土地や建物の売買や相続、財産分与の際には、名義変更をする必要があります。名義変更をしなければ不動産の所得者を特定できず、その不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりもできません。

また、名義変更をすることで税金の額にも影響が及びます。今回は、初めて不動産の名義変更をする方に向けて、不動産の名義変更のやり方や、変更にまつわる税金への影響について解説します。

 

名義変更をするケースには、土地や建物を売買する場合のほかに、親族から土地または建物を相続した場合、財産分与としてそれらを受け取る場合があります。それぞれのケースによって手続き方法が異なり、必要な書類も変わってきます。

 

名義変更をすぐに行わないと、必要書類の保管期限が切れ、手続き時に書類が揃わなくなる可能性があり、別途手続きをするための費用が上乗せされてしまうこともあります。

 

また、名義変更をしていなければ、相続した土地などを売却したり、それを担保に融資を受けたりもできません。よって、持ち家の名義変更をする際は、なるべく早く手続きを進めるほうがいいでしょう。

 

名義変更には、司法書士に依頼するか、自身で行うかの2つの選択肢があります。

 

必ずしも司法書士に依頼しなければいけないわけではありませんが、手続きの内容によっては複雑で、自分で行うのが難しいと感じることがあります。内容や手続きに関する知識があれば、そのまま自身で手続きを進めるのもいいですが、時間と労力がかかることを認識しておきましょう。

 

一方、手続きが難しく1人で行うのは困難という方は、確実性を求めて司法書士に依頼しても大丈夫です。ただし、司法書士に依頼する際には費用がかかるため、時間や手間、お金と照らし合わせ、どのように進めるか考えましょう。

 

不動産の名義変更の方法は、名義変更をするケースによって異なります。

 

不動産売買の場合は、売主と買主それぞれが用意しなければいけないものがあります。

 

売主は、3ヶ月以内に取得した印鑑証明書、不動産を取得した際に発行された登記済権利証または登記識別情報通知、固定資産税評価証明書、住民票、運転免許証など顔写真付きの本人確認書類が必要となります。また、司法書士など代理人に手続きを依頼する場合は、実印を押した委任状も必要です。

 

買主は住民票、印鑑証明書、顔写真付きの本人確認書類の3点が必要となります。運転免許証以外はいずれも役所にて発行可能です。

 

<手続きの流れ>

 

売買契約が成立したら、買主を確定するために戸籍、住民票などの書類を取得し、不動産の名義変更の申請書類を作成します。

 

売主を確定するために“登記簿謄本”を取得し、物件の引き渡しと売買代金の支払いが完了したら、管轄先である法務局へ申請をすれば完了です。

 

遺産相続の場合、被相続人は事前に出生から死亡までの連続した経緯が分かる戸籍謄本・除籍謄本と最後の住所地が記載されている住民票の除票、または戸籍の附票を用意しておく必要があります。

 

一方、相続人は、法定相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、不動産を取得する相続人の住民票、固定資産税の納税通知書に添付されている評価証明書、法務局で申請可能な登記事項証明書が必要となります。登記事項証明書のほかは、役所にて発行可能です。

 

<手続きの流れ>

 

不動産に関する情報を集めたあと、相続人の戸籍と住民票などの書類を取得し、固定資産税の評価証明書を取得したのちに相続登記申請書類が作成されます。相続登記を管轄する法務局へ申請し、登記の完了を確認したら終了です。

 

生前贈与の場合は、被相続人と相続人の間で不動産贈与契約書を作成する必要があるので注意しましょう。

 

売買や遺産相続に続き多いケースが、財産分与による名義変更です。

 

協議離婚か裁判離婚かにより用意するものが異なり、贈与側は協議離婚の場合、印鑑証明書、不動産の登記済権利証、または登記識別情報通知、固定資産税評価証明書、住民票、離婚した日の確認に必要となる離婚の記載のある戸籍謄本が必要となり、譲り受ける側は住民票が必要となります。

 

<手続きの流れ>

 

夫婦間で財産の分け方を話し合い、合意のもと行います。元の名義人を確定するために登記簿謄本を取得し、新しい名義人を確定するために戸籍謄本、住民票などの書類を取得したのち、用意した書類から不動産の名義変更の申請書類を作成し、法務局へ申請します。

 

ただし、財産分与を請求できる期間は離婚後2年以内と決められているので注意しましょう。

 

土地や住宅の名義変更は、税金面にも大きな影響をもたらします。

 

登録免許税とは法務局に登録申請をする際に発生する税金のことです。税額は不動産の評価額に一定の率をかけて計算します。相続の場合は0.4%を、財産分与の場合と贈与登記の場合は2%をかけた金額が登録免許税となります。

 

なお、住所変更の登記や住宅ローンが残っている場合には、抵当権の抹消登記の申請をするため、不動産1物件につき1,000円の登録免許税が必要となります。しかし、居住用の不動産として一定の要件を満たす場合、0.1%に軽減される措置があります。

 

年間で基礎控除である110万円を超える贈与を受けた場合に、贈与税を納める義務が生じます。贈与税は、離婚での財産分与ではかからないのが原則ですが、分与された財産の額が妥当な金額を超えている場合は課税されるので注意が必要です。

 

固定資産税評価証明書に記載のある不動産の価格には、固定資産税評価額に一定率をかけた不動産取得税が課せられます。

 

標準税率は原則4%とされていますが、特例として2021年3月31日までに取得した土地は3%、建物は住宅なら3%、住宅以外は4%となっています。

 

不動産取得税は、夫婦財産を目的とした場合は課税されませんが、財産分与が慰謝料や離婚後の扶養目的の場合は課税対象となります。

 

財産分与で不動産を受け取った方が引き続きその家に住む場合は、中古住宅を取得した場合の不動産取得税の軽減措置を受けられる可能性があるので、不動産会社に問合せてみましょう。

 

土地や住宅を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税の納付が必要となります。ただし、マイホームを売却した場合は3,000万円の特別控除を受けられる場合があるので、こちらも不動産会社に確認してみましょう。

 

不動産の売買時や相続時、財産分与など、名義変更をしなくてはいけないからと焦って手続きを進めてしまうこともありますが、ケースによっては手続きの方法が変わり、用意するものも異なります。

 

持ち家の名義変更手続の際は慌てず、状況を確認しながら必要に応じたものを用意し、落ち着いて行いましょう。

 

なおこの記事は2019年11月時点の情報です。税金については今後変更となる可能性もありますので、最新情報については国税庁のサイトなどを確認してください。

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