今が住まいの買い時なのか売り時なのか、気になる人は多いのではないでしょうか。今後の住宅価格の推移を知るには、まずは住宅価格がどのように決まるのかを知っておきましょう。

同じ住宅でも、新築住宅と中古住宅では価格の決まり方が異なります。新築住宅は基本的にコストの積み上げによって設定され、中古住宅は買い手がすぐにつきそうな魅力的な要素が多ければ多いほど強気の価格設定になります。

この住宅価格は新型コロナウイルスの影響で今後どうなっていくのでしょうか。この記事では住宅価格の決まり方とこれまでの価格推移を押さえたうえで、「withコロナ時代の住宅価格と今後の推移」について考えていきます。

新築マンション

まずは、新築マンションや新築一戸建てなどの新築住宅から住宅価格の決まり方を詳しくご紹介しましょう。

 

新築住宅を販売するのは企業です。新築住宅の価格は、基本的にはコストの積み上げによって設定されます。開発用地の仕入れ価格(実際の購入価格)、物件を建築するための資材価格や人件費などの「原価」に、物件の広告宣伝費や販売経費、さらに適正と考えられる利益を加えたものの積み上げが価格に反映されます。これを「積算価格」といいます。

 

景気拡大期に地価が高騰したり、人手不足で人件費が上昇したりすれば、新築住宅の価格が上昇するのはこのような「原価」の上昇によるものです(多少のタイムラグはあります)。基本的に景気が拡大する時期には人件費や資材価格、地価なども連動して上昇することが多いので新築住宅の価格も上昇します。反対にバブル後などでは価格が下落することになります。

中古マンション

一方、中古マンションや中古一戸建てなどの中古住宅を売り出すのは、大半が個人です。過去に販売された物件を購入した個人が、ライフステージの変化に合わせて売却を検討し、多くの場合、専門の不動産会社に依頼して買い手を見つけてもらうという方法を採ります。

 

このときにいくらで売るかは、原則として売主である所有者が決めるべきものです。しかし、いくらで売却すればよいのか市況を把握している人はなかなかいません。そのため、不動産会社がその地域での築年数や広さ、駅からの所要時間などに応じた「相場価格」を算出し、住宅ローンが残っているからこの価格以上で売りたい、相続したので早く売却して身軽になりたいなどの売主個人の事情を考慮して、個別の「売り出し価格」を決めます

 

この「相場価格」も「売り出し価格」も市場価格、つまり市場に出して買い手が現れるであろうと思われる妥当な価格を設定しており、新築住宅のようにコストの積み上げではありません。駅に近くて買い物も通勤・通学も便利、築年数も10年くらいでまだまだ大規模なリフォームなしで住める、といった中古住宅は当然人気になる可能性が高いですから市場価格は高めにつけられます。この条件の反対を考えれば買い手が想定しにくいので市場価格は安くなってしまう、ということになります。

 

また、住宅の法定耐用年数は木造で22年、主にマンションで用いられる鉄筋コンクリート造などで47年と設定されているため、一般に木造家屋は20年程度で、マンションなどは概ね35年を超えてくると残りの減価償却期間がないものと見なして建物の価格をほとんど考えない=ほぼ土地の価格のみという考え方が浸透しています(ただし、立地によって大きく異なります)。築年数と耐震設計基準(強い地震に耐えられる構造や躯体であるかどうかの基準)などの違いによって建物の価値が減じられやすい仕組みになっています。

 

中古住宅は築年数があまりたっていないこと(現行の耐震基準で設計されていること)、生活と交通の利便性が良いこと、住環境が整っていること、人気の住宅地であることなどに加えて売主の事情を加味して“総合的に”販売価格が決められるのです。

 

また、販売する主体は個人であることも重要な要素です。不動産会社は売主と買主を取り持つ仲介で販売主体ではありません。これは交渉次第では「売り出し価格」から相応の減額ができる可能性があるということです。

コロナ禍以前と足元(2020年9月)の状況を整理しておきましょう。

 

コロナ禍以前の住宅市場では、安定的な景気回復に伴い、特に都市圏市街地での住宅地価が上昇を続けた結果、最も地価の高い東京都の住宅価格は新築も中古も大きく上昇しました。

 

特に上昇の著しいマンションの例を挙げると、首都圏の新築マンション平均価格は2010年には4,716万円(4万4,535戸)でしたが、直近の2019年では5,980万円(3万1,238戸)と25%以上の価格上昇となっています(※)。2019年10月の消費税引き上げによって売れ行きが鈍った新築マンションの供給を調整しつつ、地価や資材価格などのコストアップを反映して価格が大きく上昇していることが分かります。

 

同様に中古マンション価格をみると、首都圏中古マンション平均価格(築10年未満)は2013年4月の3,017万円から2019年9月には4,536万円へと50%もの価格上昇を記録しています(※)。これは新築マンションの価格が高騰して相対的に中古物件へも目を向ける人が増えたこと、2000年以降の新築マンション大量供給によって築20年弱で比較的質の高い「売り頃」の中古物件が数多く出回ったこと、その大量供給期に販売された多くの中古物件が現状の新築物件よりも駅に近く専有面積が広めであったこと、などが価格高騰の要因といわれています。買い手がすぐに見つかりそうな魅力的な要素が多い、いわゆる“市場流動性の高い”中古住宅が増えたことで価格が大きく上昇しているのです。

 

※新築マンション価格と供給戸数は不動産経済研究所、中古マンション価格はLIFULL「LIFULL HOME’Sマーケットレポート」のデータによる

 

実は、新築住宅および中古住宅の価格は、コロナ禍においてもそれほど大きく変動していません。その要因は複数考えられます。新築住宅においては供給調整が行われて新規の販売戸数が大きく減少していること、中古住宅においても市場に売りに出る物件の数が限られており、需給のバランスがタイトになって価格を維持、もしくは押し上げる要因になっていること、などです。本来であれば新型コロナの影響が長引けば長引くほど景気の先行きは不安定さを増すことになり、今後の市場価格にも影響があるものと考えるべきです。しかし、新型コロナが発生して約半年が経過しても、足元の住宅市場価格には大きな影響が出ていないというのが実情です。

今後どう推移する?

2020年1月16日に国内初の感染者が出て以降、新型コロナの感染は拡大し続けて4月7日には緊急事態宣言が発出され(同16日には対象地域を全国に拡大)、その後も影響は一進一退を続けていますが、その間、国の経済も大きな打撃を受けています。9月上旬で日経平均株価は依然2万3,000円台を維持していることから今のところ深刻な景気後退の局面とは捉えられていません。しかし、企業業績の通信簿である決算がこれから相次いで公表され経営の不振がどの業界でも見えてくると、給与や賞与のカットだけでなく、人員整理や企業の統廃合など景気後退の局面に入る可能性が指摘されています。

 

景気悪化が現実のものとなれば人生で一番大きな買い物とされる住宅購入にもブレーキがかかり、2009年のリーマン・ショック後のミニバブル崩壊時と似たような、もしくはそれ以上の状況に陥る可能性もあります。

 

住宅市場は現在、新築も中古も物件数が少ない状況ですが、買いたい人のニーズは相応にあって需給バランスが取れていることで維持されています。今後、景気の動向が不安定になれば買いたいと考える人は減少することが想定されますから、新築も中古も価格が下落する可能性が高まります

 

一方で、都心・近郊の好立地の物件については価格が維持されるという見方もできます。

 

これまで解説してきたとおり、新築住宅はコストの積み上げであり市況が悪化したからといってすぐに価格調整局面には入りません。それが都心や人気住宅地であればなおさらのことです。中古住宅も市場で流通する物件数は減少していくことが想定されます。しかし、市場流動性の高い物件までが大きく価格を下げることは考えにくいでしょう。また市場流動性の低い物件=売れにくい物件は市場に登場せずリフォームして住み続けるケースが増えるため、市場全体の価格観が激変する状況にはなりにくいのです。

 

価格差が生まれる可能性も

さらに、この現象は全国一律に発生するものではなく、地域差が比較的大きいと考えるべきでしょう。

 

というのも新型コロナウイルスの影響は全国一律ではないからです。東京、大阪を中心とした都市圏では感染者の数が依然として緩やかにしか減少していませんが、全国的に見ると感染者が少ない地域も地方圏を中心に多く見られます。これらの地域では中古住宅の流通が2020年4~5月の落ち込みから2019年並みにV字回復しているところもたくさんあります。

 

新型コロナウイルスという見えない敵に対する不安が消費行動を抑制しているため、感染者がごくわずかであれば、住宅購入に向けて前向きに検討することも可能な状況にあるようです。

 

また、感染対策として、インターネットを活用したオンライン内見や電話サポートなど、不動産会社の担当と売主および買主が極力直接顔を合わせないようにする工夫がされているところも多くあります。

 

全般的に住宅の価格推移は、新型コロナの影響が大きいところと比較的小さいところで違いが表れることが想定されますが、これまでの状況を見る限り、極端な価格下落は発生しないと見てよさそうです。

個別の物件を見て判断しよう

住宅の購入を考える際に重要なことは、「市場価格」で購入するケースはほぼないという事実です。最終的には個別の物件の立地条件や交通条件、生活環境などを比較して購入するかどうかを検討します。「市場価格」が上昇局面でも、現在のようにコロナ禍で下落がイメージされる局面でも、その物件の「個別価格」が自分と家族にとって適正で妥当なものであるか、しっかりと見極めることが大切です。

 

「価格推移」と同様に注視すべきものが「金利動向」です。住宅価格は購入を決めるいえでの最大前提条件ですが、現金で一括購入するのでなければ、長年にわたってローンを返済することになります。住宅ローン金利の動向にも目を配って、より安心して暮らすことができる住宅を見つけてください。

 

自分が住んでみたいと思うエリアや物件のタイプごとに価格推移を知りたいときには、不動産ポータルサイトで調べることもできます。LIFULL HOME’Sが提供している「プライスマップ」や「住まいインデックス」というサービスがそのひとつです。上手に活用しましょう。

 

 

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