親からの住宅購入の資金援助と贈与税
2021年度の調査によると、住宅購入時に親から資金援助を受けた世帯は全体の約15%で、新築の場合の平均額は約1,037万円です。多くの人がまとまった資金援助を受けていることが分かります。
詳しくは、「住宅援助資金の平均額と贈与を受けた人の割合」をご覧ください。
住宅資金贈与で使える税金の特例制度
親などから年間110万円を超える資金援助を受けると贈与税がかかります。しかし住宅購入資金の場合、「住宅取得資金贈与の非課税特例」や「相続時精算課税制度」を活用して税負担を軽減できる場合があります。
詳しくは、「贈与税の仕組みと注意点」をご覧ください。
トラブルを防ぐ贈与契約書の重要性
口約束での資金援助は後々のトラブルにつながる可能性があります。贈与の事実を証明し、税務署への説明にも役立つため、親子間であっても贈与契約書をきちんと作成しておくことが大切です。
詳しくは、「贈与を受けるならきちんと契約書をつくろう」をご覧ください。

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住宅を購入するとき、親などから資金援助を受けられるのであれば、住宅ローンなどの資金計画を立てやすくなります。しかし、一定のルールに沿って贈与が行われなければ、かえって税負担が重くなることもあるので注意しましょう。

 

今回は、親から資金援助を受けている人の割合や平均額、そして援助を受ける際にかかる贈与税とはどのようなものかを解説します。また、住宅取得に関する贈与税の控除・特例制度についても紹介します。

 

※なおこの記事は2022年11月時点の情報です。今後変更となる可能性もありますので、最新情報については国税庁のサイトなどをご確認ください。

住宅援助資金の平均額と贈与を受けた人の割合

ここではまず、住宅資金の援助を受けた人の割合や平均額について紹介します。

一般社団法人不動産流通経営協会の2021年度「不動産流通業に関する消費者動向調査」によれば、親からの資金援助を受けた平均額は、新築住宅を購入する場合は1,036.7万円となっています。

 

中古住宅の場合は639.7万円となっており、新築住宅と中古住宅では資金援助額に大きな差があることが分かります。

 

上記で示した金額は親からの贈与のみの集計になっており、祖父母からの贈与の平均額は新築住宅のケースで576.3万円中古住宅のケースでは441.8万円です。

 

住宅を購入するにあたって、まとまった金額の資金援助を受けていることが調査結果から分かります。

同調査によれば、親からの贈与を受けた世帯の割合は、住宅購入者全体のうち14.9となっています。

 

年齢別に見ていくと、贈与を受けている割合が一番高いのが35~39で23.0%です。また、贈与額が1,000万円超の世帯割合は全体で21.0という結果が出ています。

 

親と別居するための住宅購入として援助を受けている場合や、将来同居することを視野に入れた共同出資という形で贈与を受けている世帯もあります。

贈与税の仕組みと注意点

住宅購入時に資金援助をしてもらったとき、その金銭は税務上の「贈与」として扱われます。住宅の援助資金は贈与税の課税対象となるので、あらかじめ税金の仕組みを押さえておきましょう。

贈与税とは、個人から財産を受け取ったときにかかる税金です。また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは借金の肩代わりなどのケースも含まれています。

 

そのため、一定の金額以上を贈与されたときには、申告をしたうえで贈与税を納めなければならないのです。

110万円を超えると申告が必要

一定の金額とは、基礎控除分として110万円と決められており、この金額を超えてしまうと申告が必要となり、税金がかかる仕組みです。

 

基礎控除の範囲を超えなければ贈与税の申告と納付は免除となりますが、110万円以上の贈与を受けた場合は必ず申告を行いましょう。

贈与税の負担があるため、なかなか資金援助を頼めないと感じてしまう人もいるでしょう。

 

一方で、住宅取得に関して贈与税が非課税になる制度もあり、複数の制度を同時に利用できる場合もあるので基本的な仕組みを把握しておきましょう。

 

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特例その1:住宅取得資金贈与の非課税特例

親や祖父母からの資金援助が期待できそうなとき、まず活用したい制度として「住宅取得資金贈与の非課税特例」が挙げられます。この制度を活用すれば、住宅取得の援助金に対する税負担を軽減できます。

この特例は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅の新築・取得や増改築のために資金贈与を受けたとき、非課税枠を利用して負担を抑えられる制度です。

 

2022年1月1日~2023年12月31日までに契約締結を行ったとき、省エネ等住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円までが非課税になります。

 

住宅取得資金贈与の非課税特例を受けるための要件や期限は以下のとおりです。

贈与される人の要件

・贈与を受けるのは贈与者の子どもや孫

・贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること(2022年3月31日以前は20歳以上)

・贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること

取得と居住の期限

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充てて、住宅用の家屋を新築や取得すること

・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、または居住することが確実であると見込まれること

この制度を利用する場合は、納付税額がない場合であっても、翌年2月1日~3月15日までに申告を行う必要があります。そして、特例を利用したとしても、相続時に課税されることはないため安心して利用ができます。

 

また、この特例は「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」というほかの制度とも併用が可能です。

 

暦年課税制度は年間110万円までが非課税で、それ以上の部分については贈与額に応じて課税額が決められます。

 

そして、相続時精算課税制度については以下で詳しく解説しますが、この2つの制度はどちらか片方しか利用できず、両方を使うことはできないので注意しておきましょう。

 

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特例その2:相続時精算課税制度

住宅購入の資金援助をしてもらったときに利用できる制度として「相続時精算課税制度」というものがあります。どのような仕組みなのか、注意点も含めて解説します。

相続時精算課税制度は2,500万円までの贈与」に特別控除が認められる仕組みです。そして、贈与税と相続税の仕組みが一体化した形ともいえるでしょう。

 

この制度の場合、贈与財産の種類や金額、回数に制限はありません。そして、適用されるのは60歳以上の父母や祖父母と、20歳以上の子どもや孫(贈与者の直系卑属)の組み合わせです。

 

仮に贈与額が2,500万円を超えてしまった場合は、超過分について一律20%の贈与税がかかる点に気をつけておきましょう。そして、贈与者が亡くなったときには、贈与された財産分は相続税に加算されます。

 

また、制度を利用するには、定められた期限内に申告を行う必要があります。贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに、贈与税の申告と共に「相続時精算課税選択届出書」を所轄の税務署に提出しましょう。

相続時精算課税制度を利用するときには、気をつけておきたいポイントが3つあります。具体的には次の3つとなるので、それぞれチェックをしておきましょう。

ポイント

1:贈与者が亡くなったときに相続財産に加算される

この制度は、相続時に相続財産に加算されることが特徴です。しかし、相続税の基礎控除内であれば、課税の対象にはなりません。

 

2:変更ができない

贈与を受けるとき、暦年課税制度か相続時精算課税制度のどちらかを選べます。一旦、相続時精算課税制度を選ぶと、暦年課税制度を選べないので注意しましょう。

 

3:「小規模宅地等の特例」が利用できない

この制度を利用した場合、相続が発生したときに「小規模宅地等の特例」が受けられなくなります。小規模宅地等の特例は、一定の条件を満たすことで財産の評価額を最大80%減額できるものですが、適用するためには土地を相続や遺贈で取得している必要があります。贈与は対象外となるため、気をつけておきましょう。

親から援助される金額が大きい場合は、相続時精算課税制度を利用すればその年の贈与税は発生しません。ただし、相続時に精算される点を踏まえたうえで、自分に合った選択を行いましょう。

 

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贈与を受けるならきちんと契約書をつくろう

親や祖父母から住宅購入のための贈与を受ける場合であっても、きちんと契約書をつくっておくことが大事です。

 

契約書を作成しておけば、後からトラブルが起こることを回避できるので、どのような点に気をつけた方がよいかを見ていきましょう。

贈与は口約束でも成立するものですが、きちんと契約書の形で書面に残しておくことで、「贈与が確かに行われたことを証明」できます。

 

贈与者・受贈者の間だけでなく、税務署など対外的な機関に対しても適切な対応ができるようになるでしょう。

贈与に関する契約書の書き方に厳密なルールはありません。ただし、後からのトラブルを回避するために、次の項目を契約書には盛り込んでおきましょう。

契約書に盛り込んでおきたい項目

  • 誰があげるのか(贈与者の名前、住所)
  • 誰にあげるのか(受贈者の名前、住所)
  • いつ渡すのか(贈与契約締結日と実際に贈与する日付)
  • 何を贈与するのか(贈与財産の種目、内容、金額、住所など財産に関わる情報)
  • その方法はどんなものか(贈与方法)

贈与契約書を作成するときには、お互いに保管できるよう2通作成しましょう。契約書は手書きでもパソコンでつくっても問題ありません。

 

注意点としては、実際に贈与を行った事実も一緒に添えておくことが大切だという点です。

 

銀行振り込みをしたり名義変更をしたりする場合は、その事実を証明する書類を契約書と一緒に保管するなどして、どのような形で財産のやりとりが行われたかを記録に残しておきましょう。

親と話す

  • 2021年度「不動産流通業に関する消費者動向調査」によれば、親からの贈与を受けた世帯の割合は全体の14.9%で、新築の場合は平均で約1,037万円の援助を受けている
  • 贈与税とは個人から財産をもらったときにかかる税金であり、年間で110万円の基礎控除がある
  • 住宅資金の場合は、贈与税が非課税になる制度も存在している
  • 住宅取得資金贈与の非課税特例とは、親などから住宅の新築・取得や増改築等のための資金贈与を受けた場合、非課税枠を利用し贈与額の負担を抑えられる制度を指す
  • 相続時精算課税制度とは、相続税と贈与税が一体化した制度であり、非課税ではなく贈与者が亡くなったときに税金としてかかる仕組み
  • 贈与契約書を作成すれば、贈与が確実に行われたと証明でき、後からトラブルが起こるのを避けられる

 

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Q1:親から住宅購入資金の援助を受ける人はどれくらいいますか?

A1:2021年度の調査によると、住宅購入者全体のうち14.9%の世帯が親からの贈与を受けています。新築住宅の場合、平均で約1,037万円の資金援助を受けていることがわかっています。

Q2:親から住宅購入資金を援助してもらった場合、税金はかかりますか?

A2:はい、原則として、個人から財産を受け取った場合は贈与税がかかります。年間110万円の基礎控除があり、この金額を超えると贈与税の申告と納税が必要です。

Q3:住宅購入資金の援助で贈与税を抑える方法はありますか?

A3:はい、住宅購入時には「住宅取得等資金贈与の非課税特例」や「相続時精算課税制度」といった制度を利用することで、贈与税の負担を軽減できる場合があります。これらの制度には要件が定められているため、ご自身の状況に合わせて利用を検討しましょう。

Q4:「住宅取得等資金贈与の非課税特例」とはどのような制度ですか?

A4:父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築・取得や増改築のために資金贈与を受けた際に、一定の金額まで非課税になる制度です。2022年1月1日~2023年12月31日までに契約締結を行った場合、省エネ等住宅は1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円までが非課税になります。この特例を利用する場合は、納付税額がない場合でも翌年2月1日~3月15日までに申告が必要です。

Q5:「相続時精算課税制度」とはどのような制度ですか?

A5:2,500万円までの贈与に特別控除が認められる制度です。贈与時には贈与税がかからず、贈与者が亡くなったときに相続財産に加算され、相続税として精算されます。この制度を選択すると、暦年課税制度は利用できなくなる点や、「小規模宅地等の特例」が適用できなくなる点に注意が必要です。

Q6:親から資金援助を受ける際に、何か書面は必要ですか?

A6:贈与は口約束でも成立しますが、後々のトラブルを防ぎ、税務署などへの証明のためにも「贈与契約書」を作成することをおすすめします。贈与者と受贈者の氏名・住所、贈与する日付、贈与財産の内容や金額などを明記し、2通作成してそれぞれ保管しましょう。

更新日: / 公開日:2019.07.01