家や車などの高価格のものを購入する際、「頭金」の用意があるか聞かれることがあります。今回は不動産における頭金とは何か、手付金とどう違うのか、頭金を支払う理由とその重要性、そして金額の目安についても解説していきます。また、頭金ゼロでも組める住宅ローンについての情報もご紹介します。

頭金

 

不動産の購入における頭金とは、「住宅ローンを利用して家を購入する際に、はじめに自己資金から現金で支払うお金」のことです。物件価格の一部をはじめに頭金として支払い、住宅ローンでは残りの金額を毎月返済していきます。

 

一般的に支払われている頭金はどの程度なのか、目安を確認してみましょう。住宅金融支援機構が公表している2018年度の「フラット35利用者調査」から、利用した人の頭金の平均額を、住宅のタイプ別に見てみましょう。

 

頭金の平均額

住宅購入費用に対する頭金の割合

注文住宅

636.5万円

18.7%

土地付注文住宅

447.0万円

10.9%

建売住宅

293.2万円

8.5%

マンション

714.1万円

16.1%

中古戸建

203.0万円

8.2%

中古マンション

310.5万円

10.4%

出典:「2018年度 フラット35利用者調査

 

 

この結果を見ていくと、物件の種類によって異なりますが、10%から20%程度と考えておくとよさそうです。

 

頭金と似たイメージのある費用に、「手付金」というものもあります。頭金が物件代金の一部であることに対し、手付金は「契約成立を証明するお金」となり、不動産売買契約を結ぶ当日に現金で支払うことが一般的です。また、手付金支払い後に買主の都合で契約を解約したい場合は、手付金を放棄することで契約解除が可能です。一方、売主の都合で解約する場合は、売主から買主へ「手付金の倍額」が支払われます。

 

このように、手付金は頭金と性質の異なる費用ですが、基本的には後日、売買代金の一部に充てられることが多くあります。手付金は、契約時には契約の証拠金(あるいは解約金)としての役割を持ち、残代金の支払いがスタートしてからは頭金に姿を変えるお金となります。

 

手付金の目安は物件価格の5~10%です。手付金の額は宅地建物取引業法によって上限が決められていますが下限に制限はないため、必ず支払う義務があるお金ではありません。しかし、大きなお金が動く不動産の売買では手付金が設定されていることが多いため、あらかじめ資金計画に入れておくことをおすすめします。

頭金の重要性

 

いつとは決めていなくても、将来家を買うために頭金をためている、勤め先の財形住宅貯蓄をしているという人も多いかもしれません。これは、不動産の購入時に頭金を入れた場合、以下の2つのメリットを得ることができるからです。

 

ここからは比較表を交えて具体的に見ていきましょう。

 

頭金を入れると、単純に借入額を減らし、毎月の返済額を抑えられます。頭金を入れた場合と入れない場合で、毎月のローン返済額がどのくらい変わるのか、シミュレーションしてみました。

 

物件価格:3,000万円

世帯年収:400万円

金利:1%

借入期間:35年

頭金:0円、100万円、200万円、300万円、400万円、500万円

 

頭金

月々の返済額

ローン返済総額

0円

8万4,686円

3556万7,998円

100万円

8万1,863円

3438万2,398円

200万円

7万9,040円

3319万6,798円

300万円

7万6,217円

3201万1,198円

400万円

7万3,394円

3082万5,598円

500万円

7万571円

2963万9,998円

 

頭金500万円を支払った場合のローン返済総額は2,963万9,998円です。ここに頭金の分の500万円を足すと、3,463万9,998円です。頭金0円の返済総額3,556万7,998円と比較すると、35年間で92万8,000円という差が生まれてしまいます。

 

頭金を用意できるかできないかによって、金利で100万円近く払わなくて済むかどうかが決まるのです。できる限り多くの頭金を用意してから住宅を購入したほうが、長い目で見れば総支払額が少ないことが分かります

 

もし余裕があるのであれば、月々の返済額を増やして、ローンの返済期間を短くすることも可能です。それによりローン返済総額を減らすことができます

 

また、返済期間が短い場合、金融機関によっては金利が低く抑えられるケースがあります。

頭金の計算

 

家を購入する際の頭金は、不動産売買契約の締結時に支払います。頭金の支払いには、以下のような重要な2つの注意点がありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

 

家を購入するときには、物件代金のほかに諸費用(住宅ローン手数料、登記費用、不動産所得税、仲介手数料など)の支払いが必要となります。諸費用は通常、住宅ローンの借入額には含まれないため、頭金とあわせて現金で用意しておきたい費用です。

 

諸費用は物件価格の3%から10%ほどであることが多いので、頭金とあわせて物件価格の約2、3割の現金を用意しておくと安心です。

 

諸費用の目安

注文住宅・・・物件価格の3〜6%前後

新築一戸建て(建売住宅)・・・物件価格の6〜9%前後

中古一戸建て・・・物件価格の6〜9%前後

新築マンション・・・物件価格の3〜6%前後

中古マンション・・・物件価格の6〜9%前後

 

頭金があくまで物件代金の一部であることに対し、諸費用は物件代金とは別にかかる費用であることにも注意しましょう。

 

不動産を購入する際に頭金をどのくらい入れるのかの決断は、今後の人生における資金計画に大きな影響を及ぼします。人生では結婚、子どもの誕生、進学、自分や家族の入院、親の介護などが予期せぬときにやってくるものです。さらには、突然の出費により現金が必要となることも少なくありません。

 

住宅ローン返済の開始後に、このような事態が発生する可能性も考慮して、頭金の金額を決めることが大切です。

不動産購入

 

住宅ローンの多くでは借入金の用途を物件価格のみに制限していますが、中には諸費用にも利用できる住宅ローンもあります。それは「オーバーローン」と呼ばれており、頭金なしの資金計画でも住宅ローンを組むことが可能です

 

オーバーローンに対応する銀行は増えており、中でもネット銀行での取り扱いが多い傾向です。ここではその一部をご紹介します。

 

【諸費用込みで組める住宅ローンを設定している金融機関の例】

ネット銀行

イオン銀行

auじぶん銀行

楽天銀行(金利選択型)

ジャパンネット銀行

大手銀行

みずほ銀行

三菱UFJ銀行(借り換え時に限る)

※2020年9月16日時点

 

頭金を用意せずに利用できるオーバーローンは、自己資金の少ない人にとって魅力的ではありますが、審査に通りづらくなる、売却しづらくなるといったリスクもあることを覚えておきましょう。オーバーローンを利用する場合は十分な検討が必要です。

住宅ローンの資金計画

 

家(不動産)を購入する際の頭金は、物件代金を住宅ローン以外で支払うお金のことです。住宅ローンを組む場合、頭金を入れたほうが月々の返済負担を減らせるだけでなく、総支払額もぐっと抑えることが可能になります。しかしながら、頭金をたくさん入れ過ぎてしまうと日々の生活資金が不足するといった可能性も出てきますので、住宅購入後の生活もふまえた資金計画を立て、バランスを見ながら頭金の額を決めていくようにしましょう

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