「住生活基本計画」とは、2006年に施行された国の住宅政策の基軸となるものです。10年ごとに改定されますが、社会情勢の変化、政策の効果などを踏まえて5年ごとに見直されます。1年議論の末、2016年3月18日にようやく新計画が閣議決定されました。
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昨今の国内では、少子高齢化の進展、東日本大震災の発生、長引く景気低迷などにより、住宅総数が世帯数を上回る「空き家問題」が深刻化しています。新たな住生活基本計画では、少子高齢化による人口減少の対策として、空き家対策や中古住宅の有効活用が課題として挙げられているのが特長です。このまま政策をとらずにいると、2025年には空き家が約500万戸になると推定されています。
そのため、空き家の増加ペースを100万戸抑えた400万戸程度までに留めるという指標目標が、2016年の新計画で初めて打ち出されました。

 

人口減少が進行する中、新築住宅の建設が進むことで更なる空き家の増加につながっているのも現状です。そこで、2013年には7兆円だったリフォームの市場規模を約12兆円まで増額することで、既存住宅流通の促進を図ることとなりました。
今回は、2016年に閣議決定された住生活基本計画から見えてくる、不動産売買への影響について考えられることをまとめました。

 

2016年に閣議決定された「住生活基本計画」とは?

2016年に閣議決定された「住生活基本計画」とは?

住生活基本計画の新たな住宅政策の方向性では、「居住者」「住宅ストック」「産業・地域」の3つのポイントと、8つの目標が設定されています。

ポイント1〈居住者が安心に暮らせるための住生活の実現〉

  • 子育て世代や若い世代に向けて、快適に過ごせる住環境をつくり出生率の向上を目指す
  • 住宅のバリアフリー化や医療機関との連携など、高齢者が自立した住生活を送れるようにする
  • 住宅の確保に配慮を要する者を対象に、民間賃貸住宅を活用するなど安定した居住環境の確保

ポイント2〈住宅ストックの有効活用〉

  • 住宅購入がゴールという認識をなくし、新たな住宅循環システムを構築させる
  • 建替えやリフォームによる質の高い住宅ストックを増やす
  • 急増する空き家を活用、除却を推進することによって、将来的に空き家の発生を抑制する

ポイント3〈産業、地域の活性化〉

  • 中古住宅の流通やリフォーム市場の拡大など、住宅産業ビジネスを成長させる
  • 地域の特性に応じて住宅地の魅力を向上させ、ずっと住み続けたい街づくりを行う

2016年以降からは新築物件や格安物件よりも、リフォームやサービス内容の充実といった質の高い中古に注目が集まりそうです。売主にとってはメンテナンスによるコストや手間が増加しますが、資産を負債にしないためにも常に様々なアンテナを張っておくことが必要かもしれません。

 

質の高い中古に注目が集まる

質の高い中古に注目が集まる

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新たな住生活基本計画が閣議決定された2016年以降は、不動産売買の現場でも国の政策に沿って変化することが求められます。
これから25年後、日本は人口減少、高齢化社会突入、空き家増加といった問題が更に加速するといわれています。そうなると自然と世の流れはフロー経済からストック経済へという流れになり、不動産業界でも「新築一択から中古へ」という動きが見られるでしょう。

 

中古物件の購入・売却をスムーズに進めるには、中古物件でも新築物件同様か、それ以上に価値があると思わせることが重要です。
しかし中古と聞くと、一度誰かが住んでいた家ということもあり、古びたイメージを持つ方も少なくありません。そのイメージ脱却のために売主側は、新築物件に引けを取らない購入後の保証や、アフターフォローの充実を中古物件にも付帯させることが求められるでしょう。住生活基本計画のポイント3でも掲げられている「リフォーム市場の拡大」に伴い、不動産関連事業者等とリフォーム会社との提携による新しいサービスの展開が期待されます。

 

リフォーム市場の拡大が進むでしょう

リフォーム市場の拡大が進むでしょう

住生活基本計画では買主側が感じる物件購入後の不安解消に向けて、「既存住宅瑕疵保険」の加入が2025年までには約20%まで増える想定を打ち出しています。既存住宅瑕疵保険とは、物件購入後に万が一雨漏りや欠陥などが見つかった場合に、保険でまかなうことができるというもので売主が利用する保険です。競合他社との差別化を図ることができる点では、買主だけでなく売主である宅建業者にとってもメリットがあるといえます。

 

また、住生活基本計画の新たな住宅政策では高齢者、子育て世代といった世代別の目標が初めて設定されています。入居対象者となる世代や年齢の住まい方を想定することが不動産売買においても必要になります。たとえば、家族人数に合った広さや間取り、高齢者向けの設備やバリアフリー化など、それぞれの世代に合わせた住宅ニーズに対応していくことが求められるでしょう。

 

「既存住宅瑕疵保険」の有効活用を

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更新日: / 公開日:2016.08.13