住宅ローンと他のローンは原則一本化できない理由
住宅ローンの低金利は「資金使途がマイホーム取得に限定され、住宅という担保がある」ことで成り立っています。自動車や教育資金など目的の異なる借り入れを混ぜることは原則できません。ただし、金融機関によっては借り換え時に無担保ローンをまとめられる商品も存在します。その仕組みと注意点を整理します。
例外的にまとめやすい「リフォーム費用」と一体型ローンの使い方
中古住宅の購入とリノベーションを同時に行う場合、リフォーム費用を住宅ローンに組み込める「一体型ローン」が使えます。金利面のメリットだけでなく、住宅ローン控除の対象範囲が広がる可能性がある点も含め、利用条件と落とし穴を解説します。
既存ローンがある人が審査前に確認すべき「返済負担率」の考え方
住宅ローン審査では、自動車ローンやカードローンなど既存の借り入れも含めた「総返済負担率」が見られます。既存ローンを残すべきか、完済してから申し込むべきか。後悔しないための判断軸をチェックリスト形式で紹介します。

自動車ローンの返済がまだ残っている。子どもの教育ローンもある。そのうえで住宅ローンを組んだら、毎月の返済が3本立てになってしまう——「いっそ全部、金利の低い住宅ローンにまとめられないだろうか」と考えたことはありませんか。

発想としてはとても自然です。住宅ローンの金利は他のローンに比べて明らかに低く、たとえば変動金利型なら年0.5〜0.6%程度で借りられる商品もある一方、自動車ローンは年2〜4%前後、カードローンになると年10%を超えることも珍しくありません。同じ100万円の借り入れでも、利息負担には大きな差が生まれます。

ただし結論から言えば、住宅ローンと他のローンの一本化は「原則難しいが、例外がある」というのが実情です。そして、この「例外」を知っているかどうかで、住まいの資金計画の選択肢は大きく変わります。この記事では、まとめられる借り入れとまとめられない借り入れの見分け方、そして既存ローンを抱えたまま住宅購入に踏み出すときの判断軸を、順を追って整理していきます。
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一本化の可否を考える前に、そもそもなぜ住宅ローンだけが特別に低金利なのかを押さえておきましょう。理由がわかれば、「まとめられない」ことにも納得がいくはずです。

住宅ローンの金利が低い最大の理由は、購入する住宅そのものに抵当権を設定し、担保とするからです。万一返済が滞っても、金融機関は担保を処分して資金を回収できるため、貸し倒れリスクが小さく、その分金利を低く設定できます。

 

もうひとつの前提が、資金使途が「本人が居住する住宅の取得」に厳格に限定されていることです。生活の基盤である住まいのための借り入れだからこそ、返済の優先順位が高く、延滞率も低い。この2つの前提が揃ってはじめて、低金利と最長35年(商品によっては50年)という長期返済が可能になっています。

 

実際、住宅金融支援機構の調査では、住宅ローン利用者の返済期間は「30年超〜35年以内」が45.8%と最多で、金利タイプは変動型が79.0%を占めています(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2025年4月調査)」)。低金利・長期返済を前提に、多くの人が資金計画を組み立てていることがわかります。

自動車ローン、教育ローン、カードローンは、それぞれ資金使途と担保の考え方が異なる「別の商品」です。住宅ローンの契約で借りたお金を車の返済に充てることは、資金使途違反にあたります。発覚すれば一括返済を求められるおそれもあるため、「住宅ローンを多めに借りて他のローンを返す」といった方法は絶対に避けてください。

 

つまり、新規で住宅ローンを組む際に他の借り入れを混ぜ込むことは、原則としてできない仕組みなのです。

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原則を押さえたうえで、例外を見ていきましょう。実務上、一本化が視野に入るケースは大きく2つあります。

一部の金融機関では、住宅ローンの借り換えと同時に、他の無担保ローン(自動車ローン・教育ローン・カードローンなど)や家具・家電の購入費をまとめて借り入れできる商品を扱っています。すでに住宅ローンを返済中で、別の借り入れも抱えている人にとっては、返済を1本に集約できる選択肢です。

 

ただし、注意すべき点があります。まとめた部分の金利が住宅ローン部分と同一とは限らず、上乗せ金利が適用されたり、借入額に上限が設けられたりするのが一般的です。また、返済期間が延びることで、月々の負担は減っても総返済額はかえって増えるケースがあります。「月々いくら減るか」だけでなく「完済までに総額いくら払うか」を必ず試算してから判断しましょう。

もうひとつの例外が、住宅に関連する費用。つまりリフォーム・リノベーション費用です。中古住宅を購入して自分好みに改修する場合、物件の購入資金とリフォーム費用をひとつの住宅ローンにまとめられる「一体型ローン」を利用できる可能性があります。

 

リフォームローンを単独で組むと、無担保型では金利が住宅ローンより高く、借入可能額も数百万円〜1,000万円程度に抑えられがちです。一体型なら、リフォーム費用部分にも住宅ローン並みの低金利と長期返済が適用されるため、月々の負担を大きく抑えられます。

 

さらに見逃せないのが税制面です。返済期間10年以上などの要件を満たせば住宅ローン控除(年末ローン残高の0.7%を所得税等から控除)の対象となり、一体型でリフォーム費用まで組み込めば、控除対象となる借入残高が広がる可能性があります(出典:国土交通省「住宅ローン減税」)。なお、控除制度は税制改正で要件や借入限度額が見直されるため、実行前に必ず最新の制度内容を確認してください。

 

一体型ローンの注意点は、申し込み時点でリフォーム内容と費用が確定している必要があることです。審査ではリフォーム工事の見積書の提出を求められるため、物件探しとリフォーム会社選びを並行して進めなければなりません。「買ってからゆっくり考える」ではなく、「買う前にリフォーム計画まで固める」のが一体型ローン活用の鉄則です。

 

物件とリフォームの組み合わせをイメージするには、まず中古物件の価格帯を眺めてみるのが近道です。

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ここまでの内容を、借り入れの種類別に整理しておきましょう。

借り入れの種類新規借入時の一本化借り換え時の一本化備考
リフォーム・リノベ費用◯(一体型ローン)◯(借り換え+リフォーム一体型)見積書の事前取得が必須。住宅ローン控除の対象が広がる可能性
自動車ローン×(原則不可)△(おまとめ対応商品なら可)まとめた部分は金利上乗せの場合あり
教育ローン×(原則不可)△(おまとめ対応商品なら可)同上。奨学金は対象外の商品が多い
カードローン・フリーローン×(原則不可)△(商品・審査次第)借入額・件数が多いと審査自体が厳しくなる
諸費用(登記費用・仲介手数料等)◯(諸費用込みローン)金利が本体部分より高く設定される場合あり

◯=一般的に可能/△=対応商品がある金融機関に限る/×=原則不可

「まとめられるかどうか」ばかりに目が行きがちですが、実はその手前に、もっと重要な関門があります。住宅ローンの審査では、既存の借り入れすべてを含めた「総返済負担率」がチェックされるという事実です。

 

返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のこと。ここでいう「年間返済額」には、これから組む住宅ローンだけでなく、自動車ローン、教育ローン、カードローン、スマートフォンの端末分割払いまで含まれます。金融機関ごとに基準は異なりますが、この割合が基準を超えると、希望額を借りられない、あるいは審査に通らないという事態が起こります。

 

つまり、既存ローンを抱えたまま住宅ローンを申し込むと、「まとめられない」どころか「借りられる額が減る」リスクがあるのです。手元資金で完済できる少額のローンなら、申し込み前に清算しておくほうが有利に働くケースは少なくありません。

住宅ローンの申し込み前に、次の5項目を確認しておきましょう。

  • 現在の借り入れをすべて書き出したか(自動車・教育・カード・分割払い・リボ払いまで)
  • 既存ローンを含めた年間返済額が、年収の30〜35%以内に収まっているか
  • 手元資金で完済できる少額ローンはないか(完済して件数を減らすだけでも印象は変わる)
  • リノベ前提の中古購入なら、リフォーム会社と概算見積もりの段取りができているか
  • 「月々の返済額」と「総返済額」の両方でシミュレーションしたか

月々の返済額は、借入額・金利・期間を入れるだけで簡単に試算できます。既存ローンがある人ほど、感覚ではなく数字で確認しておきましょう。

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最後に、一本化を検討するときの判断軸を3つ挙げておきます。

 

第一に、総返済額で比較すること。 一本化で月々の返済が減っても、返済期間が延びれば利息の総額は増えることがあります。おまとめ型商品の提案を受けたら、必ず「現状のまま返した場合」との総額比較を出してもらいましょう。

 

第二に、金利差と残債のバランスを見ること。 残債が少なく完済間近のローンをわざわざ長期の住宅ローンに組み込むと、かえって利息を多く払う結果になりがちです。一本化のメリットが大きいのは「金利が高く、残債が大きく、残り期間が長い」借り入れです。

 

第三に、迷ったら第三者に相談すること。 一本化の可否や条件は金融機関ごとに大きく異なり、自力での比較には限界があります。特定の金融機関に属さない中立的な窓口で、資金計画全体を整理してから動くほうが、結果的に近道になることが多いものです。

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住宅ローンと他のローンの関係を、あらためて整理します。

  • 住宅ローンの低金利は「資金使途の限定+住宅の担保」で成り立っており、目的の異なるローンとの一本化は原則できない
  • 例外は「借り換え時のおまとめ対応商品」と「リフォーム一体型ローン」。特に中古購入+リノベの一体型は、金利・税制の両面でメリットが大きい
  • 既存ローンは一本化以前に審査の「総返済負担率」に影響する。申し込み前の棚卸しと完済判断が資金計画のカギ

「既存のローンがあるから、住宅購入はまだ先」と足踏みしている間にも、物件価格や金利の環境は動いていきます。判断を先送りにすること自体が、選択肢を狭めてしまうこともあるのです。まずは大きな決断をする前の小さな一歩として、今の家計で無理のない価格帯の物件にはどんな選択肢があるのか、眺めてみることから始めてみませんか。

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Q1. 住宅ローンを多めに借りて、余った分で自動車ローンを返済してもいいですか?

A. できません。住宅ローンの資金使途は住宅取得関連に限定されており、他の用途への流用は契約違反です。発覚した場合、残債の一括返済を求められるおそれがあります。既存ローンの整理は、おまとめ対応の借り換え商品など正規の方法で検討しましょう。

 

Q2. カードローンの残債があると、住宅ローン審査には通らないのでしょうか?

A. 残債があるだけで即NGになるわけではありませんが、既存の借り入れは総返済負担率に含めて審査されるため、借入可能額が減ったり審査が厳しくなったりする要因にはなります。少額であれば申し込み前に完済しておくのがおすすめです。延滞履歴がある場合は影響が大きいため、状況を整理してから臨みましょう。

 

Q3. リフォーム一体型ローンは、どんな人に向いていますか?

A. 中古住宅の購入と同時に、まとまった規模のリフォーム・リノベーションを行うことが決まっている人に向いています。リフォーム費用にも住宅ローン並みの低金利・長期返済が適用され、要件を満たせば住宅ローン控除の対象範囲も広がる可能性があります。一方、購入後にゆっくりリフォームを考えたい人には、見積書を事前に用意する必要がある点がハードルになります。

 

Q4. すでに住宅ローンを返済中です。今から他のローンとまとめることはできますか?

A. 住宅ローンの「借り換え」とあわせて、他の無担保ローンをまとめられる商品を扱う金融機関があります。ただし、まとめた部分の金利条件や借入上限は商品ごとに異なり、返済期間の延長で総返済額が増える場合もあります。借り換えメリット(金利差・残債・残り期間)とあわせて、総額ベースで比較検討してください。

 

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更新日: / 公開日:2020.04.28