物を大切にすることと、ごみ減量を目指して
愛知県豊田市で粗大ごみをリユース(再利用)する取組みが行われている。
豊田市が発行している「ごみガイドブック」によると、令和元年度に家庭から出たごみの総量は10万1,879トン。事業系ごみも含むと、収集や焼却などの処理にかかる費用は、市民一人あたりの負担で年間約1万3,458円に。市民全体では総額約57億円で、一般会計の3.1%を占めるという。
現代は日常に必要なさまざまな物が手に入りやすくなった一方で、昔からの物を大切にする気持ちを失くしてしまっていたり、使い捨てが増えていたりと、ごみが増えやすい状態。ごみが増えるということは環境破壊にもつながるため、世界的にごみ問題が重要視されている。
そんななかで行われている豊田市の粗大ごみに関する取組みは、主に各家庭から不用品として出された家具類を修繕し、欲しい人に販売するというもの。ごみの焼却施設・渡刈クリーンセンターの敷地の一角に設けた「リユース工房」で修繕品を展示し、1ヶ月に1度の入札方式を採用している。
この取組みを始めたのは2012(平成24)年11月。「リユース工房を通して、物を大事に長く使う意識の高揚、ごみの減量や再使用・リサイクルに対する理解を深めてもらうことを目的として開始しました」と、豊田市役所・環境型社会推進課の山崎雄さん。
約10年にわたる取組みを取材した。
再利用が可能な粗大ごみを選別
豊田市で粗大ごみを収集する方法は2パターンある。1つは3日前(一部地域では1週間前)までに電話で依頼し、自宅前まで収集に来てもらうもの。もう1つは直接、市内の処理場まで持ち込む。いずれも所定の手数料がかかるが、この方法は多くの自治体と同じだろう。
リユース工房では、その粗大ごみのなかから再使用が可能な家具類を選別する。
ただ、すべてが再利用の対象となるわけではない。シール状の処理手数料納付券に、リユース不可の場合はチェックをすることになっており、それらは対象外となる。
また、「過去の販売状況から、リユース品としてのニーズがあるかも判断しています」と山崎さんは語る。
委託されたシルバー人材センターのスタッフが丁寧に修繕
そうして集まった粗大ごみは、市の委託を受けたシルバー人材センターのスタッフが掃除や修繕を行う。担当するスタッフは、大工の仕事をしていた人や、物づくりを長く趣味にしてきた人などで、その技術力は確かだ。
取材当日、おもちゃの木製キッチンを修繕していた方に話を聞くと、「安全性を考慮しています」とのこと。
不用品となるのは、使わなくなったということだけでなく、どこかが傷んだり、壊れたりしたものも多い。金具が飛び出してしまっていたり、木が削れてしまっていたりすれば、ケガのもとだ。
次に使ってくれる人のことを考え、丁寧に直す。「木は米ぬかで磨くときれいになるんですよ」と、昔ながらの知恵も加えて、不用品が生まれ変わっていく。
修繕できない粗大ごみのなかから金具や布、革などをストックしておき、役立ててもいるそうだ。
オークション形式の楽しさも好評
リユース工房は、日曜、火曜、木曜の午前10時から午後3時まで開放し、修繕品が並べられる。気に入ったものがあれば、入札書に希望金額を記入して提出。落札できれば、連絡がきて引き取りに行くという流れだ。
展示品は毎月替わり、市のホームページにも展示品リストと最低落札価格が掲載される。
珍しい入札方式について、山崎さんに聞いた。「定額制も検討しましたが、複数の希望者があった場合の購入者決定が難しく、仮に申込みが早い方が購入する方法とすると、早い者勝ちになってしまいます。入札方式ですと、来館時期にかかわらず、公平に参加でき、納得した金額で購入していただけるのもよいのではと決めました」
落札できるかどうか待つワクワク感。また、落札設定価格は100円ほどからで、欲しいものを安く、自分の納得した額で手に入れることができる。そんな楽しさから、常連となる人も多い。リユースできる粗大ごみを出せるのは市民だけで、入札や落札の手続きには現地に出向く必要があるが、市外の人も参加可能とのこと。現在は1~2割が市外から参加しているそうだ。
人気が高いのは、収納家具のスチールラック。ほかにも実にさまざまなものが展示される。「子育て世代の方、ご高齢の方、できるだけたくさんの方に来ていただけるように、品ぞろえは大切にしています」と山崎さん。
2021年の11月には、“レトロ家具”にフィーチャー。薬剤を入れるための小さな引き出しがたくさんついた百味箪笥、ライティングビューローなど昔懐かしい雰囲気があるものを3分の1程度出品した。すると、テレビなどで報道されたこともあり、新しい客層に注目された。
まだ周知が足りないと考えるなかで、うれしい反響だった。レトロ家具をテーマにした展示は、今年度(2022年)も予定しているそうだ。
ごみ問題を考えるきっかけに
常連は増えているものの、認知度をさらに高めるため図書館やイベントなどでの出張展示も行っている。下記表は、この4年間のリユース工房の実績だ。
山崎さんは「豊田市だけでなく、ごみ問題などに対して全体の意識改革になれば」と願う。
豊田市では2021年2月に株式会社ジモティーと連携協定を結んだ。同社が運営する地域情報サイト「ジモティー」は、不用だがまだ使えるものの売買ができる。こちらもリユースを促進し、ごみ減量を図る取組みとなる。
ごみ減量は地球規模での課題だが、一つの取組みがつながっていくはずだ。
取材協力:豊田市役所
リユース工房
https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/gomi/recycle/1009559/1003821.html













