住宅ローンの借入金額の目安は、年収をもとに計算するのが基本です。年収に対して借入額があまりにも高いと、返済が苦しくなってしまうのはもちろん、審査で落ちてしまう場合も。

今回は、年収からどのように住宅ローンの借入額を決めるべきか、基本的な知識を押さえながらシミュレーションをしていきます。
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住宅ローン

年収から住宅ローン借入額を判断する際には、「年収倍率」「返済負担率」の2つが重要な指標となります。ここでは、それぞれの仕組みや目安について見ていきましょう。

年収倍率とは、住宅購入価格が年収の何倍にあたるのかを示す数字です。

 

住宅金融支援機構の「2019年度 フラット35利用者調査」によれば、平均年収倍率は土地付き注文住宅で7.3倍、建売住宅で6.7倍、新築マンションで7.1倍とされています。

 

この結果を踏まえると、年収倍率から見れば、6~7倍程度が平均購入金額だといえるでしょう。ただ、この数字には「頭金」も含まれているため注意が必要となります。

 

同調査では、頭金の平均割合は1~2割程度となっており、残りの8~9割が住宅ローンで賄われていることが分かります。そのため、単純に年収の6~7倍にあたる借入額を設定してしまうと、返済が苦しくなってしまうこともあるのです。

より正確な借入額を決めるためには、返済負担率に目を向けることが大切となります。返済負担率とは、「年収に対する年間返済額」を示す数字です。

 

たとえば、年収600万円の世帯で月々12万円の返済を負担する場合、返済負担率の計算式は以下のようになります。

計算式

12万円×12ヶ月÷600万円=24%

返済負担率は審査でも重要視される項目であり、金融機関ごとにさまざまな基準が設けられています。たとえば「年収400万円未満なら30%以下」「年収400万円以上なら35%以下」のように設定されているのです。

 

金融機関によっては50%以下を基準にしているところもあるものの、一般的に無理なく返済を続けられる割合は20~25%とされています。そのため、シミュレーションを行う際には、返済負担率を25%以内に設定しておくと安心です。

住宅ローン

住宅ローンシミュレーションを行ううえでは、「金利の種類」と「返済方法」の違いについて正しく理解しておくことが大切です。ここでは、それぞれの仕組みについて解説します。

金利の種類

 

金利については、「固定金利型」「変動金利型」「固定金利選択型」の3つのタイプがあります。

 

固定金利型は完済まで利率が変わらず、返済計画を立てやすい点がメリットです。一方、変動金利型は半年ごとに金利が見直され、5年おきに毎月の返済額が変化していく仕組みです。

 

経済状況の変化によって、金利が上昇するリスクがある点がデメリットであるものの、上昇率は25%以内と制限されているため、極端に負担額が大きくなることはありません。

 

また、当初の金利は固定金利型よりも低く、低金利のまま返済が早く終われば総返済額が減らせる点がメリットとなります。

 

固定金利選択型は、借入後の一定期間は固定金利が適用され、その後に改めて固定金利か変動金利を選択できるタイプです。

返済方法の種類

 

返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。

 

元利均等返済では毎月の元本と利息の返済額が一定になるため、返済計画を立てやすい点がメリットです。

 

元金均等返済は、元金部分を返済期間で等分し、残った元金に応じた利息を毎月支払っていく方法です。そのため、残債の多い返済スタート時は、元本と利息の負担額が大きくなります。

 

その分、支払いを続けるたびに負担額が小さくなり、最終的には元利均等返済よりも総支払額が少なくなる点がメリットです。

 

このように、それぞれ異なるメリットを備えているため、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

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住宅ローンの返済シミュレーションをする

 

住宅ローンの返済シミュレーションは、インターネット上のサービスを利用して、自分で行うことができます。ここでは、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を使って、年収別に借入限度額の計算を行ってみましょう。

 

今回はシミュレーションの条件として、以下のようなケースを設定しました。

  • 金利は1.5%の固定金利
  • 返済負担率は25%
  • 頭金、ボーナス返済利用なし
  • 年齢は35歳
  • 返済期間15年、25年、35年の3パターンで計算

このケースでは、毎月の返済額や借入可能額の目安は以下の表のようになります。なお、実際には金利のタイプや利率、返済方法によって結果が変わるため、状況に合わせてシミュレーションを行いましょう。

 

年収

毎月返済額

借入可能額

15年ローン

25年ローン

35年ローン

300万円

6.3万円

1,015万円

1,575万円

2,058万円

400万円

8.3万円

1,337万円

2,075万円

2,711万円

500万円

10.4万円

1,675万円

2,600万円

3,397万円

600万円

12.5万円

2,014万円

3,125万円

4,083万円

700万円

14.6万円

2,352万円

3,651万円

4,768万円

800万円

16.7万円

2,690万円

4,176万円

5,454万円

900万円

18.8万円

3,029万円

4,701万円

6,140万円

住宅ローンの返済

上の事例でも明らかなように、返済期間を長くとればとるほど借入可能額は大きくなります。しかし、返済期間を長くとることで、デメリットが生まれる側面もあるのです。

 

ここでは、返済期間を判断するポイントについて見ていきましょう。

返済期間が長ければ、借入可能額がある程度高くても、毎月の返済額を抑えることができます。その分、手元に資金を残すことができるため、返済計画が安定しやすくなるのです。

 

一方、支払う利息分が増えるため、総返済額が多くなってしまう点はデメリットです。また、住宅ローンの種類によっては、返済期間を長くとることで保証料が高くなってしまうケースもあります。

返済期間が短ければ、支払う利息分が少なくなるため、総返済額も減ります。高額になる住宅ローンは利息負担も大きいため、大きなメリットにつながります。

 

また、ローンを早く完済できれば、老後資金などを蓄えやすくなる点もメリットです。一方、毎月の負担額が大きくなるため、返済計画を立てる際には工夫が必要となります。

 

途中で返済期間を延長するのは難しいため、ローンを組む段階で綿密にシミュレーションを行わなければなりません。また、住宅ローン控除を利用する場合は、10年以上の返済期間が適用条件となる点にも注意しておきましょう。

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住宅ローン

今回のシミュレーションで計算したのは、あくまでも借入限度額の目安であり、実際にはそこから実情に合わせて借入額を決めていくこととなります。

 

限度額いっぱいまで借りるべきかどうかは、世帯ごとの事情によって異なるため慎重に検討しましょう。

 

住宅ローンを借入限度額まで利用するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

メリット

  • 住宅購入の選択肢が広がる
  • 資産価値の維持しやすい住宅を見つけられる

購入価格にゆとりが生まれるため、妥協せずに理想的な住宅選びを行えるようになるのです。一方、限度額まで借りてしまうと、以下のようなデメリットも発生します。

デメリット

  • 病気や事故といった万が一の事態に対応しにくい
  • 変動金利の場合は、金利上昇リスクも想定される

住宅ローンは長期にわたって返済を続けるものであるため、途中で健康状態や勤務状況が変化することもあります。返済額にゆとりがなければ、万が一の事態に対応することが難しくなってしまうのです。

 

また、住宅は購入してからもさまざまなコストがかかります。固定資産税などの税金やメンテナンス費用にも目を向けながら、余裕のある計画を立てることが大切です。

  • 年収から借入額を考える際には、年収倍率だけでなく返済負担率も考慮する
  • 返済負担率は20~25%以内に抑えるのがポイント
  • 金利や返済方法の種類によって、総支払額には差が生まれる
  • 返済期間は長短による違いを把握したうえで設定する
  • 返済計画を立てるときには、収入状況の変化や住宅の維持コストなどにも目を向けることが大切
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更新日: / 公開日:2021.06.15