マンションを購入するときには、多くの人が住宅ローンを利用します。しかし、初めて融資を受ける際には、具体的な仕組みが分からずに不安を感じてしまうこともあるでしょう。
今回は住宅ローンの基礎知識として、仕組みや審査、金利、返済額の決め方などのポイントを解説します。
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住宅ローンの基本的な仕組み

住宅ローンはさまざまな面で、一般的なローンとは異なります。まずは、住宅ローンを理解する第一歩として、基本的な仕組みについて見ていきましょう。
ポイント1:利用目的が決められている
住宅ローンは文字どおり「住宅を購入するために利用できるローン」です。住宅という生活に欠かせないものを目的として設けられた仕組みであるため、一般的なローンと比べると金利は低く設定されています。
こうした理由から、利用目的は「利用者本人や家族が生活の拠点として居住するため」と決められており、別荘や人に貸すための物件購入には利用できません。
利用者の居住用であれば、新築だけでなく中古でも利用できるほか、住宅を建てるためなら土地の購入でも利用可能です。
ただし、中古物件の場合は、建物の築年数や使用可能年数によって借入期間に制限がかかってしまうこともあります。住宅ローンは購入する住宅を担保に設定する必要があるため、審査では物件そのものの価値も重視されるのです。
ポイント2:物件の購入手続きと並行して審査が行われる
住宅ローンの手続きは、物件の購入手続きと並行して行うこととなります。以下の表で、住宅ローン手続きの流れを確認しておきましょう。
| マンションを購入するまでの流れ | 住宅ローン手続きの流れ |
|---|---|---|
1 | 情報収集、絞り込み | 情報収集、絞り込み |
2 | マンションの購入申し込み | 事前審査の申し込み |
3 | 重要事項説明 | 事前審査の結果通知 |
4 | 売買契約の締結(手付金の支払い) | 本申し込み |
5 | - | 本審査結果通知 |
6 | - | ローン契約の締結 |
7 | 購入代金の決済 | 融資実行 |
8 | 引き渡し | - |
このように、住宅ローンの審査は事前審査と本審査の2段階形式となっており、購入手続きと同時並行で進めていきます。
事前審査では、主に申請者の返済能力がチェックされ、具体的には「年収」「信用情報」「返済負担率」などが見られます。簡易的な審査でもあるため、結果は早ければ数日後、遅くても1週間程度で明らかになります。
一方、本審査では事前審査の内容が正確であるかがチェックされたうえで、以下の項目が詳しく確認されます。
- 借入時年齢、完済時年齢
- 勤続年数、雇用形態
- 健康状態
- 物件の担保評価
審査の内容は金融機関によっても異なるものの、本審査では健康状態や物件の担保価値についてもチェックされるのが特徴です。これらの項目を無事にクリアすると、2週間~1ヶ月程度で審査通過の通知が届きます。
その後、融資が実行されたら物件購入額の残代金を決済して、晴れて引き渡しとなります。このとき、1点注意しておきたいのは、融資が下りるタイミングよりも前に発生する「手付金」です。
手付金とは、売買契約に信頼性を持たせるために必要なお金であり、原則として現金での支払いが求められます。
無事に契約が進めば、最終的には返還してもらったり物件の購入資金に組み込んだりすることができるものの、金額は物件価格の1割程度になることもあり、一定額の自己資金を用意しなければなりません。
住宅ローンの金利タイプと返済方法の種類

住宅ローンには、さまざまな金利タイプや返済方法があり、どのプランを選択するかによって、同じ借入額でも毎月の支払額や総返済額には違いが生まれます。
ここでは、具体的なプランの種類と特徴について見ていきましょう。
ポイント3:金利タイプ
住宅ローンには「固定金利型」「変動金利型」「固定金利期間選択型」の3つの種類があります。
固定金利型

固定金利型は、完済まで金利が変わらずに固定されるタイプであり、返済額を毎月一定に保てるのが特徴です。途中で金利が上昇してしまう心配がないため、安定した返済計画を立てやすいのが大きなメリットといえます。
一方、スタート時の金利は、ほかのタイプよりも高めに設定されることが多いので、総支払額が大きくなってしまう可能性もあります。
変動金利型

変動金利型は、経済の動向に応じて、半年に一度金利の見直しが行われるプランです。そして、金利の変動に基づいて、5年ごとに返済額も変動します。そのため、返済途中で金利が上昇すれば、返済額もその分だけ多くなってしまいます。
しかし、スタート時の金利は比較的に低いため、途中で変動が起こらなければ、総支払額を抑えられるのが大きなメリットです。また、変動率の上限は1.25倍までと制限されているので、急激に返済額が高額になってしまうことはありません。
固定金利期間選択型

固定金利期間選択型は、融資を受けてから一定期間にわたって固定金利が続き、その後は改めて固定金利型か変動金利型かを選び直すプランです。
状況に応じて自由に固定期間を調整できる点がメリットですが、途中で変動金利を選択した場合は、通常のケースと違って変動上限額に制限が設けられません。そのため、計画的な利用が求められるプランでもあります。
ポイント4:返済方法

住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つの種類があります。
元利均等返済
元利均等返済とは、毎月の元金と利息の合計額を一定にする方法であり、返済計画が立てやすい点がメリットです。返済スタート時の支払額を抑え、毎月の返済額を一定にしたい人に向いています。
ただし、返済当初は利息分が多く、元金分はわずかなため、返済が進んでも借入金残高がなかなか減っていかないというデメリットがあります。
元金均等返済
元金均等返済とは、毎月返済する元金部分は一定であるものの、利息はその時点での残高に応じて上乗せされる仕組みです。ローンの残高に応じて利息部分が減っていくため、返済額はスタート時に高くなり、徐々に下がっていくこととなります。
返済当初の負担額は、元利均等返済よりも大きくなってしまうものの、トータル支払額が少なくなる点がメリットです。
そのため、どちらかといえば「返済額の設定に余裕がある」「将来的に出費が増えそうなので、早めに返済負担を減らしたい」といった場合に適した方法だといえます。
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適正な毎月返済額と借入金額の決め方

住宅ローンを利用する際には、毎月どのくらいの返済額なら無理がないかを考慮して、適切な借入金額を設定することが大切です。
ここでは、返済額の決め方と年収別の借入金額の目安について見ていきましょう。
ポイント5:無理のない毎月返済額の決め方
毎月返済額を決める際には、「返済負担率」という数字がひとつの指標になります。返済負担率とは、「年収に対してどのくらいの返済額を負担するか」という割合であり、無理のない比率は25%以内とされています。
たとえば、年収500万円の世帯であれば、無理のない毎月返済額は「500万円÷12ヶ月×25%=約10.4万円」です。まずは現在の年収から、実際に返済負担率が25%以内に収まる返済額を計算してみましょう。
■毎月返済額の目安(返済負担率25%)
300万円:6.3万円
400万円:8.3万円
500万円:10.4万円
600万円:12.5万円
700万円:14.6万円
800万円:16.7万円
ポイント6:借入金額の決め方
住宅ローンの借入可能額は、毎月返済額と返済期間、金利タイプと利率、返済方法によって決まります。同じ毎月返済額を設定するのであれば、返済期間を長くとるほうがより多くの金額を借り入れることができるのです。
一方、返済期間が長ければ、それだけ利息負担分が増えてしまうため、総支払額は大きくなります。また、安定した返済を続けるためには、より長期的な視点でライフプランの変化を想定する必要もあります。
そのため、返済期間は現在の年齢や完済時の年齢、定年などの収入変化も考慮しながら決めることが大切です。
ここでは、例として、以下の条件で年収別に借入額のシミュレーションを行ったので参考にしてみてください。
条件
- 金利:全期間固定金利1.5%
- その他のローン:利用なし
- 返済方法:元利均等返済(毎月一定額を返済する方法)
- 返済期間:15年、25年、35年の3パターンで計算
- その他の条件:毎月返済額は返済負担率25%の場合で計算
| 借入可能額 | ||
|---|---|---|---|
返済期間15年 | 返済期間25年 | 返済期間35年 | |
年収300万円 | 1,047万円 | 1,625万円 | 2,122万円 |
年収400万円 | 1,341万円 | 2,082万円 | 2,720万円 |
年収500万円 | 1,675万円 | 2,600万円 | 3,396万円 |
年収600万円 | 2,013万円 | 3,125万円 | 4,082万円 |
年収700万円 | 2,352万円 | 3,650万円 | 4,768万円 |
年収800万円 | 2,690万円 | 4,175万円 | 5,454万円 |
頭金の役割と目安

頭金とは、住宅ローンを利用して家を購入するときに、「あらかじめ用意しておいた自己資金で負担する部分」のことを指します。ここでは、頭金の役割と目安割合について解説します。
ポイント7:頭金の役割と用意するメリット
頭金は、前述した手付金とは異なり、あくまでも任意で用意するお金です。
そのため、頭金を準備せず、購入金額をすべて住宅ローンで賄うこと(フルローン)も可能です。しかし、頭金を用意することには、金銭面でのさまざまなメリットがあります。
1つ目は、「総支払額を抑えられる」という点です。頭金を多く用意すればするほど、利息がかかってしまう住宅ローンの借入額を減らせるため、トータルの支払額が少なくなります。
また、2つ目は「住宅ローンの利率が下がる場合がある」という点です。
たとえば、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して取扱いをしている「フラット35」では、頭金を1割以上用意することで通常よりも金利が低くなります。
借入額が大きい住宅ローンでは、金利のちょっとした違いが返済額を大きく左右するので、事前に仕組みをチェックしておきましょう。
ポイント8:頭金の目安割合
住宅金融支援機構が公表している「2020年度 フラット35利用者調査」によれば、フラット35を利用して住宅を購入した多くの人が「1~2割程度」の頭金を用意していることが明らかにされています。
これには、先ほども紹介したように、フラット35では自己資金率1割以上で利率が低くなることが大きく関係しています。
そのうえで、前述のように頭金の割合によって総支払額にも違いが出るので、実際に計算しながら頭金の割合を決めることが大切です。
たとえば、4,000万円の住宅を購入するケースを例に挙げると、頭金の割合によって総支払額は以下のように変化します。
| 毎月返済額 | 総支払額 |
|---|---|---|
頭金なし(フルローン) | 12.3万円 | 5,144万円 |
頭金1割(400万円) | 11.1万円 | 5,030万円 |
頭金2割(800万円) | 9.8万円 | 4,916万円 |
※固定金利1.5%、返済期間35年の場合で計算
このように、頭金は総支払額を抑えるとともに、毎月の負担額を減らすことにも効果を発揮します。ただし、だからといって自己資金のすべてを頭金に充てるべきではありません。
なぜなら、住宅の購入時には、住宅購入価格とは別に「諸費用」として現金で支払わなければならないコストが発生するためです。また、購入後の生活費や引越し代なども考えて、少なくとも半年程度の生活費は手元に残しておく必要があります。
ここからは、マンションを購入する際に必要な諸費用について詳しく見ていきましょう。
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マンション購入にかかる諸費用

諸費用とは、住宅を購入するときに必要な手数料や税金などの総称のことです。ここでは、新築マンション、中古マンションのそれぞれについて、諸費用の内訳や目安を解説します。
ポイント9:マンションの諸費用目安割合
新築マンションの諸費用は、物件価格の3~6%が目安とされています。たとえば4,000万円の新築マンションを購入するのであれば、「120万~240万円」程度が諸費用の目安です。
一方、中古マンションの諸費用は、物件価格の6~9%が目安とされています。これは、新築マンション購入時と違い、多くのケースで「仲介手数料」が発生するためです。
仲介手数料とは、不動産会社の仲介によって物件を取引したときに支払う成功報酬のことです。デベロッパーなどの売主が直接販売を行う新築マンションとは異なり、中古マンションでは個人の売主が売却を行うのが一般的であるため、専門家である不動産会社が間に入って手続きを行います。
そのため、中古マンションでは、仲介手数料の分だけ諸費用が高くなるのです。ただ、新築マンションは販売に必要な広告宣伝費や人件費があらかじめ物件価格に組み込まれることが一般的であり、「仲介手数料がかからないから単純にお得」だというわけではない点は誤解しないようにしておきましょう。
ポイント10:諸費用の内訳と計算方法
マンションの諸費用には、大きく分けて「物件購入にかかる費用」と「住宅ローン利用時に必要な費用」の2つがあります。ここでは、具体的な項目と金額の目安を詳しく見ていきましょう。
物件購入にかかる費用
費用の項目 | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 | 1万~3万円 |
不動産取得税 | 不動産取得時に発生する地方税 | 0円~固定資産税評価額の3% |
登録免許税 | 所有権移転登記に必要な国税 | 固定資産税評価額の0.1~2% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 10万円前後 |
仲介手数料(※) | 不動産会社に支払う成功報酬 | 物件価格×3%+6万円+消費税が上限 |
固定資産税 清算金(※) | 売主(不動産会社含む)へ支払う固定資産税の保有期間分の負担金 | 固定資産税の日割り金額 |
※中古住宅のみにかかる費用
住宅ローン利用時にかかる費用
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
|---|---|---|
印紙税 | 金銭消費貸借契約書に貼る印紙代 | 2万~4万円 |
登録免許税 | 抵当権設定登記に必要な国税 | 借入額の0.1~0.4% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 4万~8万円 |
ローン手数料 | 金融機関に支払う手数料 | 3万~5万円 |
ローン保証料 | 保証会社に支払う保証料 | 借入額の0.5~2%程度 |
物件調査料 | 物件が融資基準を満たしているか調査する際の依頼料 | 6万~8万円程度 |
火災保険料 | 住宅ローン利用時に必須となる場合が多い | 契約内容によって異なる |
このように、諸費用にはさまざまな項目があるため、ひとつずつの金額は小さくても、合計すると大きなコストとなります。
そのため、マンション購入時には、頭金とは別に一定金額の現金を用意しておきましょう。
まとめ

- 住宅ローンは原則として利用者本人や家族の居住用住宅にしか利用できない
- マンションの購入手続きと並行して審査の手続きを進めていき、融資が下りたタイミングで決済を行う
- 金利タイプや返済方法で総支払額が変動するため、仕組みをきちんと押さえておく
- 住宅ローン借入額は、返済負担率から無理のない毎月返済額を設定して計算する
- 頭金の割合は、メリットだけでなく諸費用や購入後の生活費も考慮しながら決める
更新日: / 公開日:2021.10.13










