急な転勤は単身赴任か家族帯同かで選択肢が変わる
持ち家に家族が残る単身赴任か、全員で移動する帯同かで選択肢が分かれます。帯同の場合は赴任期間に応じて売却・賃貸・空き家管理を検討します。
詳しくは、「急な転勤で持ち家はどうする?最初に整理すべき「2つの選択肢」」をご覧ください。
単身赴任でも住宅ローン控除を継続できる場合がある
生計を一にする親族が引き続きその住宅に居住するなど、一定の要件を満たす場合、単身赴任中でも住宅ローン控除が継続適用されます。二重生活コストと会社の手当を確認しましょう。
詳しくは、「家族が持ち家に残り「単身赴任」する場合の注意点と費用」をご覧ください。
無断賃貸はローン規約違反!事前の金融機関相談が必須
住宅ローンを残したまま無断で第三者に賃貸すると契約違反になります。家族帯同で貸し出す際は必ず金融機関に相談し、適切な手続きを行いましょう。
詳しくは、「家族帯同で赴任する場合の持ち家活用術(期間別)」をご覧ください。

物件を探す売却を相談する不動産会社を探す一人暮らしにぴったりな物件を探す

夢がかなってようやく手に入れたマイホーム。ところが急な辞令で転勤が決まってしまったというケースも少なくありません。「買ったばかりのマンションなのにどうしよう」「住宅ローンがまだまだ残っている……」と動転してしまうのも無理はないでしょう。

 

転勤が決まった際、持ち家をどうするかは大きく分けて「家族が残る(単身赴任)」か「全員で移動する(家族帯同)」かの2つの道があります。この記事では、それぞれの選択肢における経済的負担や住宅ローン控除の扱い、赴任期間に応じた賃貸・売却の判断フローを分かりやすく解説します。

突然の転勤内示を受けると混乱してしまいますが、まずは「家族が自宅に残るか」「家族全員で赴任先へ渡るか」という方針を整理することから始めましょう。

 

内示から正式発令までの短期間で最適解を出すためには、以下の2ステップで検討を進めるのがスムーズです。

  1. 会社の就労規定・手当(住宅手当、単身赴任手当、引越し費用)を確認する
  2. 子どもの教育環境やパートナーの就労状況を踏まえ、家族会議でヒアリングを行う

 

転勤者本人のみが赴任先に赴き、家族はそのまま持ち家に残り続ける選択肢です。自宅の生活環境を変えずに済む一方で、二重生活による資金計画の調整が必要になります。

 

家族全員で赴任先に住み替える選択肢です。持ち家が「不在(空き家)」となるため、その自宅を「空き家のまま維持する」「人に貸して賃貸収入を得る」「売却して手放す」という3つの活用方法を検討することになります。

子どもの転校を避けたい場合や、パートナーの仕事の都合がある場合は単身赴任を選ぶ家庭が多く見られます。ここでは単身赴任時の費用と税金面での重要ポイントを解説します。

 

単身赴任を選んだ場合、最大の課題は「持ち家の住宅ローン」と「赴任先の賃貸家賃・光熱費」という二重の生活コストが発生する点です。

 

自己負担額を抑えるためには、会社から支給される「単身赴任手当」や「赴任先の家賃補助(住宅手当)」の支給上限額・適用期間を事前に就業規則で必ず確認しましょう。手当でカバーしきれない場合、月々の家計収支が大幅に圧迫されるリスクがあります。

 

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、原則として「本人が居住していること」が適用条件です。しかし、転勤などのやむを得ない事情による単身赴任であれば、特例が認められています。

 

生計を一にする親族が引き続きその持ち家に住み続ける場合、転勤中も継続して住宅ローン控除を受けることが可能です。

 

一人暮らしにぴったりな物件を探す

 

家族全員で引越しを行う場合、不在となる持ち家をどう扱うべきかは「転勤期間の長さ」によって最適解が異なります。

 

赴任期間が数年程度とあらかじめ決まっている場合、自宅に戻る前提での運用を行います。

 

空き家にしておく(空き家管理)

他人に貸したくない場合に有効ですが、換気や給水を行わないと水回りの劣化が進みます。定期的に巡回管理するか、専門の空き家管理サービスを利用するのが安心です。

 

持ち家を賃貸に出す(定期借家契約)

定期借家契約なら、契約期間満了によって更新されずに契約が終了するため、帰任時期が決まっている場合に適しています。ただし、契約期間が限定されるため、普通借家より借り手が限定される場合があります。

 

赴任期間が5年以上に及ぶ場合や、いつ戻れるか分からない場合は、長期的な資産運用または処分を検討します。

 

持ち家を売却する

住宅ローン残債と物件の査定額を比較します。売却代金で住宅ローンを完済できる「アンダーローン」の状態であれば、資産を整理して将来の住み替え資金に充てることができます。

 

第三者に賃貸する(普通借家契約)

長期的な家賃収入を目的とする場合、「普通借家契約」で貸し出します。ただし普通借家契約では、貸主から更新を拒絶するには正当事由が必要となるため、自分が戻りたい時期に合わせて退去してもらうことが難しい場合があります。

 

住宅ローンは原則として本人が居住する住宅を対象とするため、金融機関に無断で第三者に賃貸し、家賃収入を得る行為は契約違反となる可能性があります。

 

契約違反が判明した場合、金利の引き上げや、最悪の場合は残債の一括返済を求められるケースがあります。家族帯同で赴任し持ち家を貸し出す際は、必ず事前に融資元の金融機関へ相談し、転勤を理由とした賃貸の可否や必要な手続き、ローンの取り扱いを確認しましょう。

 

持ち家の取り扱いで後悔しないために、事前に把握しておくべき代表的な失敗事例と対策を紹介します。

 

「住宅ローン月額10万円に対し、12万円で貸せば毎月2万円の黒字になる」と考えがちですが、これは危険な計算です。

 

賃貸経営には、不動産会社への管理委託手数料(家賃の一定割合など)、固定資産税、マンションの管理費・修繕積立金、借主入居時のリフォーム・修繕費などがかかります。これらを見落とすと、家賃収入を得ていても実質的に持ち出し(赤字)になるケースがあります。

 

新築直後に売却しようとすると、購入時の諸費用分などが差し引かれ、売却予想価格が住宅ローン残債を下回る「オーバーローン」に陥ることがあります。

 

オーバーローンの場合、不足分を自己資金などで補填してローンを完済するなど、抵当権を抹消できる状態にする必要があります。まずは複数の不動産会社へ査定を依頼し、現実的な売却可能額を把握することが不可欠です。

 

売却を相談する不動産会社を探す

急な転勤が決まった際、持ち家をどうするかは「家族の生活を守ること」と「経済的負担を最小限に抑えること」の両立がカギとなります。

 

単身赴任

住宅ローン控除は継続可能。会社の手当と二重生活コストのバランスを確認する

 

短期帯同

自宅に戻る予定なら「定期借家」または「空き家管理」を検討する

 

長期帯同

ローンの残債を確認したうえで「売却」か「普通借家」を選択する

 

いずれを選択するにしても、金融機関や専門の不動産会社へ早めに相談し、ルールに沿った正しく無駄のない手続きを進めましょう。

 

物件を探す

Q.1 マイホーム購入直後に転勤が決まった場合、すぐに売っても問題ないですか?

A.1 売却自体は可能ですが、売却にかかる諸費用などを考慮すると、売却代金だけでは住宅ローンを完済できない状態になることがあります。売却代金でローンを完済できない場合、不足分を現金で補填する必要があるため、事前に複数の不動産会社へ売却査定を依頼して自己資金の用意が必要か確認しましょう。

Q.2 家族全員で転勤先へ引っ越す場合、住宅ローン控除はどうなりますか?

A.2 家族全員が転勤先へ移り、自宅に誰も住まなくなる場合、その期間は原則として住宅ローン控除を受けられません。ただし、転勤などのやむを得ない事情による転居で、一定の要件を満たして再びその自宅に居住した場合は、残りの控除期間について住宅ローン控除を再適用できる場合があります。 転居前や再入居時に必要な手続きがあるため、詳しくは税務署などに確認しましょう。

Q.3 転勤中に家を貸し出す場合、住宅ローンはそのままで大丈夫ですか?

A.3 そのままでは規約違反になるリスクがあります。住宅ローンは本人が住むためのローンであるため、無断で賃貸に出すと一括返済を求められるケースがあります。必ず事前に金融機関へ転勤の旨を相談し、条件の変更や指定のローンへの切り替えを行いましょう。

Q.4 定期借家契約と普通借家契約の決定的な違いは何ですか?

A.4 契約期間満了時の「更新の有無」が大きな違いです。定期借家契約は、あらかじめ定めた契約期間が満了すると、原則として更新されずに契約が終了します。そのため、転勤期間が決まっていて、帰任後に自宅へ戻る予定がある場合に適しています。一方、普通借家契約では、貸主から契約更新を拒絶するには原則として正当事由が必要となるため、貸主の都合だけで契約を終了させることは困難です。

Q.5 空き家のまま放置しておくとどんなリスクがありますか?

A.5 人が住まない家は、換気不足によるカビの発生や配管の乾燥による悪臭・害虫の侵入など急速に老朽化が進みます。また、防災面やセキュリティ面での不具合も生じるため、定期的に親族が掃除に行くか、専門の空き家管理サービスを活用することが推奨されます。

更新日: / 公開日:2019.03.12