夏の電気代は「家のつくり」で差がつく
総務省統計局の家計調査を見ると、電気代は冷暖房を使う季節に大きく膨らみます。そのうえで、マンションか一戸建てか、何階か、窓がどちらを向いているかといった住まいの条件によって、同じ設定温度でもエアコンの効きと消費電力が変わる仕組みを解説します。
今すぐできる節電対策の優先順位
夏の日中の家庭の電力消費は半分以上をエアコンが占めるため、対策は「エアコン→冷蔵庫→待機電力」の順が効率的です。資源エネルギー庁や環境省が公表している年間の節電量・節約額の目安をもとに、効果の大きい行動から順に紹介します。
住み替え・物件選びで見るべき判断軸
遮光フィルムやすだれなどの工夫で削れる金額には限界があり、住まいそのものの断熱性・気密性が電気代の「ベース」を決めます。内見時に確認したい7つのチェックリストと、賃貸・購入それぞれの探し方のヒントをまとめました。

冷房をつけているのに部屋がなかなか冷えず、それでいて電気代の請求額だけはしっかり増えていく。夏になるたびに、そんなもどかしさを感じていませんか。

実は、夏の電気代は「エアコンの使い方」だけで決まるわけではありません。マンションか一戸建てか、部屋が最上階か中住戸か、窓が西を向いているかどうか。こうした「家のつくり」が、エアコンの効きやすさ、つまり電気代のベースラインを大きく左右しています。

この違いを知っておくと、今の住まいでの節電の打ち手が変わるだけでなく、次の住まいを選ぶときの目線も変わります。今日からできる対策と、住み替え時に見るべきポイントの両面から、夏の電気代との付き合い方を整理していきましょう。
無料で住まいの窓口に相談する高気密・高断熱住宅の住宅カタログを探すZEH・Nearly ZEH住宅が得意な会社を探す

まず、一般的な家庭の電気代がどのくらいかを押さえておきましょう。総務省統計局の「家計調査」によると、2025年平均の1ヶ月あたりの電気代は、世帯人数別におおよそ次のとおりです(出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編」)。

世帯人数電気代の月平均(2025年平均)
2人世帯約12,100円
3人世帯約13,900円
4人世帯約13,900円
5人世帯約15,700円

月別に見ると、電気代は暖房を多く使う冬(1〜2月の使用分)が最も高く、次いで冷房がフル稼働する夏(8〜9月の請求分)に山が来る、という二山の形になるのが一般的です。夏は使用した月の翌月に請求が来るため、「9月・10月の請求書を見て驚く」という経験をした人も多いのではないでしょうか。

夏の電気代対策で、まず狙いを定めるべきはエアコンです。経済産業省の「夏季の節電メニュー(ご家庭の皆様)」によると、夏の日中(14時頃)の在宅世帯における電気機器の使用例では、エアコンが58%と過半を占め、冷蔵庫が17%、テレビが5%と続きます(出典:経済産業省「夏季の節電メニュー(ご家庭の皆様)」)。

 

つまり、夏の電気代は「エアコンと冷蔵庫でほぼ決まる」と言ってよく、細かな家電の節約よりも先に、この2つの使い方と住環境を見直すほうが効果的です。とくに気温がピークを迎える13〜16時頃にエアコンがどれだけ効率よく働けるかが、月々の請求額を左右します。

エアコンの消費電力は、設定温度と室温の差、そして「冷やした空気がどれだけ逃げるか」で決まります。断熱性・気密性が低い家では、せっかく冷やした空気が壁や窓からどんどん外へ逃げ、外の熱気が入り込むため、エアコンは常に頑張り続けることになります。

 

窓は住まいの中で最も熱の出入りが大きい場所です。夏の日中は日射とともに大量の熱が窓から入ってくるため、窓の数・大きさ・向き・ガラスの種類(単板か複層か)によって、同じ間取りでも冷房の効きは大きく変わります。つまり、電気代の節約を考えるとき、「暮らし方の工夫」と同じくらい「住まいの器」が重要なのです。

高気密・高断熱住宅が得意な会社を探す ZEH・Nearly ZEH住宅が得意な会社を探す

一般的な傾向として、マンションのほうが一戸建てより夏の冷房効率は高くなりやすいといえます。理由は構造にあります。マンションの中住戸(上下左右を他の住戸に囲まれた部屋)は、外気に直接触れる面が少なく、隣の住戸が「断熱材」のような役割を果たすためです。鉄筋コンクリート造は気密性も高く、冷やした空気が逃げにくい環境が整っています。

 

また、専有面積が一戸建てより小さいことが多く、冷やすべき空間の体積そのものが小さいことも、電気代が抑えられやすい要因のひとつです。

一方、一戸建ては全方位が外気に接しており、窓の数も多いため、熱の出入り口がマンションより多くなります。とくに築年数が古い木造住宅は、現在の省エネ基準を満たす断熱性能を備えていないことも珍しくなく、夏は2階が蒸し風呂のように暑くなる、という悩みがよく聞かれます。

 

ただし、一戸建てだから電気代が高い、と一括りにはできません。近年の新築一戸建てには高気密・高断熱仕様やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の住宅が増えており、断熱等級の高い家であれば、少ないエネルギーで夏も冬も快適に過ごせます。「建物の種別」よりも「断熱・気密の性能」が本質だと捉えるのが正確です。

物件選びで人気の条件が、夏の電気代では不利に働くことがあります。ここは意外と見落とされがちな点です。

  • 最上階:屋上が直射日光で熱せられ、その熱が天井から室内に伝わります。眺望や日当たりと引き換えに、夏の冷房負荷は中住戸より大きくなりがちです。
  • 角部屋:外気に触れる壁と窓が増えるため、開放感がある一方で熱の出入りも増えます。とくに西向きの窓がある角部屋は、午後の西日対策が必須です。
  • 吹き抜け・ロフト:空間が縦につながる間取りは開放的で魅力的ですが、冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまるため、冷房をつけても「人がいる高さ」がなかなか冷えないことがあります。シーリングファンやサーキュレーターで空気を循環させる前提で考えましょう。

これらの条件が悪いわけではありません。大切なのは、メリットと引き換えに冷房負荷が上がる可能性を知ったうえで、対策込みで選ぶことです。

長期優良住宅が得意な会社を探す 長期保証住宅の住宅カタログを探す

環境省は、夏の冷房時の室温の目安として28度を推奨しています。資源エネルギー庁の試算では、冷房の設定温度を27度から28度に1度上げると、年間で約30.24kWh、電力料金目安単価(31円/kWh)で換算して約940円の節約になるとされています(出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」環境省「家庭でできる節電アクション エアコンで節電」)。

 

ただし、これはあくまで室温の目安であり、我慢比べではありません。熱中症のリスクがあるほどの暑さの日は、体調を最優先にしてください。風量は「弱」固定より「自動」のほうが、効率よく設定温度に到達できるため結果的に省エネです。

 

また、短時間の外出のたびにこまめにオンオフを繰り返すのは逆効果になりやすい点にも注意しましょう。エアコンは室温を設定温度まで下げる立ち上がり時に最も電力を使うため、30分程度の外出ならつけたままのほうが効率的な場合が多いのです。

除湿のほうが冷房より安いと思われがちですが、実は除湿には2種類あります。

  • 弱冷房除湿:部屋を軽く冷やしながら湿気を取る方式。消費電力は冷房より少なめ
  • 再熱除湿:湿気を取ったあと、空気を温め直して室温を下げずに戻す方式。温め直す分、消費電力は冷房より大きい

つまり、電気代が安い順に「弱冷房除湿→冷房→再熱除湿」となります。お使いのエアコンの除湿がどちらの方式かを取扱説明書で確認し、蒸し暑い梅雨時は弱冷房除湿、真夏の暑い日は冷房、と使い分けるのが賢い方法です。エアコンの電気代の計算方法や機種選びのコツは、関連記事「エアコンの電気代はいくら?計算方法と今日からできる節約のコツ5選」で詳しく解説しています。

フィルターにほこりが詰まると空気の通りが悪くなり、冷房効率が落ちます。資源エネルギー庁の試算では、フィルターを月に1〜2回清掃した場合、目詰まりしたエアコンと比べて年間約31.95kWh、約990円の節約になるとされています(出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」)。カビ対策にもなるため、2週間に1度を目安に習慣化しましょう。

 

見落としがちなのが室外機です。室外機は室内の熱を屋外へ捨てる装置なので、直射日光で熱せられたり、周囲に物が置かれて風の通り道がふさがれたりすると、放熱効率が落ちて余計な電力を消費します。日陰への設置が難しければ、風通しを妨げない位置にすだれなどで日陰をつくり、吹き出し口の前には物を置かないようにしてください。あわせて、窓からの日差しを遮光カーテンやすだれ、遮熱フィルムでカットすれば、室内に入る熱そのものを減らせます。西日が入る部屋は特に効果を実感しやすいはずです。

省エネ住宅の住宅カタログを探す 自然素材の家の住宅カタログを探す

エアコンの次に手を付けたいのが、24時間365日動き続ける冷蔵庫です。資源エネルギー庁の試算では、次のような節電効果が示されています(出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」環境省「家庭でできる節電アクション 冷蔵庫で節電」)。

冷蔵庫の見直しポイント年間の節電量の目安年間の節約額の目安(31円/kWh換算)
設定を「強」から「中」に変更約61.72kWh約1,910円
詰め込みを半分に減らす約43.84kWh約1,360円
壁から適切な間隔を空けて設置約45.08kWh約1,400円

食品を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、余計な電力を消費します。また、冷蔵庫は側面や背面から放熱しているため、壁にぴったり付けたり、天面に物を積んだりするのは避け、取扱説明書に記載された間隔を空けて設置しましょう。

テレビやレコーダー、給湯器のリモコンなど、使っていない間も電力を消費する「待機電力」は、家庭の消費電力量の約5%を占めるとされています。ただ、使うたびにプラグを抜き差しするのは長続きしません。スイッチ付きの電源タップを使い、テレビまわり・パソコンまわりなど「まとめてオフにできる場所」から仕組み化するのが現実的です。長期の旅行や帰省の前にまとめて切る、という習慣だけでも効果があります。

オール電化住宅の住宅カタログを探す こだわり内装デザインの住宅カタログを探す

ここまで紹介した対策を積み上げると、年間で数千円規模の節約が見込めます。ただ、正直にお伝えすると、暮らし方の工夫だけで削れる金額には限界があります。断熱性の低い住まいでは、どれだけ丁寧にエアコンを使っても「冷気が逃げていく分」を取り返せないからです。

 

だからこそ、引越しや住宅購入というタイミングは、夏の電気代の「ベースライン」そのものを下げられる数少ないチャンスです。次の住まいを検討するときは、家賃や価格だけでなく、毎月の光熱費まで含めた「住居費のトータル」で比較する視点を持ってみてください。

内見や物件情報の確認時に、次の7項目をチェックしてみましょう。当てはまる数が多いほど、夏の冷房負荷が大きくなりやすい住まいだと判断できます。

  1. 窓ガラスが1枚(単板ガラス)で、二重サッシ・複層ガラスではない
  2. 大きな窓が西向きにあり、日差しを遮る庇(ひさし)やバルコニーがない
  3. 最上階、または屋根直下の部屋である
  4. 角部屋・一戸建てなど、外気に接する壁面が多い
  5. 吹き抜けやロフトなど、天井の高い縦長の空間がある
  6. エアコンの室外機が直射日光の当たる場所に置かれている(または設置予定場所が西向き)
  7. 築年数が古く、断熱改修の履歴が確認できない

すべてを満たす完璧な物件を探す必要はありません。「3つ当てはまるから、遮光カーテンとサーキュレーターは最初から用意しておこう」というように、対策とセットで考えるための道具として使ってください。

賃貸で住み替えを考えるなら、鉄筋コンクリート造の中住戸や、窓の向き・階数といった条件で冷房効率は大きく変わります。今の家賃と同じ価格帯でも、構造や向きの違いで夏の快適さが変わることは珍しくありません。まずは、今の住まいを基準に条件を整理しながら、どんな選択肢があるのか眺めてみるのがおすすめです。

▶ LIFULL HOME’Sで今よりぴったりな賃貸物件を見てみる

 

購入や注文住宅を検討しているなら、断熱等級やZEH対応、複層ガラス・樹脂サッシの有無など、建物の省エネ性能が長期的な光熱費を左右します。高気密・高断熱の家づくりにどんな選択肢があるのか、まずはカタログで各社の考え方を見比べてみると、判断の軸がつかめてきます。

▶ LIFULL HOME’Sで高気密・高断熱住宅のカタログを見てみる

夏の電気代は、エアコンの設定温度やフィルター掃除、冷蔵庫の使い方といった今日からできる工夫で確実に減らせます。一方で、その効果の「上限」を決めているのは、断熱性・気密性・窓・部屋の位置といった家のつくりです。

 

今の住まいで工夫を重ねるのはもちろん大切ですが、「毎年夏になると我慢と高い請求のどちらかを選んでいる」という状態を何年も続けると、その差額は静かに積み上がっていきます。もし住み替えや購入が少しでも視野にあるなら、次の夏が来る前に、選択肢だけでも知っておいて損はありません。

 

まずは大きな決断をする必要はなく、今の家賃と同じ価格帯にどんな物件があるのか、希望エリアの相場感はどのくらいなのかを眺めてみる。その小さな一歩だけで十分です。

 

▶ LIFULL HOME’Sで希望エリアの家賃相場を調べてみる

▶ LIFULL HOME’Sで物件を見てみる

Q1. 夏の電気代の平均はいくらくらいですか?

A. 総務省統計局の家計調査(2025年平均)によると、電気代の月平均は2人世帯で約12,100円、4人世帯で約13,900円です。電気代は冬に最も高く、夏は8〜9月の使用分(9〜10月の請求分)に山が来る傾向があります。契約プランや住まいの断熱性能、地域によって差が出るため、平均との比較はあくまで目安と考えてください。

 

Q2. マンションと一戸建てでは、どちらが夏の電気代を抑えやすいですか?

A. 一般的には、上下左右を他の住戸に囲まれたマンションの中住戸のほうが外気の影響を受けにくく、冷房効率が高くなりやすい傾向があります。ただし、高気密・高断熱仕様の一戸建てであれば、マンション以上に少ないエネルギーで快適に過ごせるケースもあります。建物の種別よりも、断熱・気密性能と窓の仕様で判断するのが確実です。

 

Q3. 短時間の外出なら、エアコンはつけっぱなしのほうがお得ですか?

A. エアコンは室温を設定温度まで下げる立ち上がり時に最も電力を消費するため、30分程度の短時間の外出なら、つけたままのほうが効率的な場合が多いといえます。一方、数時間以上の外出では消し たほうが節約になります。外出時間の長さと外気温を目安に使い分けましょう。

 

Q4. 除湿(ドライ)と冷房では、どちらの電気代が安いですか?

A. 除湿の方式によって異なります。弱冷房除湿であれば冷房より消費電力は少なめですが、室温を下げずに湿気だけを取る再熱除湿は、空気を温め直す工程がある分、冷房よりも電気代がかかります。お使いのエアコンの除湿方式を取扱説明書で確認したうえで、状況に応じて使い分けてください。

 

あわせて読みたい関連記事

より詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

更新日: / 公開日:2017.07.24