連載第1回は資産価値とはそもそも何なのか、不動産の資産価値の専門家である中山さんから学びました。連載第2回は、駅からの距離や徒歩分数について学びましたが、今回はバスを移動手段として使う住まいについて、教えてもらいます。

第1回「買ったときよりも高く売れるのが資産価値の高い家ですよね?」


第2回「駅徒歩10分以内じゃないと資産価値はないんですよね?」


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バスを使う物件を探す

 

Hさん:徒歩分数は物件のスペックの一部であることは分かりました。そうはいってもバスを使う物件は、やめておいたほうがいいですよね?

 

中山さん:バスを使う物件のことを「バス便(べん)物件」といいます。

 

Hさん:(バス便(びん)じゃなかったのか……恥)

 

中山さん:駅から遠いことは必ずしも不便なことではありません。考えようによっては家までの行き帰りを楽しむ貴重な時間があるともとれます。確かにバスを利用することを避ける人もいるので、売ることを考えると不利になる可能性はあります。

 

でも、たとえば以下の2つの物件があるとして、2の場合だとどうですか。

  1. バスを利用せざるを得ない物件
  2. 徒歩10分以上かかるが、バスも利用できる物件

Hさん:1も2も、あまり変わらないように思いますが……。

 

中山さん:電車が中心となる都心エリアの場合、1のバスしか使えない物件は資産価値の面では有利とはいえません。夜遅くになって最終バスが終わってしまい、歩くかタクシーを使わざるを得ないケースも出てきてしまいます。

 

しかし2であれば雨の日、夜遅くなど、選んで乗れます。小さなお子さんの手を引いて歩くくらいなら、バスに乗ったほうがいいと考える人もいます。徒歩圏でもありバスも使えるなら、資産価値的に不利とはいえません。

 

さらに都内の湾岸エリアなどでマンション専用のシャトルバスが出ている物件もあります。これは逆に資産価値としてはプラスに働くでしょう。

 

福岡市の南側など電車のアクセスはよくなくても、バスの本数が多いエリアもあります。バスが交通の足の中心になっていることもある。だから、すべて同じ基準で測れるものじゃないんですよ。

中山さん:そもそも、すべての人が徒歩分数を重視して買ったほうがいいわけではありません。今後購入した住まいを売却する予定がある人、つまり住み替え、買い替えを想定している人は、意識しておいたほうがいいでしょう。理由として、駅徒歩分数を気にする人が多いので、スペックを重視する人に向けて売るための武器になります。

 

逆に住み替える予定がなく、自分たちにとってよい環境を追求したい人は優先順位が変わってくるでしょうね。

 

駅に近いことと、落ち着いた住環境とはトレードオフです。近すぎても不特定多数の往来があってリスクと感じる人もいます。駅徒歩分数を絶対視する必要はありません。住まいを選ぶには、エリアに適したバランス感覚を持つことが大切です。

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中山さん:駅とマンションの関係性はエリアによって全然違う。第2回で紹介したように、徒歩15分くらい離れているほうが利便性がいい、ステータス性が高いというエリアもあります。エリアごとの特性を考えたときに徒歩何分かのものさしが適当なのかを考えるべきで、バス便はだめ、駅徒歩10分以内じゃないとだめだと絶対視しないことです。

 

今のようにコロナ禍で在宅勤務が増えているなか、駅徒歩の価値はコロナ前に比べると相対的に下がっています。利便性が高い=人が多いわけだから、リスクも多少はある。駅から近いこと=すべて満たしているわけではなくなっていることを押さえておくといいかもしれませんね。

 

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更新日: / 公開日:2022.03.11