基本的に、マンションの窓は専有部分ではなく、共有部分。 「ちょっと古くて使いづらいけど、窓を変えるのは無理だし...」とあきらめていませんか? 実は、中古マンションでも、窓をリノベーションする方法があるんです。
窓をリノベーションするメリットと、その方法、費用についてまとめてみました。

窓をリノベーションするメリット3つ

共有部分であるために、リノベーションができないと思われがちなマンションの窓。 特に、築年数が古い中古マンションでは、1枚ガラスのままなど、窓の機能性が低いため、多くのデメリットがあります。

古い窓のデメリット

・室内の厚さ、寒さの原因
・エアコンの効きも悪く、光熱費がかさむ
・結露が起こりやすく、カビが生えやすい
・防音性が低い
・防犯性が低い

そこで、窓のリノベーションです。 窓をリノベーションするメリットは、大きく3つ。

①断熱
②防音
③結露の軽減

それぞれのメリットについて、解説しましょう。

①断熱性が高く、電気代を節約できる

マンションの中で、熱の出入りが激しいのが、窓と玄関。 真冬時には、窓だけでも相当量の熱が放出されてしまいます。 逆に真夏時には、それ以上の熱が窓から入り込みます。

断熱、遮熱効果の高い窓に変更することで、エアコンの効きは良くなり、電気代も大幅に節約することが可能になります。

②防音効果で、プライバシーが守られる

幹線道路や線路、大きな施設などが近い中古マンションでは、騒音で悩まされることも多々。 音は主に空気を伝わる振動であり、窓は、その振動を最も通す場所です。

防音効果の高い厚みのある窓ガラスに替えれば、一般的なガラスに比べてかなりの遮音効果が期待できます。 また、小さなお子さんがいる、音楽が趣味などの家庭にも、自宅からの音を漏らさないために有効です。

③イヤな結露を軽減できる

結露は、放っておくとカビを発生させ、ダニの繁殖を促進します。アレルギーを引き起こし、喘息やアトピーの原因になることも......。

断熱効果のある新しい窓に替えれば、結露は少なくなります。 健康を気遣う人にこそ、機能性の高い窓をおすすめします。

窓のリノベーション方法3つとその予算

マンションの窓のリノベーションには、3つの方法があります。

①ガラス交換
②内窓(インナーサッシ)を付ける
③カバー工法

マンションの環境、状況と、予算に合わせて、リノベーションの方法を選びましょう。

①最も手軽にできるガラス交換

最も手軽にできる窓のリノベーションは、ガラスのみを交換する方法です。 サッシをそのまま使って、断熱・防音機能に優れた複層ガラスに交換すれば、快適さはUP。

ただし、サッシ部分の結露は変わらないので、注意が必要です。

ガラス交換の予算

大きさによっても異なりますが、2万円~/m²。諸経費、工事費は別途かかります。

②内窓(インナーサッシ)を付ける方法

窓の内側に、もうひとつ窓を設置する方法です。 既存サッシに影響させず、また、専有部分の工事で済むので、面倒な手続きも必要ありません。

デザインにこだわり、障子を取り入れたり、アイアンフレームで作ったりすれば、デザイン的な美しさを窓に取り入れることができます。

ただし、2回開け閉めをする必要があり、既存窓の結露はそのままなので、まめに掃除をする必要があります。

内窓を付ける予算

樹脂製サッシの内窓なら、腰高窓で5万円~。オリジナルの内窓は、使用する素材によって異なります。

③工事も楽々! カバー工法

カバー工法とは、既存の窓枠をそのままに、新しい窓枠を取り付けること。 築30年以上たった中古マンションの窓リノベとして、多く採用されている方法でもあります。

古いサッシを取り除き、枠を残したまま、新しいサッシを取り付けるので、小規模な工事で、時間もかからずに手軽にできるリノベーションです。

ただし、既存の枠に新しい枠をかぶせることで、開口部が小さくなるというデメリットがあります。

カバー工法の予算

腰高窓なら10万円~、掃き出し窓は15万円~。

窓をリノベーションするときの注意点

マンションの窓をリノベーションするためには、行う前にきちんと確認しておくべきことがあります。

それは、やはり専有部分と共有部分の問題。 基本的に、マンションの窓は共有部分であるため、個人で勝手にリノベーションを進めることはできません。 特に窓のサッシ部分(窓枠)は共有部分のため、変更はできないことになっています。

ただし、国土交通省が発表しているマンション管理標準規約には、 「マンションの窓枠や窓ガラスの『改良』については管理人の了承を得られれば自己負担で実施できる」とあります。 防火・防犯・防音・断熱などの一定の基準を満たしたガラスを使用することで、そのリノベーションが建物の価値が高まると判断されれば、認められる可能性は高くなります。

どんな工法を選ぶにせよ、まずは、マンションの管理組合に確認を取り、問題が起きないように、スムーズに進めるのがベストです。

まとめ

日本の窓は、諸外国に比べて、断熱性に劣ってきたという事実があります。 特にフィンランドやデンマークなど北欧の国々では、早くから断熱性能の最低基準が設けられ、窓が住宅にもたらす快適性が注目されてきました。

中古マンションのリノベーションでは、ついつい見過ごされがちな窓。 窓にこだわれば、夏は涼しく、冬は暖かく、毎日が健康的に過ごせて、トータルで暮らしのクオリティが上がります。

これから物件を選ぶという人も、リノベーションを計画中という人も、ぜひ、窓について考えてみてはいかがでしょうか?