めたのだ。
その後、JR北海道は工事費圧縮、工期短縮を配慮した見直しを行い、2023年9月13日に新たな計画を発表した。
駅から球場までの距離が当初計画の400mから300mに短縮されたほか、駅の用地や構造を見直すことで工事の工数や構造部材の削減が可能となり、工事費はおおむね85~90億円を見込む。この計画による新駅設置を市と合意した場合、工事着手に向けて手続きを進めるというが、工事着手の時期は未定としている。
活気を取り戻しつつある北広島市。人口増加への期待も
北広島市の人口は2007年の6万1,174人をピークに減り続け、2023年7月時点で5万7,020人を記録した。北広島市は2030年の目標を6万人と定めていて、ボールパークや駅西口周辺の再開発による効果を最大限に生かし、人口増加につなげることを目指している。
実際、活性化の兆しは「Fビレッジハーフマラソン大会」で早くも現れており、例年1,000人規模の大会に5倍以上の参加者が見られた。
全国的課題でもある人口減少・少子高齢化は今後も止まらないことが予測されるが、再開発によって北広島市の顔となる拠点が形成され、アクセス性の高さと自然豊かな住環境がマッチした街の魅力は、今後も大きな資源になるだろう。









