ふだんはあまり気にすることが少ない室内ドア(建具)。 実際は、毎日視界に入っていることから、変化させるとパッと目に付くポイントなのです。 比較的手軽にできて、インテリアのアクセントにもなるドアのリノベーション。
交換方法から居室に合わせたデザインまで、ドアリノベのコツをまとめました。

ドア(建具)の交換パターンを知ろう

分譲マンションや建売り一戸建てなどの場合、「ドア」の存在感はあまり感じられないかもしれません。 床などと一緒に色を選べることもありますが、バリエーションの提示が少ないのが一般的だからです。

しかし、リノベーションをする際には、ドアの選択肢はぐっと広がり、それに伴ってインテリアの幅も広がります。 ドアの交換は、難易度が高い印象もあるかもしれませんが、実は、意外と簡単。 コストを抑えるポイントにもなりますので、うまく取り入れたいところです。

※ちなみに、「建具(たてぐ)」という言葉は、戸、障子、ふすま、窓など、開閉をして部屋を仕切るものの総称。おぼえておくと便利です。

ドアには、 ①枠ごと交換 ②ドア本体のみを交換 ③面材の張り替え という3つの交換パターンがあります。それぞれについて、説明しましょう。

①枠ごと交換「こだわりのドアを実現!」

ご自宅でも見回してみるとわかりますが、ほとんどの建具にはかならず枠が付いています。 室内ドアをデザイン・大きさごと取り替えて、イメージチェンジをしたいというときには、枠ごと交換を検討しましょう。

メーカーの既製品を利用する・造作をするという2つの方法があります。 壁、壁紙にも影響する工事になるので、壁とドアのイメージを揃えて計画するインテリアが中心。 壁はそのままで、枠ごとの交換も可能ですが、部分的な壁の補修は必要になります。 コストはかかりますが、リノベーションの効果は絶大です。

なお、居室の構造によっては工事ができない場合もあるので、確認が必要です。

②ドア本体のみを交換「コストを抑えるならコレ!」

壁への影響を避け、コストを抑えたリノベーションを考えるなら、枠はそのままでドア本体のみを取り替える、という方法もおすすめです。 枠は古いままになるので、違和感が出る場合もありますが、ドアに合わせて塗装したり、ドアに使用する面材を枠にも貼るなどの方法で、うまくなじませることもできます。

ただし、枠がメーカーの規格サイズに外れている場合は、既製品が使えず、ドアを造作する必要があります。枠ごとの取り替えよりも高くつく可能性もあるので、施工会社とよく相談しましょう。

③面材の張り替え「表面だけ手軽にきれいに!」

ドアはそのままで、汚れや経年劣化だけをクリーンにしたい。大掛かりな工事はできるだけ避けたい、という場合には、面材の張り替えを検討してみては。

面材シートには、さまざまな種類があります。 元の色合いに近いシートで補修をするもよし、まったく違う色合いでイメージチェンジをはかるもよし。 枠も同じシートで張り替えられるので、枠ごと生まれ変わります。

ただし、ドアの劣化が激しく面材がきれいに剥がれないという場合は、施工が難しいでしょう。

こんな部屋に合うのは、こんなドア

ドアには、開き戸・折れ戸・引き戸という、開閉方法の異なる3つのタイプがあります。間取りやニーズに合わせて、居室に最適なドアを選びましょう。

一般的なドア「開き戸」

ドアというと思い浮かべる、もっとも一般的なかたちが、開き戸です。 開閉するスペースが必要ですが、ドアを引き込むための控え壁は不要。 枠との密閉性も高いので、隙間風に強いのも特徴です。両開きできる親子ドアもあります。

開き戸が合うのは、こんな部屋

その家の顔であるリビングには、印象的な開き戸がよく合います。壁と同色の開き戸は落ち着いたイメージ。あえてドアだけ別の色を塗って目立たせるのもおしゃれです。

リノベーションで人気が高いのは、ガラスを組み合わせたデザインの開き戸。開放感があり、リビングから廊下への明かり採り効果もあります。

また、無垢材や木調のドアに、黒いアイアンの取っ手が付いたドアもナチュラルな雰囲気で人気です。 ほかにも、寝室や各個室など、完全に仕切った居室には、開き戸が採用されることが多いようです。

狭い空間に最適な「折れ戸」

扉が折れ曲がるので、狭い空間や廊下などに有効です。クローゼットやパントリーなどによく利用されます。

折れ戸が合うのは、こんな部屋

基本的には収納空間でよく用いられる扉ですが、スペースに限りのある場合、開き戸がぶつかり合うことがあります。

こうした場合は、リノベーションで折れ戸にすることで解決できます。 ほかにも、ダイニングとリビングの仕切りなどに、ガラスの折れ戸を採用する場合もあります。

スライド式の「引き戸」

扉が前後しないため、スペースを有効活用できます。両開き・片開きなどのバリエーションがあり、開閉時に人やものにぶつかりにくいのが特徴。控え壁や戸袋が必要になるので、空間に添って計画しましょう。

また、隙間風が通りやすく、断熱性は低いため、玄関周辺など外気が入りやすい場所では対策が必要です。

引き戸が合うのは、こんな部屋

和室や、リビング内の仕切りなどでよく使われるのが引き戸です。特にキッチンとの仕切りとして使う場合、開け放しておいても邪魔にならないため、とても便利。

また、ガラスの引き戸は、空間をゆるやかに仕切ってくれるので、インテリアのアクセントとしても有効。多彩な使い方ができるのも魅力です。

番外編:ドア活用のバリエーション

最近は、機能性の高いドアもたくさん出そろっています。いくつかご紹介しましょう。

ブレーキ機能 自動開閉や、音が静かに開閉できるものなど、ブレーキ機能のある引き戸には、メーカーによっていくつか種類があります。
遮音機能 ピアノルームや映画ルームなど、音の漏れを防ぎたい部屋には、遮音機能のあるドアがおすすめです。
ルーバー機能 ドアにルーバーが付いていて、開閉することで換気ができるというものです。
ペット用のくぐり戸 ペットのサイズに合わせた小さなくぐり戸が付いたドアです。ペットが自身で出入りできるため、いちいち開閉をしなくて済み、ペットのストレスも軽減できそうです。

まとめ

ドアを一つ変えるだけで、その空間の印象はガラリと変わるもの。 中古マンションを購入して、「フルリノベーションをするまでの予算がない...」という人にもおすすめしたいのが、こうしたドアの交換です。 壁や床は変えず、ドアだけでも、大きな変化は付けられるのです。

また、最近のリノベーションでは、あえてドアをなくしてしまう、というレイアウトにも注目が集まっています。 ドアをなくし、空間を広げる。アーチ型の出入り空間にする。ドアではなく、カーテンなどで仕切る......などなど、さまざまなアイディアがあります。

理想のインテリアと、マンションのスペースとをすりあわせた先に、最適なドアがあるはず。 たくさんの案から適材適所のドアを選んで、素敵な住まいづくりを楽しみましょう!