年収100万円台の住宅ローン利用の可能性
金融機関によっては年収100万円台でも住宅ローンの申込は可能ですが、審査では年収だけでなく、年齢や健康状態、物件の担保評価なども総合的に判断されます。
詳しくは、「住宅ローンの審査項目と基準」をご覧ください。
パート・アルバイトならフラット35も選択肢に
パートやアルバイトの方で民間の住宅ローン審査が難しい場合でも、「フラット35」なら申し込める可能性があります。フラット35は年収や雇用形態の基準が設けられていないのが特徴です。
詳しくは、「パート・アルバイトでも利用できる住宅ローンはある?」をご覧ください。
収入合算やペアローンで借入額を増やす
年収100万円台での借入額は1,000万円未満が目安となり、十分な頭金が必要です。借入額を増やしたい場合は、夫婦の収入を合算する「収入合算」や「ペアローン」を検討する方法もあります。
詳しくは、「収入合算やペアローンを検討する」をご覧ください。

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住宅ローンを借りるためには、審査に通過する必要があります。

 

長期にわたって返済する高額なローンとなるため、一定以上の収入がなければ融資を認めてもらえません。それでは、どのくらいの年収が審査通過の基準となるのでしょうか。

 

今回は年収100万円台で審査に通過する可能性があるのか、審査の仕組みとともに見ていきましょう。

住宅ローン

 

一般的なローンを借りる際にも、年収や個人の信用情報をもとに審査を受ける必要があります。ただ、住宅ローンにおいては、通常のローンよりも多くの審査基準が設けられているのです。

 

国土交通省の「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査報告書」では、住宅ローンを取り扱う金融機関がどのような審査項目を設けているのかが明らかにされています。

 

それによれば、「完済時年齢」「健康状態」「担保評価」「借入時年齢」「年収」「勤続年数」「連帯保証」などが重視されている項目となっています。

 

年齢や健康状態については、住宅ローンが長期にわたって返済を行う性質を持っていることから設けられている項目だといえるでしょう。また、担保評価は購入する物件の価値のことであり、万が一返済ができなくなってしまったときに備えて重視されています。

 

住宅ローンを利用するためには、年収とともにこうした項目を意識したうえで、審査通過のポイントを理解しておくことが重要です。

住宅ローン

 

年収に関する具体的な審査基準は、金融機関によって大きく異なります。

 

たとえば、主要なネット銀行などでは、前年度年収の基準が200万円~400万円以上と設定しているところが多いものの、なかには100万円以上を基準にしているところもあります。

 

また、大手金融機関でも、前年度年収の基準を100万円以上や150万円以上としているところがあります。いずれも「安定した年収が見込まれる」ことが条件ではあります。

 

年収とともに「雇用形態の安定性」が重視されるため、現在の収入が低くても利用できるケースはありますが、審査基準はあくまでも「最低基準」です。

 

ハードルをクリアしているからといって、必ずしも通過できるというわけではありません。

 

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住宅ローン

 

前述のように、住宅ローン審査では雇用形態や勤続年数が特に重視される傾向にあります。そのため、同じ年収であっても、パート・アルバイト・自営業者の場合は、正社員と比べて審査で不利になってしまうのです。

 

民間の金融機関では申し込みができないケースでは、「住宅金融支援機構」と民間の金融機関が提携して取り扱っている「フラット35」の利用を検討してみましょう。

 

住宅金融支援機構とは、旧住宅金融公庫で、生活に欠かせない「住宅」に必要な資金を民間金融機関に円滑かつ効率的に融通し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として設立された独立行政法人です。

 

フラット35は住宅金融支援機構が取り扱うメインの住宅ローンであり、一般的な住宅ローンとは異なる特色を持っています。

 

たとえば、以下のようなポイントが特徴です。

ポイント

  • 固定金利のため返済計画が立てやすい
  • 金利が比較的低めに設定されている
  • 事務手数料が安い
  • 勤続年数や雇用形態にかかわらず利用できる

特に大きな特徴となっているのが、審査に関する基準です。

 

フラット35では勤続年数や雇用形態に関する基準が緩和されているとともに、前年度年収の基準が設けられていないため、パートやアルバイトの人でも利用できる可能性があります。

 

フラット35の審査基準は、一般的な住宅ローンと大きく異なっていますが、単に甘く設定されているわけではありません。

 

フラット35では、個人の収入状況とともに、物件そのものの担保価値に重きを置いて審査が行われるのです。

 

そのため、融資を受けるためには購入する物件の検査を受け、一定の技術基準に適合していることを確認してもらう必要があります。

 

そのうえで、基準に達していなければ、たとえ年収が高い世帯でも審査に落ちてしまうことがあるのです。

住宅ローンのシミュレーション

 

住宅ローンを借りる際には、安定して返済を続けられる計画を立てたうえで、慎重に借入額を設定する必要があります。年収に対してあまりにも申請額が高ければ、審査に通過することはできません。

 

ここでは、年収100万円台で借りられる金額の目安を見ていきましょう。

 

返済負担率とは、「年収に対する年間返済額の割合」を示す数値であり、住宅ローン審査において重要視される項目のひとつです。

 

返済計画の妥当性を確かめるうえでも重要な指標であり、多くの金融機関では返済負担率30~40%以内を基準と定めています。

 

しかし、安定して返済を続けるためには、返済負担率を25%以内に抑えることが目安とされています。特に年収が低い世帯では、滞納リスクなどを考えて、審査基準よりも低く設定することが大切です。

 

年収100万円台でどのくらいの金額を借りられるのか、ここではLIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を使ってシミュレーションしてみましょう。

 

今回は以下の条件をモデルケースにして、計算を行います。

条件

  • 年収120万円
  • 頭金なし
  • 年齢30歳
  • 返済期間35年
  • 金利は全期間固定金利1.5%で計算

年収120万円の場合、返済負担率を25%に抑えるためには、毎月返済額を2万5,000円に設定する必要があります。すると、上記のケースで借りられる限度額は「817万円」となりました。

 

年収100万円台の場合は1,000万円以上の借入れを行うことができず、フルローンで住宅を購入するのは現実的ではありません。そのため、残りを現金で賄えるだけの頭金を用意しておくことが前提条件となるでしょう。

 

これまでの結果を踏まえると、年収100万円台で十分な金額の借入れを行うことは難しい側面があり、「豊富な貯蓄がある」「物件価格が安い」といったケースでなければ住宅ローンの利用は厳しいと判断できます。

 

ただし、共働き世帯の場合は「収入合算契約」や「ペアローン契約」などを利用することで、借入額をアップさせることが可能です。

 

あらかじめ毎月の返済額や生活費などをシミュレーションして、無理のない暮らしができるように計画を立てましょう。

 

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Q.1:年収100万円台でも、住宅ローンを組むことはできますか?

A.1:金融機関によっては、年収100万円台から申し込める住宅ローンもあります。ただし、審査では年収額だけでなく、雇用形態の安定性や勤続年数、健康状態なども含めて総合的に判断されるため、基準を満たしていても必ず審査に通るとは限りません。

Q.2:住宅ローンの審査では、主にどのような項目が見られますか?

A.2:国土交通省の調査によると、金融機関は「完済時年齢」「健康状態」「担保評価」「借入時年齢」「年収」「勤続年数」などを重視しています。長期にわたる返済が可能か、万が一返済できなくなった場合に備えられるか、といった点がチェックされます。

Q.3:パートやアルバイトでも住宅ローンは利用できますか?

A.3:パートやアルバイトの場合、正社員に比べて審査が不利になる傾向があります。民間の金融機関で申し込みが難しい場合は、年収や雇用形態の基準が設けられていない「フラット35」を検討してみるのがおすすめです。

Q.4:「フラット35」とは、どのような住宅ローンですか?

A.4:住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している、全期間固定金利の住宅ローンです。金利が変動しないため返済計画が立てやすく、年収や勤続年数、雇用形態にかかわらず利用しやすいのが大きな特徴です。

Q.5:フラット35を利用するときの注意点はありますか?

A.5:フラット35は、申込者の収入状況だけでなく、購入する物件が住宅金融支援機構の定める技術基準に適合しているかが重要視されます。そのため、物件が基準を満たしていない場合は、年収が高くても審査に通らないことがあります。

Q.6:年収100万円台の場合、具体的にいくらくらい借りられますか?

A.6:たとえば年収120万円で、無理のない返済負担率25%に設定した場合、借入限度額の目安は817万円程度です(金利1.5%、返済期間35年の場合)。希望する物件価格によっては、多くの頭金を用意する必要があります。

Q.7:借入額を増やす方法はありますか?

A.7:ご自身の収入だけでは希望額に満たない場合、共働き世帯であれば夫婦の収入を合わせる「収入合算」や、それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」といった方法で借入可能額を増やすことができます。

更新日: / 公開日:2021.06.23