- 表札の文化と現代の変化
- 表札は郵便配達のために大正時代から普及した日本特有の文化です。しかし、近年はプライバシー保護の意識の高まりから、表札を出さない家庭も増えています。
詳しくは、「表札が普及しだしたのは大正から」をご覧ください。 - 表札を出すことの利点とは
- 表札を出すと、郵便物の誤配を防げるだけでなく、近所付き合いのきっかけにもなります。また、自分の家という愛着が湧き、災害時には安否確認をしてもらいやすくなるなどの利点があります。
詳しくは、「表札を出すメリット」をご覧ください。 - 表札を出す際の注意点
- 表札によって名前や家族構成が不特定多数の人に知られてしまう可能性があります。訪問販売やストーカー被害などのリスクも考えられるため、特に女性の一人暮らしでは注意が必要です。
詳しくは、「表札を出すデメリット」をご覧ください。
一昔前まで、一戸建てであっても集合住宅であっても、部屋の表札はあって当たり前でしたが、最近では表札を出していない住宅もちらほら目にするようになりました。
プライバシー保護が浸透してきた今、名前を不特定多数の人に見られるのが不安という考え方も増えてきているようです。
しかし、本当に表札を出さないことが防犯につながるのでしょうか。今回は、表札の必要性について考えます。
表札が普及しだしたのは大正から

表札とは、住居の玄関や門に居住者の姓名(主に名字)を目印として掲げる札のことです。
大正12年頃から、郵便物を「住所」に届けるというよりも、「宛名の個人」を重視して配達するようになってきたことで、表札が普及しだしたと言われています。
その後、郵便配達の際、配達先を間違えにくいなどの理由から表札が広まっていきました。
しかし、アメリカやイギリスなどの他国では、プライバシーの観点から表札を出すという文化はなく、日本特有の風習だそうです。
現在は以前よりマンションも増え、部屋番号があれば郵便物は届くため、表札がないと郵便物が誤配されるという心配は少なくなってきました。
むしろ最近では郵便物の心配よりも、表札を出すことによって犯罪にまきこまれるのでは?という不安を、漠然と感じている人の方が多いかもしれません。

マンションの管理組合などでつくる研究会が600棟近くのマンションで調査したところ、玄関に表札を出していないという部屋が「半数程度かそれ以上ある」と答えたマンションが40%近くあることが明らかになりました(※)。
しかし実際のところ、一戸建てはもちろん、マンションでも表札を出している住宅はまだ多く存在します。
そこで、次からは表札を出すメリットについて触れていきます。
表札を出すメリット
表札を出すメリットには、以下のようなことが挙げられます。
・自分の家という実感がもてる
・表札が良好なコミュニティのきっかけになる
・郵便物や新聞が間違われにくい
・災害時の援護を受けやすくなる
表札を出す派の人にとっては、表札があることで自分の家だと実感できることがメリットの一つです。特に持ち家の場合、住宅ローンを組んでまで購入した「自分の資産」という意識が賃貸よりも高くなるのは当然でしょう。
また、表札は地域のコミュニティにも役立っているようです。特に引越してきて間もない時期は、表札によって名前を覚えてもらいやすくなるため、近隣住民とのコミュニケーションを円滑に運ぶきっかけになるでしょう。
逆に表札が出ていないと、周囲の人たちは困惑したり、不安な感情を持ったりする場合があります。表札がないことで、近所付き合いをしたくないのでは?と捉えられる可能性もあることを理解しておくことが大事です。

コミュニティをそれほど必要としていない単身や仮住まいの人も、名字だけの表札でも出すことによって、誤配や前住人の郵便物が届くといったトラブルを防げます。
集合ポストなどでも名前を出していないと、隣人のポストに間違えて届いていることも。隣人が気づいて入れ直してくれたらいいですが、そのまま放置されてしまった場合、重要なお知らせも手元に届かないままになってしまいます。
ハガキやDMなどは簡単に内容を見ることができるため、自分の趣味嗜好や買い物の品目まで他人に知られてしまうリスクもあるでしょう。このような場合は、逆に表札を出す方がプライバシーを守ることにつながります。
さらに、表札によって地域コニュニティが円滑になると、万が一の災害時にも自分の存在を認識してもらえ、救護を受けやすくなります。
犯罪にまきこまれるという不安もわかりますが、表札がないことで地域の防災が手薄になってしまうという点も懸念すべきです。
「誰が住んでいるのか名前が分からない」「名前が分からないから声がかけられない」などの理由で、災害時の救護が遅れるなどの恐れも考えられます。

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表札を出すデメリット
つづいて、表札を出すことによるデメリットを挙げていきます。
・わずらわしい訪問営業が来ることがある
・不特定多数の人に名前が知られてしまう
・家族全員の名前を載せると性別や家族構成まで分かってしまう
表札を出すことでやはり心配なのが、個人情報を第三者に知られてしまうことです。配達や知人を装った犯罪が全く起こらないとは言えません。
女性の一人暮らしの場合はストーカー被害などにも注意しましょう。この場合、表札を出さないことで、個人を特定した不審者やセールスなどは来にくくなるはずです。
玄関扉が周囲に丸分かりで、治安にも不安がある場合は、周囲の住民が出していないから自分も合わせて出していないというケースもあるでしょう。何よりもプライバシーを重視する傾向の人は、表札を出さない選択をしているようです。
表札を出さないから安心とはいえない
最近では、見ず知らずの人に名前を知られたくないと感じる人も多いようです。確かに表札を出さない方がトラブルを回避できるという面もありますが、本来、表札を出さないことと防犯は切り離して考えるべきでしょう。
表札を出すことは強制ではないため、どちらにするのかは個人の考え次第ですが、今後も同じ住まいで長く暮らすのであれば、表札を出した方が地域のコミュニティを築きやすいでしょう。

名前を出すことに抵抗を感じるのであれば、他人が見て分かりにくい表記でも構いません。
たとえば個人が特定しやすい珍しい名字の場合は、ローマ字表記にしてパッと見で分からないようにする、難しく読みにくい名字はあえてそのままで表記するなど、推測しにくいようにするといいでしょう。
・表札は日本特有の習慣で、大正時代から主流になったが、最近ではプライバシーを重視して掲げない家庭も増えてきた
・表札を出すことは郵便物の誤配が減るだけでなく、地域間のコミュニティが円滑になったり、自分の家に愛着を持てたりするなどのメリットがある
・表札を出すことで個人情報が漏れやすく、不審者やセールスなどに目をつけられる可能性があるというデメリットも考えられる
よくある質問
Q.1:最近、表札を出さない家が増えているのはなぜですか?
A.1:プライバシーへの意識の高まりから、不特定多数の人に名前を知られることに不安を感じる人が増えたためです。特に、犯罪に巻き込まれるリスクを懸念するケースが多いようです。
Q.2:表札を出すメリットを教えてください。
A.2:表札を出すことには、主に以下の4つのメリットがあります。
・自分の家という愛着が湧きやすい
・ご近所付き合いのきっかけになる
・郵便物などが誤って配達されるのを防げる
・災害時に居住者として認識され、救助を受けやすくなる
Q.3:表札を出すことのデメリットは何ですか?
A.3:デメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
・訪問販売などの営業が増える可能性がある
・不特定多数の人に名前を知られてしまう
・家族構成などを推測されるおそれがある
Q.4:女性の一人暮らしの場合、防犯上、表札は出さない方が安全ですか?
A.4:表札を出さないことで、個人を狙った不審者やセールスが来にくくなる側面はあります。玄関が外から見えやすいなど、住まいの環境や地域の治安に不安がある場合は、プライバシーを優先して表札を出さないという選択も有効です。
Q.5:表札がないと、ご近所付き合いに影響しますか?
A.5:はい。表札がないことで、近所の方に「お付き合いをしたくないのかな」という印象を与えてしまう可能性があります。特に引っ越したばかりのときは、名前を覚えてもらうきっかけにもなるため、円滑なコミュニケーションに役立ちます。
Q.6:表札がないと郵便物は届きにくくなりますか?
A.6:マンションのように部屋番号が明確であれば、表札がなくても郵便物は届きます。しかし、集合ポストなどで名前の表示がないと、誤配達の可能性は高まります。その結果、重要な書類が他人の手に渡り、個人情報が知られてしまうリスクも考えられます。
Q.7:防犯面は心配ですが、ご近所付き合いも考えると表札を出すべきか悩みます。何か良い方法はありますか?
A.7:名前を出すことに抵抗がある場合は、表記を工夫することをおすすめします。例えば、珍しい名字ならローマ字で表記したり、読みにくい漢字の名字はあえてそのまま使ったりすることで、一目で個人を特定されにくくできます。
Q.8:結局、防犯のためには表札はない方がよいのでしょうか?
A.8:一概に「表札がない方が安全」とは言えません。家の防犯対策と表札の有無は、分けて考えるのが基本です。表札がないことで、かえって災害時の救助が遅れるといった別のリスクが生まれる可能性も考慮しましょう。
Q.9:なぜ日本では、家に表札を出す習慣があるのですか?
A.9:日本では大正時代頃から、郵便物をより正確に届けるために表札が普及したといわれています。これは欧米にはない、日本特有の習慣です。
更新日: / 公開日:2018.09.27










