国土交通省による「マンション総合調査」とは

全国のマンションストック戸数は、2013年末現在で約650万戸に達している。全国平均でみればまだ全世帯の1割を少し上回る水準でしかないが、東京都心では4分の3以上の世帯がマンションになるなど、大都市圏ではごく一般的な住まいの選択肢としてマンションが挙げられるだろう。しかし、日本人の住まいとしての歴史はまだそれほど古くなく、さまざまな問題を抱えているのも現状だ。

国土交通省から「マンション総合調査(2013年度)」の結果が2014年4月に発表された。その内容をすべて紹介することはできないが、報告書の中からいくつか気になるデータをみていくことにしよう。なお「マンション総合調査」とは、国土交通省がおおむね5年ごとに実施しているものであり、無作為抽出された全国のマンション管理組合および区分所有者を対象とした調査である。2013年12月に行われた調査では、2,324の管理組合、4,896人の区分所有者から回答(有効回収数)を得ている。

マンションが「終の棲家」として考えられるようになってきた

以前であれば若いうちにマンション暮らしをしても、いずれは一戸建て住宅へ住み替えることが一般的なパターンだった。しかし、1990年代初めのバブル崩壊とともに「住まいの買換えでステップアップ」といった筋書きは通用しなくなり、マンションに対する人々の考え方が大きく変わる契機にもなっただろう。

2013年度の調査では「永住するつもりである」が52.4%に達し、「いずれは住み替えるつもりである」の17.6%を大きく上回っている。1980年度の調査では「永住するつもり」が21.1%に過ぎず、「住み替えるつもり」が57.0%だったのだ。永住意識は年々高まる傾向にあり、マンションが「終の棲家」として考えられるようになってきたのである。ちなみに、サンプル数は少ないものの20歳代でも44.5%が「永住するつもり」と回答している。

さらに近年は、定年退職したリタイア層が郊外の一戸建て住宅を売って、駅近のマンションへ住み替える事例も増えているという。もはやマンションは「仮の住まい」ではない。そのぶん建物の性能や居住性、快適性、コミュニティなど、消費者がマンションに求める水準も高くなっているのだ。

国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成

世帯主の高齢化が新たな問題になっている

永住意識の高まりは居住者の高齢化を伴う。「いずれは住み替えるつもり」でマンションを購入したものの、うまく売却できずにそのまま住み続けている事例も少なからずあるだろう。1999年度の調査では、世帯主の年齢が60歳代以上の割合は25.7%だったが、2013年度の調査では50.1%に達している。逆に40歳代以下は1999年度の48.7%から2013年度の26.8%へと、ほぼ半減しているのだ。また、民間による別の調査によれば、老朽化したマンションほど居住者の高齢化が進行しているというデータも示されている。

世帯主が高齢化しても、同居する家族が多ければそれほど支障はないかもしれない。しかし、マンションに限った話ではないが、高齢夫婦の2人世帯、あるいは独居高齢者世帯の急増が大きな社会問題となりつつあるのが現状だ。とくに大都市圏のマンションほど、深刻な問題として受け止めなければならないだろう。

一戸建て住宅地であれば町内会レベルでの取り組みが必要なのと同様に、マンションであれば管理組合が高齢者問題を考えなければならない。孤独死を防ぐための見守りなどのほか、古いマンションでは共用部分のバリアフリー化など検討すべき課題は多いのだ。

国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成

耐震不足マンションの改修はなかなか進まない

居住者の高齢化は、費用負担を伴う改修工事などに対する合意形成も難しくする。しっかりとした大規模修繕計画のもとに、十分な積立をしているマンションならあまり問題はないだろう。しかし、毎月の修繕積立金で足りないとき、老後の生活資金にゆとりがない高齢者は消極的にならざるを得ない。とくに問題なのが、耐震性の不足するマンションにおける改修工事である。

旧耐震基準に基づいて建設されたマンションのうち、耐震診断を実施した管理組合は33.2%で、過半数の58.0%は実施していない。さらに、診断によって「耐震性がない」とされたのは32.6%だが、このうちすでに耐震改修工事が行われたのは33.3%にとどまる。「今後実施する予定」は47.6%であるものの、およそ5分の1の19.0%は「実施する予定がない」と回答しているのだ。

東日本大震災を経験し、さらに首都直下地震、南海トラフ地震など巨大地震の発生が懸念されている中で行われた今回のマンション総合調査であるが、「耐震性がない」と判断されながら耐震改修の計画を立てることのできないマンションがかなりの数にのぼる現実は、しっかりと受け止めなければならないだろう。

耐震診断を実施していない58.0%のマンションの中には、はじめから諦めている事例も多いようだ。未実施の理由として「不安はあるが耐震改修工事を行う予算がないため耐震診断を行っていない」が44.4%にのぼっている。「管理組合として耐震診断を行うことをこれまで考えたことがなかった」という回答も24.0%あり、耐震性の向上はなかなか進まない。

国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成

大規模災害への対応を強化したマンションは増加している

耐震性が不足するマンションの改修は、費用負担の問題などもあって困難なケースも多いが、マンション全体では大規模災害への対応が進んでいるようである。東日本大震災が契機となった事例も多いことだろう。2008年度と2013年度の調査を比較すると、「特に何もしていない」は38.9%から29.2%に減り、個々の対策はいずれも増加している。

2013年度の調査で多かった対応(重複回答)を順に挙げると、「定期的に防災訓練を実施している」(37.7%)、「防災用品を準備している」(26.9%)、「災害時の避難場所を周知している」(25.1%)、「自主防災組織を組織している」(19.0%)、「災害時の対応マニュアルを作成している」(18.6%)などとなっている。大地震の発生やその後の混乱などを想定すれば、対応状況としてはまだ不十分かもしれない。管理組合ごとの温度差もかなり大きいだろう。さらなる進展を望みたいものだ。

次回は「マンション総合調査(2013年度)」の中から、管理に関する項目をピックアップしてみていくことにする。

2014年 07月27日 13時18分