住まい探しをして気に入った物件があるけれど、築年数が気になってイマイチ決めきれない、という方は多いのではないでしょうか。1981(昭和56)年5月31日までに建築確認がされた物件は、それまでに定められていた耐震基準に則って建てられた建物で『旧耐震基準』と呼ばれ、一部では敬遠する人もいるようです。
一方で、『ホームインスペクション(住宅診断)』などの構造チェックを行って安全性を確認しながら、旧耐震基準の建物を活用していく動きもあります。
今回は、「築年数は気にしなかった」という築45年のマンションを購入したAさんに話を聞きました。
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Aさん(46歳)の物件プロフィール
家族構成:ご夫妻、娘2人の4人暮らし(話を聞いたのは奥様)
エリア:東京都世田谷区
最寄駅の駅徒歩:15分
物件種別:中古マンション
間取り:2LDK(50m2)
購入金額:3,000万円
住宅ローン:ローン無し・一括購入
世帯年収:900万円

Aさんインタビューの様子
持ち家一戸建てから引越したい
世田谷区砧エリアの一戸建てで暮らしていたAさんご家族。次女が中学校に入学し、家族全員が通勤・通学のために駅まで自転車で20分かけて通う生活になったそうです。
「一戸建ての持ち家だったので引越しは考えていなかったのですが、通勤・通学に使う駅まで自転車で20分かかっていました。中学校に入学した次女も同じ駅を利用することになって、家族全員が20分かけて駅まで自転車で行くことになりストレスを感じて、引越すことにしました。その頃住んでいた一戸建てを売りに出したら、早いタイミングで売れたんです。住まいを買い換えたいというより、通勤・通学のストレスを減らすための引越しだった」
Aさんは一戸建てを売却して、いったん賃貸物件に暮らしながら、マンション探しをはじめました。

自転車で通勤通学
“リノベーション済み”が絶対条件だった
住まいの条件を、家族が通勤・通学しやすい東急東横線沿線に絞ったAさんは、中古マンション探しをはじめます。
「一戸建てを売却した価格の範囲内でマンションを購入したかったので、東横線沿線で新築マンションを買うのは予算的に無理でした。インターネットで中古マンションに絞って検索をして、30物件以上見学しました。最初は、リノベーションやリフォームをしていない中古マンションも見ていたのですが、こんな汚い状態の部屋を見たら、どれだけキレイになると言われても買えないと思うくらいに汚くて、見るのが辛くなってきました。そこから、リフォームかリノベーション済みの中古マンションに絞って見学するようにしました」
「リフォームかリノベーションかということにこだわりはありませんでしたが、水回りの設備だけなど部分的に改修しているリフォームよりも、部屋全体を間取り変更も含めて改修しているリノベーションのほうがきれいだと感じました。サイトを見ていると、“リノベーション済み”というマンションのほうが物件数が多かったので、“リノベーション済み”という項目にチェックを付けて探しました」
「中古物件を購入して、好みの空間にリノベーションをするという選択肢があることは知っていましたが、割高になるイメージがあったのと、リノベーションを依頼できる会社が少ないように感じました。おしゃれな空間になると思うけれど、リノベーションをしている時間が無かったし、リノベーションした後を見て購入したかったので、“リノベーション済み”は絶対条件でした」

“リノベーション済み”が絶対条件
長いあいだ売れていない物件には、それなりの理由がある
「ただ、部屋はリノベーションでキレイになっていても、エントランスや階段、駐輪場などの共用部を見ると、見ていて悲しくなるマンションばかりでした。“駐輪場には暮らしている人のモラルが出る”と言われますが、それは本当だなと思いました。自転車が散乱していたり、チラシや落ち葉が溜まったままになっていたりするマンションは、ピンとこなくて。マンションを見学するほど目も肥えてきて、売れないマンションには、それなりの理由があるのだなと分かってきたんです」

中古マンションは共有部が大事
諦めた頃に出会った「運命のマンション」
30物件以上を見学しても、希望のマンションに出会えなかったAさんご家族。見学するマンションが無くなり、購入を諦めて賃貸で住み続けることにしたそうです。
「もともと通勤・通学のストレスを減らすための物件探しだったので、エリアの変更は考えられなかったし、一戸建てを売却した金額の範囲内に条件を絞ると、見学するマンションが無くなったんです。マンション購入を諦めて、そのまま賃貸で住み続けることにしました」
「サイトでの物件探しもやめて3ヶ月くらい経った時に、たまたま出てきたバナー広告の画像を見て、“このマンション良いかも”と思ったんです。すぐに、不動産会社に見学をしたいと連絡しました。ちょうど、あと2〜3日で年末年始休暇に入るタイミングだったので、年内に見学したいと伝えてすぐに見学に行きました。その後はもう、ぽんぽんと決まって、今のマンションに引越していた、という感じです」
旧耐震基準のマンションの購入を決めた理由は?
最終的にAさんご家族が決めたのは、東急東横線沿線の築45年のリノベーション済みマンションでした。一般的に敬遠されがちな旧耐震基準のマンションですが、Aさんご家族は気にしなかったそうです。
「築年数は気にしませんでした。築年数よりも優先させたい条件が多かったんです。駅から歩いて15分以内で、大通りに面していない洗濯物が外に干せる環境にあること、娘二人なので、家までの夜道が暗すぎないことも条件でした」
「インターネットで中古マンションを探すと、築30年以上の物件はひとつのチェック項目になっていたのも大きかったです。築30年でも45年もひとまとめにされているので、気にする余地がないんです。マンションを探しはじめた頃は、古いマンションにした場合、住みはじめて5年くらいで取り壊されたら困ると思って抵抗がありました。でも、不動産会社の担当者が、日本のマンションの歴史は浅くて、戦後に建てられたマンションで50年以上前から建っている物件の例があまりないので、あと何年建ち続けるのかは分からないとはっきり言ってくれたんです」
「それからは、築年数を気にしすぎずに構造とメンテナンス・管理状況を確認して納得できればいいと考えはじめました。娘達が独立して夫婦二人になったら違うエリアに住んでもいいと考えて、あと15年くらい住めれば良いかなという考えに切り替えました」
「旧耐震のマンションを買うことについては、私たちよりも周りの人たちのほうが心配していました。インスペクション(住宅診断)はしなかったのですが、事前に鉄骨や躯体の状況について調査されていたので、その資料を見て大丈夫だと判断しました。他にも、いつどんな大規模改修をしたかを記録している資料や、総会の議事録も見せてもらって、マンションの状況を確認しました」

マンションの状況を事前に確認
築年数よりも「管理状態」を重視したマンション選び
最終的にAさんご家族の購入の決め手になったのは、築年数や耐震基準よりも管理状態だったようです。
「引越したマンションは管理会社ではなく、住民で自主管理をしています。実際に自主管理のマンションに暮らしてみて分かったのは、自主管理でも“当たり”のマンションを選んだということです。他のマンションのことをいろいろ聞いていると、管理費の使い込みがあったり、気の利かない管理会社で共用施設が荒れたりするマンションも多いと聞きました。私たちが入居しているマンションは、住人の中でも何人かが好意で管理をしてくださっていて、自主管理が難しくなったら管理会社に委託しようという議論がされています。購入した時が10年に一度の大規模修繕が終わったタイミングで、外壁の修繕と水道管の交換をしていたのも購入の決め手になりました」
いろんな中古マンションを見学し、不動産会社から話を聞くうちに、Aさんは中古マンションで大切なことは管理状態だということに気がついたそうです。
「大規模修繕が終わっていることが決め手になったのは、築年数の経ったマンションの場合は修繕費・管理費を滞納している人がいる可能性があると聞いたからです。築45年でも大規模修繕が終わっているということは、滞納者が少ないのだなと思ったんです。滞納者が多いと、エントランスや駐輪場などの共用施設の管理が行き届かなくなって治安が悪くなって、マンションの価値が下がる。管理状態を確認することで、様々なことが分かるのを知ってから、滞納者数や修繕状況をチェックするようになりました」

住民で自主管理
不動産会社担当者との相性が大切
いったんはマンション購入を諦めながらも、最終的には家族で快適に暮らせる中古マンションを購入したAさんご家族。物件探しを振り返ってみて、不動産会社の担当者との相性が大切だと感じたそうです。
「不動産会社は、3社で比較検討をしました。マンションを探しはじめた頃はもっと多くの会社で検討していたのですが、担当者で物件までの道が分からない人がいたり、提案が曖昧だったりして、3社に絞り込みをしました。不動産会社のエリア担当と言っても、ずっとそのエリアを担当していてその街の不動産の状況を把握している人もいれば、異動したばかりで街のことを知らない人もいると分かりました。大きな買い物なので、安心して任せられる担当者に出会うことが大切だと思います」
「探しているときは1日に何件も内見に行くので、お昼ごはんを一緒に食べたりするんです。最終的にお願いをした不動産会社の担当者とは、プライベートな話もよくしました。担当者の彼女の話を聞いて相談に乗ったりして(笑)、本当にデートみたいに頻繁に会ってプライベートなことも話すので、気の合う人を住まい探しのパートナーに選ぶと良いと思います」
「引越す前は、さすがに築45年なので古さを感じるのかなと思ったのですが、本当に驚くほど古さを感じていません。共用部は本当にきれいに掃除されているし、虫も出ません。今は、家族みんなで不便もなく快適に暮らしています」

不動産会社担当者との相性が大切
更新日: / 公開日:2018.02.23








