家庭科教育男女共修20年、男の家事分担は増えたか?

平成25年版厚生労働白書から共働き世帯の変化平成25年版厚生労働白書から共働き世帯の変化

旭化成が共働き家族研究所を作ったのは1989年。今から25年前のことである。1980年代以降急増していた共働き世帯だが、この時点ではまだ専業主婦世帯のほうが多く、それが多少の増減を経て確実に逆転したのは1979年。その後、共働き世帯は増え続けており、特に2009年からは急増と言っても良いほど。一方、専業主婦世帯は減少の一途である。

その理由としてはかつてよりも「生活を維持するため」「住宅ローンなどの返済のため」といった経済的な要因が増えている(*1)。25年前に多かった「自由時間を有効に使いたい」などと悠長なことではなく、好むと好まざるとに関わらず、生活の安定のためには夫婦が働かざるを得ないというのが現状というわけだ。

もうひとつ、この25年間で家事を巡って大きな変化があった。それが中学では1993年、高校では1994年に家庭科が男女共修になったということである。それから20年。現在の30代は家庭科教育を受けた世代であり、それが家庭内の家事分担にどのような影響を及ぼしているか。同研究所では2014年7月に、2012年から2014年に子育て期にある共働き家族・専業主婦家族を調査、1989年、1991年の同種調査との比較を発表した。

頭では分かっていても体は動かない夫がまだまだ多数

フルタイムの共働き家庭で休日に夕食の後片付けをやる夫は半数程度とかフルタイムの共働き家庭で休日に夕食の後片付けをやる夫は半数程度とか

調査結果を見てみよう。まず、大きく変わったのは家事、共働きに関する意識である。たとえば「夫も家事を分担するほうが良い」とする男性は20年間で倍(*2)に増えており、「出産や子育てを理由に女性が仕事を辞めるのはもったいない」と思う男性は夫婦がフルタイムで働く世帯では66.7%(*1)に及んでいる。

実際の家事を内容ごとに見ても、1989年には夫婦がフルタイムで働く世帯で13.6%に過ぎなかった夕食の後片付けをする夫は2012年には46.5%になっており、同様に洗濯物を干すは11.7%から45.2%に、お風呂掃除は31.3%から55.3%になっており、ゴミを所定の場所に出すについては33.0%から66.3%に(データはいずれも*2)。増えているのは確かだ。

だが、これを育児まで含めて考えると調理、洗濯、掃除、育児にまんべんなく関わる夫は35%。育児、多少の掃除には関わるものの調理、洗濯への関与の低い夫が41.5%、全体に家事、育児の関与度の低い夫も23.5%もおり、増えているとはいえ、ばらつきも多い。頭では男は仕事、女は家事という旧来の概念に疑問を感じてはいるものの、実際には体が動いていない夫が少なくないことを思わせる。イーブンにかつ主体的に家事を分担する家庭までの前途はまだまだ多難というわけだ。

(*1)いまどき30代夫の家事参加の実際と意識 ~25年間の調査を踏まえて~ 旭化成ホームズ株式会社 くらしノベーション研究所 共働き家族研究所
(*2)夫婦関係20年変化考察(2008年11月 博報堂生活総合研究所)

30代では頑張りすぎない、上手に手抜きできる妻、増加中

一方で妻で主流になっているのは全体的にそれなりにはやるものの、徹底的に掃除をしたり、出汁を取るところから始めるような料理はしない、同調査でいうところのゼンリョクママ。60代以上ではすべての家事を完璧にこなそうとするカミワザママが43.2%いるのに対し、30代以上でそこまで頑張る妻は20%。前述のゼンリョクママと最低限の家事で日常をやり過ごしているミニマムママを合わせると、30代では8割が抜けるところでは上手に手を抜いているという結果に。

仕事、家事、育児の、それぞれに時間、手間のかかる作業のどれにも全力で立ち向かおうとすると、どこかで無理が生じるのは道理。そのあたりを上手に回避、柔軟に仕事をする女性が増えているということだろう。頑張りすぎないことが長く仕事を続けるコツだとしたら、これからの若い女性は頼もしいとも言えそうだ。

また、多数派のゼンリョクママは家事はその内容によって夫婦で得意なほうがやればよい、父親が家事をするのは子どもに良い影響があるとも考えているとか。家庭内でも家事を通じて親の背中を見せることができるというわけだ。

家事に使う空間にも配慮、使いやすい住まい作りを

調査報告書内で提案されているランドリーサンルーム調査報告書内で提案されているランドリーサンルーム

さて、こうした調査を受けて旭化成では頭では分かっていても動けない夫にも配慮、家事がしやすい家を発表している。そのうち、個人的に面白いと思ったのはランドリーサンルーム。これは室内に干す場所を設けて、洗濯と干すことが同じスペースでできるというもので、夜洗濯をする家庭が増えていることを反映したもので広さとしては1坪(3.3m2)ほど。外に干さないことから花粉症対策としても有効だ。

こうしたスペースは大手ハウスメーカーの商品では初だと思うが、実は名古屋にあるハウスメーカー「ケイアンドエスジャパン」では以前から、名称は異なるが、室内に洗濯し、干すことができるスペースを同社の標準仕様としており、好評。ただ「限られた面積を家事空間として使うことに抵抗があるのか、他社では取り入れることろがなく、一般的にはなりませんね」とは担当者の談だった。家事のために空間を使うことを無駄と考える人が少なくなかったということであろう。

だが、暮らしの快適さを支えるために家事があることを考えると、リビングや居室の広さばかりではなく、家事のしやすさも住まいに求めるべき重要なポイントである。そう考えると、まだまだ改善の余地はあるはずなので、住宅を作る人たちは家事にも目配りした、より暮らしやすい住まい作りを追及していただきたいものだ。

ちなみにこの調査研究はこの後に続いた、家事ハラなる言葉のおかげで、あまり日の目を見ていない様子。安易にああした刺激的な言葉を誤用したことは責められても仕方ないが、せっかく長年に渡る研究までが否定されるのは残念。旭化成さんには今後もきちんとデータを取り続けていただきたいと思う。