働くママにとって、街や住まい選びは暮らし方にも影響する大切なことです。以前「ワーキングマザー交流会の取り組み」でもご紹介した株式会社Lifull FaM 代表取締役社長の秋庭麻衣さんに、働くママのことを考えた住まいの選び方や暮らし方についてポイントを伺いました。

秋庭さんはワーキングマザーとして働く自身の経験から、パパとママ向けのサービスを新規事業として会社に提案。2014年に株式会社Lifull FaMを設立して、パパとママのコミュニケーションアプリ「Lifull FaM」の実現に至りました。
アプリ運営の他に、パパ・ママ向けのイベントやワーキングマザー向けの講演活動などもされているため、ワーキングマザーの声を良く聞くそうです。

そこでご自身の経験も踏まえて、ワーキングマザーが住まいで大事にすべきポイントを話してもらいました。
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-まず、秋庭さんご自身について聞かせてください。現在どんなお家にお住まいなのですか?
4年前に江東区豊洲に中古マンションを購入して、住んでいます。豊洲を選んだのは、単純に実家があったからです。家族のサポートを得るために、実はエリアは豊洲以外の選択肢がなかったんです。

 

-豊洲といえば、大規模な商業施設のイメージもありますが住宅も多いですよね。豊洲の良いところって、どんなところですか?
スーパーなども含めて商業施設が多い点はやはり便利です。ちょっと大きい日用品などを買う時でも、電車に乗らずに済んでしまうのはとても楽ですよ。子どもが小さいと、ベビーカーを押しながら大きい荷物を持って電車に乗って…って、結構大変ですよね。
また、マンションがすごく増えているので、子どもはとても多いです。だから、塾や習い事、病院、子ども向け施設がどこも徒歩圏内にあるのも良いところですね。ただ、逆に言うと、人気の習い事や病院はとても混んでいます。

 

株式会社Lifull FaM 代表取締役社長 秋庭麻衣さん

株式会社Lifull FaM 代表取締役社長 秋庭麻衣さん

-住まい探しをするときに、まず「住む街」を考える人は多いはず。秋庭さんの場合、住むエリアの選択肢はなかったということでしたが、まず、市区町村選びでここを重視した方がいいというポイントはありますか?
子どもの医療費制度や待機児童数などの状況は行政によって全く異なるので、子育て世帯は特に、確認したほうがいいと思います。特に待機児童問題は、働くママにとって大変重要なポイントですよね。
情報開示の方法も区によって大きく異なって正直わかりにくいので、直接電話をかけて問い合わせるママはとても多いです。「区報を見てください」の案内のみで、区報を手に入れるために毎日のようにスーパーに通わなければならないところもあれば、子育てアプリを提供している行政もあったり本当に色々ですね。

 

以前セミナーでお会いした方は「災害情報が区からこまめに出されているか」を最重要視されていました。人によって最重要ポイントは違いますし、色々な優先順位の中からライフスタイルに合わせて『何を取るか?』を考えることが大切ですよね 。

 

市区町村が定まってきたら、その中でもどのエリアに住むのか。私が一番のポイントだと思うのは、当たり前のようですが「スーパーが近くにあるか」。私は毎日その日の献立を考えたいタイプなので、買い物は毎日のことですし、「あれを買い忘れた」ということも日常によく起こるので、なるべく楽に行ける距離がベストです。毎日の小さな不便の積み重ねはストレスになって、忙しいママたちを蝕んでいくと思います。同じような理由で、ベビーカーを利用するママは特に、「駅にエレベーターがあるか」というのもとても重要なポイントですね。

 

例えば、医療費の助成制度が充実している地域なのかということは、もちろん大事ですが、毎日の暮らしをシミュレーションして、小さなストレスがないかということを考えてみるのも大事です。子育てをする毎日にストレスがない方が、ママも子どもも快適に暮らせますよね。

 

-「スーパーが近い」ことは不動産広告でもよくアピールされていますが、子育てママにとっては特に重要度が大きいんですね。
そうですね、徒歩圏といえば、病院や塾、習い事のお教室が近くにあるというのも良いポイントです。子どもはしょっちゅう風邪をひきますが、ワーキングマザーは仕事帰りに病院に寄らなくてはいけない。その際に家の近くにあった方が良いですよね。また、子どもが小学生になると塾や習い事に一人で行くことも多いので、徒歩圏内にあると安心です。

 

-なるほど、徒歩圏のメリットは「便利」だけでなくママとして「安心」という点もあるんですね。

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-では次は、「住まい」について伺います。どんな条件で物件を探していたんですか?
ワーキングマザーは子どもとの時間が限られているので、子どもとのコミュニケーションが取りやすい間取りという面は特に重視しました。家事をしながら子どもと話ができるカウンターキッチンや、子ども部屋が独立しすぎない間取りかどうかは気にして探していましたね。あとは、プロの力を借りるのもとても大切だと思います。

 

-不動産会社さんということですか?
はい。私の場合は、担当の方がとても良い方で、学区の資料や子育てに関する行政の資料をたくさん集めて教えてくれたりと、とても親身になってくださいました。それに、最初は2LDKの物件を探していたんですが、リビングが広い1LDKの物件をリフォームして2LDKにする提案をしてくださって、間取り以外の条件はぴったりだったので、その物件を購入することにしました。素人では想像できない提案をしてくれたので、さすがプロだなと思いました(笑)。プロを味方につけられたら、とても良い住まい探しができると思います。

 

-現地の見学で注意したポイントなどはありますか?
マンションの場合、管理状態やマンション内のコミュニティも暮らしやすさの一因となると思います。私が購入したマンションでは、見学に行った時に管理人さんが明るく挨拶をしてくださったり、郵便受けのきれいさから、きちんと管理されているマンションだという印象を受けました。
子どもが小学校に入学して1人で帰ってくるときに、周囲の目があった方が安心ですよね。
また、エントランスの掲示板に、マンション内での催物のお知らせがたくさん貼りだしてあって、コミュニティ活動が盛んだということがわかりました。様々な助け合いや情報交換ができるママ友の存在はワーキングマザーにとっては貴重です。引越し先のマンションにコミュニティがあると、ママ友もつくりやすいですよね。
室内はリフォームなどで自分好みに変えられる部分も多いので、マンションの場合はそうした共用部分や管理の体制も気にしてみると良いですね。

 

商業施設、住宅、オフィスなど充実している豊洲

商業施設、住宅、オフィスなど充実している豊洲

-住んでみて不満に感じたり、もっとこうだったらと思うことはありますか?
今後子どもが大きくなるにつれて、収納が足りなくなったり、間取りが狭くなったり、通学に不便になったりするかもしれません。ただ、その際は様々なサービスを利用して改善していったり、最終的には家を買い替えるという選択もあると思っています。

 

-「不便は改善できる」と、住まいに対しても柔軟に考えるのは大切かもしれないですね。
そうですね。よく、転勤が多いご家族は賃貸しか選べないというお話も聞くのですが、私は「転勤族=賃貸」、でなくて良いと思っています。マンション購入後に転勤になっても、その物件を売ったり貸したりできれば困らないですよね。そういう面で、資産価値が落ちにくい物件を選ぶということも大切だと考えています。
転勤という極端な例でなくても、家族が増えたら間取りの変更や住み替えが必要になるかもしれない。そういう長期的な可能性も考えて、対応できそうな物件を選ぶことも大切だと思います。

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-では、そうして選んだ住まいでの、働くママならではの暮らしのポイントを教えてください。
やはり、「いかに家事・仕事を効率良くこなすか」ということは考えていますね。必要な分量に切ってある食材や調味料が送られてきて、簡単に調理ができる宅配サービスも週に何度かお世話になっています。ネットスーパーも充実していますし、Webのサービスはかなりいろいろ利用しています。今は、便利なものは本当にたくさんありますから。

 

-お子さんとの時間を取るために、工夫されていることはありますか?
帰宅後の子どもとの時間は大切にしています。先ほどお話したように、家事をしながら子どもと話ができるようにというのもありますが、「ながら」ではなくてきちんと向き合う時間も大切と考えて、お風呂と寝る前はコミュニケーションをきっちり取る時間を確保していますね。それで子どもと一緒に早く寝てしまう時は早朝に起きて仕事をするとか、時間の使い方を工夫しています。

 

-最後に、お仕事の面で、両立のために工夫されていることはありますか?
時間の有効活用という意味で、会社では「会社でしかできないこと」をやると決めています。今日のスケジュールや考えごとは通勤時間中に済ませてしまい、会社に着いたらすぐに取り掛かれるようにするんです。

 

でも、どうしても子どもの都合で急に会社を休まなければならなくなることもあります。ルーチンワークの業務では周りに迷惑をかけてしまうこともあったので、何かの改善や新しいプロジェクトをつくるようなチャレンジ業務を任せてもらうように、私の場合は上司がとりはからってくれました。自分で時間をコントロールすることができ、且つ0から1を作る仕事だったので、大変でしたがやりがいを感じられる仕事ができてとても良かったです。
子育てママがどう働きたいか、時短勤務の人にどんな仕事を回すかなどは、上司の方も気を遣っていると思います。もちろん会社の業務都合もあるので、自分の思い通りには行かないですが、自分がどのようにキャリアを積みたいか、キャリアビジョンを上司に共有すると良いのではないでしょうか。

 

時間の使い方と会社との上手な付き合い方<br>について話す秋庭さん

時間の使い方と会社との上手な付き合い方について話す秋庭さん

最後に住まいについて大事にしておきたいポイントをまとめてみました。

 

■街の選び方
・ライフスタイルに合わせて『何を取るか?』を考える
・毎日の小さなストレスがないか考えてみる
・子どもが大きくなった時を考え、徒歩圏内に塾や習い事があるかも気にかけてみる

 

■住まいの選び方
・長期的な可能性も考えて、変更に対応できそうな物件を選ぶ
・プロの力を借りてアドバイスをもらう
・マンションの場合は共用部分や管理の体制も気にしてみる

 

■暮らし方
・時短・効率化のために、便利なものは進んで利用する
・コミュニケーションをきっちり取る時間を確保してメリハリをつける

 

■仕事との向き合い方
・会社では「会社でしかできないこと」を優先し、通勤時間を上手に使う
・自分がどのようにキャリアを積みたいか、キャリアビジョンを上司に共有する

 

毎日忙しく働くママたち。家族構成やライフスタイルに応じて優先することはそれぞれ違いますが、秋庭さんのお話を聞いていると、住まいの考え方にも「子どもの安全とコミュニケーション」「効率」を軸に進めていらっしゃる印象を受けました。主体的に行動しながらも便利なものには上手に頼る、パワフルで柔軟な姿勢は、真似をしたいポイントがたくさんありますね。

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Lifull FaMは子育てを楽しむパパとママをアプリやイベントなどを通じて支援しています。「Lifull FaM」のアプリは、子育てや共働きで忙しい夫婦のコミュニケーションを助ける夫婦間SNSです。パパとママが子どもの写真やスケジュールやタスクを共有でき、自然と会話や共感が生まれる仕組みになっています。

 

子育てを楽しむパパとママのためのポータルサイト
http://lifull-fam.com/

 

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更新日: / 公開日:2016.04.28