コンパクトシティ化する千葉市
JR千葉駅周辺の街が生まれ変わりつつある。日本全体では人口減少が進んでいるなか、千葉駅周辺はここ数年、再開発ラッシュに沸いている。
首都圏に含まれる千葉市は東京一極集中の恩恵を受けているようにみえるが、内情はそうでもない。首都圏には千葉市の他、横浜市や川崎市、相模原市、さいたま市といった5つの政令指定都市があり、そのなかで千葉市は独自の様相を呈している。千葉市は他の首都圏内の政令指定都市に比べると、東京からの距離が遠いことから、都内への通勤者は2割程度にとどまっている。
「千葉市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン(2018改訂版)(案)」
https://www.city.chiba.jp/sogoseisaku/sogoseisaku/kikaku/documents/03_jinkoubijyon.pdf
(以下、「同資料」)によれば、千葉市内から都内に通勤している人は2割程度しかいない。
同資料によると、千葉市から都内等の市外へ勤務する千葉市民は17万人弱であるのに対し、逆に都内や埼玉県、市原市等の市外から千葉市に勤務する人たちが15万人弱もいる。差し引きすると、千葉市内で雇いきれない人は2万人程度しかいないことになる。千葉市の昼夜間人口比率は97.9%となっており、首都圏内の政令指定都市の中では最も高い水準である(100%に近いほど昼夜の人口に差がないことを示す)。
つまり、千葉市は市内で雇用が発生しており、東京への依存度は比較的低く、さながら札幌市や福岡市のような地方都市に似た独立した経済圏域となっている。
また、千葉市の人口は2021年8月現在で98万人弱となっており、微増傾向にある。増加の要因は主に市外からの転入者によるものであるが、その転入元は千葉県内の他の市区町村が上位を占めている。同資料によれば、千葉市へは市原市や東金市、八街市等の県内の近隣市町村から流入しており、都内からの流入者は少ない。全国から人が集まる東京一極集中の恩恵はほとんど受けておらず、県内から人を引き寄せることで人口が増加しているのである。
このように千葉市は東京のベッドタウンという性格は薄く、千葉県経済の中心地として県内から人が移り住んできており、雇用も市内でほぼ完結している。千葉市に住めば「職住近接」が実現できるようになっており、さながらコンパクトシティの様相を呈しているのだ。
千葉駅周辺の再開発が進めば、コンパクトシティとしての魅力が高まり、独立した地方都市としてさらに活性化していくことが期待される。
きっかけは2018年のJR千葉駅リニューアル
千葉駅周辺の再開発のきっかけとなったのは、2018年にリニューアルオープンしたJR千葉駅ビルの建て替えである。足掛け約7年の工事期間を経て、ようやく建て替え工事が終了した。従来、改札口は1階にあったが、橋上化されて3階に移転している。
千葉駅の西口と東口が駅外部のペデストリアンデッキによってつながり、回遊性が向上したことが大きな改善点となっている。また、昨今はJRが駅ビルやエキナカの商業化に注力しており、商業施設部分もリニューアルされている。千葉にはペリエと呼ばれる東京のアトレのような駅ビルブランドがあり、ペリエが刷新されたことで駅近辺の賑わいも増してきた。千葉駅周辺には長らく再開発の動きはなかったが、JR千葉駅ビルの建て替えが起爆剤となり、千葉駅周辺では複数の開発プロジェクトが動き始めている。
千葉駅周辺の再開発の全体像
「千葉駅周辺の活性化グランドデザイン」
https://www.city.chiba.jp/toshi/toshi/toshinseibi/documents/granddesign2020.pdf
によれば、千葉駅周辺の開発構想は「東エリア」と「西エリア」、「北エリア」の3エリアに分けられて推進されようとしている。JR千葉駅は「Yの字」状に線路が展開されているため、駅周辺が東と西、北の3つのエリアに分断されている。
3つのエリアのうち、千葉駅の表玄関となっているのが「東エリア」だ。東エリアには「そごう千葉店」や「ヨドバシカメラ」があり、商業の中心地となっている。西エリアは地元民に「裏口」とも呼ばれていたエリアであるが、JR千葉駅ビルの建て替えとともに駅前広場が刷新されている。
北エリアは住宅街であり、千葉公園や千葉市立図書館が配置され、閑静な住宅街となっている。そのため、散歩道等が整備される予定だ。
千葉駅東口の再開発動向
千葉駅東口には、駅前ロータリー至近に再開発のビルが建築中である。敷地面積は約3,300m2(約1,000坪)、延床面積は約24,880m2(約7,500坪)、地上9階地下1階のビルであり、2022年に竣工の予定だ。
当該エリアは、開発前は消費者金融が多数入るビルが立ち並んでいたが、新しいビルでテナント属性も刷新されることで、街の雰囲気も明るくなることが期待される。新しいビルには、ビックカメラ千葉店がメインテナントとして入る予定だ。千葉駅東口には今まで大きな家電量販店はヨドバシカメラしかなかったが、現在ヨドバシカメラがある隣にビックカメラが出店することになる。
ヨドバシカメラの独壇場であったところにビックカメラが一騎打ちしてくる形となり、家電量販店同士の競争が一気に激化しそうだ。千葉市民にとっては選択肢が広がり、価格競争によって買い物はしやすくなることが期待される。
千葉駅西口の再開発動向
千葉駅西口は、駅ビル建て替えでできたペデストリアンデッキによって東口と一体感が生まれたエリアだ。西口の再開発は、2013年にビジネスホテル等が入る「WESTRIO」(A1、A2、A3棟)が竣工し、2020年に病院等が入る「WESTGATE CHIBA」が竣工したことでひと段落している。
残る区画はJR千葉支社跡地の再開発である。まだ具体的な計画は公表されていないが、「JR千葉駅」と「そごう千葉店」に挟まれた一等地であるだけに「千葉の顔」となるような駅前空間の創出が期待されている。
三越とパルコの跡地開発動向
千葉駅周辺は数年前まで暗い話題が続いていた。2016年11月には千葉パルコが撤退し、2017年3月には千葉三越が撤退している。
全国の政令指定都市では百貨店の撤退が相次いでいるが、千葉市においても核となる商業施設が2つも立て続けに消えてしまった。パルコ跡地も三越跡地も、分譲マンションになる予定である。
パルコ跡地に関しては、計画概要が明らかとなっている。地上31階、高さ107.34m、総戸数397戸の店舗付きタワーマンションとなる予定だ。竣工予定時期は2023年3月とされている。
パルコ跡地のマンションは、1~2階には大型スーパーが誘致される予定で、3階はキッズルームやコミュニティースペースとなり、4~31階が分譲される。また、隣接地には商業施設と賃貸マンションが建てられることも計画されている。パルコ跡地には隣地も含めるとある程度の商業施設が存続する形であり、賑わいが完全に失われてしまうことはなさそうだ。
一方で、三越跡地は詳細な計画は明らかになっていない。現在の三越跡地は解体工事中であり、解体終了は2022年1月末を目指している。敷地は東京建物とファーストコーポレーションが所有しており、東京建物のマンションブランドである「ブリリア」シリーズの大型分譲マンションが建築される見込みだ。中心市街地の建て替えでタワーマンションが建てられるケースは、大阪市などの全国の政令指定都市で見られる現象である。タワーマンションが建つと周辺の市区町村から人が移り住み、職住近接の傾向が加速するのが昨今の地方都市の傾向だ。
幕張ベイパークの開発動向
千葉市では、千葉駅周辺の再開発だけでなく、JR海浜幕張駅周辺において幕張ベイパークの大型開発も進行中である。計画地にはタワーマンションが6棟建つ予定であり、既に2棟が竣工し、現在は3棟目が建築中となっている。
計画戸数約4,000戸、計画人口約1万人の街となる見込みであり、五輪の選手村であったHARUMI FLAGよりも一回り小さい規模の住宅街となる予定だ。
これから千葉市へ引越したい人は、千葉駅周辺だけでなく海浜幕張も選択肢となり得る。海浜幕張にも多くの職場があるため、職住近接の選択肢として検討してみるのもよいだろう。
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