街から電柱がなくなる未来もあるかもしれない
自民党が10月16日に「無電柱化推進法案」(仮称)の骨子をまとめた。この案は、電線を地中に埋めて「無電柱化」の推進を行う法案で、地上での電柱新設を禁じ、現在ある電柱も地中化に促すというものだ。2020年の東京五輪に向けて、都市の景観形成や将来の首都直下地震など災害への備えとして国内の無電柱化を推進する必要があると判断され進められている。
現在、街中に電柱があるのは「当たり前」の生活になっているが、もしこの法案が可決して、具体的に施行されたらどうなるのだろうか。この法案と今後の街について考察してみる。
電線病に侵されている日本?
日本では当たり前にある電柱だが、ロンドンやパリ、ベルリンなどでは第二次世界大戦より前から地中化が図られているという。しかし、日本では電柱が街の至るところにあり、トータルで実に約3,500万本もあるようだ。日本全体の面積が377,961.73km2なので108m2あたり電柱が1本あるという計算だ。108m2というとだいたい30坪弱。都心を除くと戸建て1軒あたりの平均的な土地の広さに該当するので、家1軒あたりに電柱が1本あると考えてもいい。
とはいっても、全く日本で無電柱化がされていない訳ではない。東京都では5%弱の道路で無電中化がされている。しかし、その他の都道府県を見てみると、東京に次いで多いのが兵庫県の約2%強という状況だ。現在でも地上部で毎年7万本あたりの電柱が増えているという。こうした日本の現状を、自民党の無電柱化小委員会がまとめた資料の中で「電線病」と呼んでいる。
電柱がなくなるとどうなるのか?
電線病におかされた日本で、電柱の地中化が進み街からなくなるとどうなるのか?電柱が街からなくなることで、国土交通省は下記4点が向上するということを言っている。
・安全で快適な通行空間を確保
・都市景観の向上
・都市災害を防止
・情報通信ネットワークの信頼性を向上
まず1つ目の「通行空間の確保」だが、歩道を歩いている時に電柱がでっぱっているせいでぶつかったりした経験はないだろうか。ベビーカーや車椅子では尚更だ。電柱がなくなることで歩道が幅広くとれる利点がある。2つ目の「都市景観の向上」だが、街から空を見上げると電線が目に入ることが多いと思う。網目のように張り巡らされた電線が都市景観を悪化させているのは、言わずもがなだ。電柱や電線がなくなることで、本来の街並みを見ることができる。
3つ目の「都市災害を防止」だが、台風や大地震などがあった場合、電柱が倒れる、電線が切れるなどの二次災害が起こる可能性がある。また、緊急車両での通行を妨げることもなくなる。4つ目の「情報通信ネットワークの信頼性を向上」だが、災害時の情報通信回線の被害を軽減させるという。下記は国交省が公開している阪神淡路大震災時のケーブル被災状況だが、地上にあるものと地中にあるものとで被災率は異なる。
東京と世界の各都市の無電柱化の割合を見てみる
はたして無電柱化は進むのか。課題は?
無電柱化は街にとっても、その街に住む私たちにとっても、いい事尽くめなのだが、今まで進まなかった理由としてあげられているのが「費用」だ。その対策として国交省で「無電柱化低コスト手法技術検討委員会」が設立され、第1回目の会合が開かれた。直接埋設や小型ボックス活用埋設など、低コストでできる電柱の地中化の手法の検証がされるという。
無電柱化の実施目標として書かれているのは五輪が開催される2020年。東京の街が様々に変化する中、意外と地味で、しかし私たちには必要不可欠なインフラである「電柱」も変化を遂げようとしている。本格的に進もうとする動きがある中で、近い将来、街から電柱がないことが当たり前になるかもしれない。
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