「買って住みたい街」ランキング

初めての1都9県を対象とした調査で買って住みたい街ランキング1位となったのは、静岡県熱海市の中心地「熱海」でした。順位は以下のとおりです。

1位の「熱海」に次いで首都圏1位の「勝どき」が2位、3位以下も首都圏内の街（駅）が続き、16位に静岡県伊東市の「伊豆高原」がランクインしました。

2020年9月に発表した「借りて住みたい街ランキング1都9県版」では、「水戸」や「宇都宮」など首都圏外の街が数多くランキング上位に登場し、賃貸ユーザーの居住意向が郊外方面に向いていることが示されました。

しかし、購入ユーザーはコロナ禍でも居住意向が首都圏内にほぼとどまっており、緊急事態宣言発出期間に一部報道で取り上げられたような関東近郊のリゾート地（軽井沢や那須、御殿場、八ヶ岳など）への目立った転出意向は確認できませんでした。

ただし、ランキング上位に「熱海」および「伊豆高原」が入ったことは、購入ユーザーの一部に首都圏から一定の距離があり、かつ比較的不便のないエリアでの生活を具体的にイメージするケースがあることも示しています。

「熱海」が問合せ数1位となったのは、上記首都圏外でも新幹線などを利用して都心方面にダイレクトにアクセスできる交通利便性と自然豊かで温泉もある景勝地であることも起因している可能性があります。

16位にランクインした「伊豆高原」についても、コロナ禍以前から首都圏居住者にセカンドハウス需要を喚起する物件がコンスタントに販売されている実績があることから、エリアの知名度も含めて問合せ上位に進出したものと考えられます。

また、首都圏版でも指摘したように、2位以下はいずれも都心・近郊の人気エリアが上位に登場しており、コロナ禍であっても都心近くで物件を購入したいという意向が強いことが分かります。

一度物件を購入すれば住み替えは容易ではなく、賃貸ユーザーのようにコロナの感染状況に応じて居住エリアを変えることができない、もしくは変えにくい購入ユーザー特有の意向の表れと見ることができます。

2位の「勝どき」は首都圏で問合せ数トップであり、2020年2月に発表している「2020年LIFULL HOME’S買って住みたい街ランキング」でも１位に輝いて都心で最も注目されている湾岸の街です。コロナ禍で東京五輪が1年延期となっても、選手村跡地に誕生する予定の大型物件への注目度は依然として高いことに加え、元々人気の高い街でコロナ禍による価格動向を気にするユーザーが問合せるなどしたことも上位を維持した結果と考えられます。

今回の「コロナ禍での買って住みたい街ランキング」では、コロナ禍においても購入ユーザーの意向が現在の居住エリアから大きく動いておらず、都心・近郊に根強いニーズがあること、またコロナ禍が長期化した場合を想定して一部ユーザーに首都圏外を含めた居住エリアの郊外化を検討する動きがあること、などが示されています。

なお、例年調査とランキングの比較が可能な1都3県版はこちらをご参照ください。

「問合せ増加率」ランキング

「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」同様、買って住みたい街でも前年同時期と比較した「問合せ数増加率ランキング」を併せて算出しました。

コロナ禍での生活環境の激変によって問合せの絶対数だけでなく、注目度が高まった街について関東近県エリアを含めた1都9県にて調査しています。順位は以下のとおりです。

昨年4月からの同時期と比較して2020年に購入ユーザーの問合せ数の増加率が最も大きかったのは都営地下鉄大江戸線「牛込柳町」（対前年同期比385.5％）、2位は「神楽坂」（同367.６％）でした。

なお「牛込柳町」と「神楽坂」は隣接したエリアで徒歩15分圏内程度に位置しており、ほぼ同一エリアとみることができます。この結果はコロナ禍の影響を受けたものというよりも、主に同エリアでの主要幹線道路の拡幅工事に伴う物件の新規供給がコンスタントに実施されたことが要因の一つではないかと考えられます。

以下の3位「大崎」（同346.7％）、４位「江戸川橋」（324.1％）、5位「浅草橋」（同323.4％）も軒並み前年から3倍以上の問合せ数となっており、問合せ増加率においても都心エリアの優位性が明らかです。

この中にあって、伊豆急行の「片瀬白田」が増加率ランキング8位に登場しました。伊東市と下田市の中間地点に位置し、観光地である河津町や東伊豆町に向かう交通の要衝であり、近隣に温泉もある割には販売されている物件の価格が熱海や伊東、伊豆高原などに比較すると安価な水準であることが問合せを大きく増やした要因と考えられます。

1都9県に調査範囲を拡大しても1都3県版とほぼ同様の結果となったことから、都心・近郊での買って住みたいニーズは、今回の調査期間においてはコロナ禍によって首都圏郊外にはほとんど拡散しておらず、借りて住みたいニーズとは大きく異なることを浮き彫りにしています。

「問合せ減少率」ランキング

問合せ数が大きく減少した街は都心・近郊にほぼ集中していることから、「問合せ数の減少率」ランキングは首都圏（1都3県）を対象とした調査とまったく同じ順位の結果が得られています。順位および総評はこちらをご参照ください。

LIFULL HOME’S住みたい街ランキング

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