部屋の中でも大きな面積を占める、壁。 壁材の違いで、部屋の印象は大きく変わります。 壁のリノベーションは、一番手軽にできるイメージチェンジ。 デザインだけでなく、部屋に合わせた性能を選べば、暮らしはもっと快適に!
今回は、壁材の種類・特徴・メンテナンスを考えた選び方のポイントまでを解説します。
壁のデザイン・素材を選ぶヒント
マンションや建売住宅など、一般的に販売されている住宅の壁は、ほとんどが白の壁紙ですよね。万人受けする無難な壁ですが、どうしても単調なインテリアになりがちです。手軽にインテリアのイメージチェンジを図るなら、壁のリノベーションがおすすめ。壁を変えるだけで、室内の印象は一変します。
現在、壁材にはさまざまな素材、デザイン、機能性の高い商品がたくさん出そろっています。 リビング・ベッドルーム・子ども部屋など、部屋の用途別に色合い・素材を変化させれば、それぞれの空間がさらに居心地のいいものに。 壁のリノベーションをする前に、まずはそれぞれの部屋をどんな雰囲気にしたいかを考えてみましょう。
色合いで変化する部屋の印象
白・ベージュ・黄色・ピンク・空色など明るい色合い
部屋に広がりと開放感を与えます。子育て世代のリビングや子ども部屋などに向いています。
茶系・グレー、ダークブルーなどの暗い色合い
落ち着きのある暗い色合いは、空間に重厚感を与えます。家具との相性を考えた大人っぽいリビングや、寝室などに向いています。
壁選びに迷ったら、インテリアのテイストを参考に
さまざまな素材がある壁材ですが、自分の好みがよくわからず、選べないという人も多いでしょう。
そんなときは、自分の好きなインテリアのテイストに立ち返ってみることをおすすめします。 ナチュラル系・北欧系・アジアンなど、インテリアブックやネットなどで好みの部屋を探し、それらをお手本に探してみましょう。壁の色、素材感、組み合わせの参考になります。
素材の種類と性質をふまえて壁材を選ぼう
壁材選びの成功のコツは、空間の用途と暮らし方を考えること。部屋には、それぞれに適した素材があります。
リビングやベッドルーム →家族が和む空間には、温かい風合いの素材
子ども部屋や趣味のアトリエ →汚れがついても落としやすい素材
トイレ・キッチンなどの水まわり →耐水性があって掃除がしやすい素材
ここからは、代表的な素材別に、それぞれの特徴と上手な使い方を解説していきましょう。
種類も豊富なクロス(壁紙)
一般的な住宅で、最も多く使われているのがクロス(壁紙)。手頃な値段から揃い、施工も簡単です。素材によって、ビニールクロス・織物クロス・紙クロスなどに分類され、バリエーションも豊かなのが魅力です。
小さなお子さんやペットがいる場合、ビニールクロスは掃除がしやすく耐久性があるため特におすすめです。織物クロス・紙クロスは、大人が中心のリビングや、寝室などに向いています。
ビニールクロスの特徴
分譲マンションなど商品住宅では標準仕様になっていることが多い、もっともポピュラーな壁材が、ビニールクロス。塩化ビニール樹脂などを主とする素材のビニールシートに、紙などを裏打ちしたものです。
リーズナブルな価格からバリエーションがあり、色・デザイン・テクスチャーの異なるさまざまなものが揃います。撥水性があって掃除がしやすいもの、調湿性のあるものなど、機能性の高いものもあります。
最大の魅力は、やはり価格の安さ。同じ柄のものを多く使用することで、平米あたりの施工料も安く済みます。クロスの特徴に合わせて使用する部屋によって張り分け、うまくコストダウンをはかるのがコツです。
織物クロスの特徴
布クロスとも呼ばれています。平織り・綾織・不織布などの種類があり、手触りにもこだわった重厚感のある壁材として人気です。 環境に配慮したオレフィン樹脂を使ったもの、薄くカットした天然木やコルク、紙などを張り合わせたもの、珪藻土壁紙、聚楽壁紙など、たくさんの加工品があるのも特徴。
埃を吸着しやすい傾向があるので、まめにはたきをかけたり、ブラシ付きの掃除機を使ってお手入れをするのがおすすめ。 最近は、汚れ防止や防カビ、抗菌、耐水性に優れた商品もあります。
紙クロスの特徴
天然素材で、環境にも優しい紙クロス。高級感もある憧れの壁材ですが、こすれや汚れに弱く、デリケートなので、日頃の取り扱いには注意が必要です。
そんな紙クロスは、主に3つの種類に分けられます。
輸入紙クロス
輸入紙クロスは、木材などから抽出したパルプを原料にして造った洋紙を原紙として、エンボス加工やプリント加工を施したもので、輸入住宅などでよく使われています。大胆なプリントや、ゴージャスな柄のエンボス加工など、個性的なものが豊富。部分的に使って、ユニークなインテリアを実現するのもおすすめです。
和紙クロス
コウゾやミツマタなどを原料とした和紙クロスは、和紙ならではの独特の風合いが魅力。湿気を吸収し、空気が乾燥する時には湿気を放出するという特性があり、消音効果もあるといわれています。
非木材紙のクロス
ケナフ、亜麻などを原料とした非木材紙のクロス。二酸化炭素を吸収するという特徴があり、環境保全面から注目を集めています。
調湿性・断熱性に優れた塗装
クロスとはまたひと味違う素材感を発揮するのが、塗装です。
塗装には、主にペンキ・漆喰・珪藻土があります。 ペンキは価格も安く、DIYもできるほど手軽です。ペンキの種類によっては、化学物質が気になることもあるので、選ぶ際には注意しましょう。
漆喰・珪藻土といった塗り壁は、クロスとは異なり、仕上がりに継ぎ目がなく、刷毛、コテ、ローラーなどで、表面に多彩な表情を生み出します。 ビニールクロスなどに比べ、調湿性が高く、アンモニアなどの臭いを分解し、カビも生えにくいという特徴があります。無機材なので、日光による変色も気になりません。断熱性・防火性にも優れています。
一戸建てに比べて隙間も少なく、床面積も限られるマンションには、塗り壁の調湿性は特に有効だといわれています。また、静電気も起こりにくいというメリットもあり、自然派リノベーションを目指す人にとって、塗り壁は特におすすめです。 DIYもできるので、施工会社と相談をしながら、チャレンジしてみるのもいいでしょう。
ほかにも、西洋漆喰とよばれる石膏プラスター、ロドマイトプラスター、数寄屋建築に使われる土壁、砂壁など、塗り壁にはさまざまな種類があります。
アクセントとしても使える、木質系
ナチュラルな雰囲気で人気のウッディーな壁。 無垢材は高額になりがちですが、木質系製品の壁材には、天然木化粧合板や、化粧シートタイプなど、リーズナブルに仕上がるものもあります。
木質系の壁は、存在感も強いため、一面に用いて部屋のアクセントにしたり、腰壁として取り入れるのも手。小さなお子さんやペットがいる場合の汚れ防止にも一役買います。
水まわりだけでなく、居室にもおすすめのタイル
色・デザインのバリエーションも豊富で、耐水性・耐久性に優れたタイル。これまで水回りを中心に使われてきた素材ですが、最近は、リビングやダイニングの壁材としても人気を集めています。
特に調湿・消臭など、高機能なタイル商品は、見た目にも高級感があり、リビングの腰壁などアクセントとして使われることが増えてきました。 床材のタイルと組み合わせて、個性的なインテリアをつくり上げることも可能。 傷にも強いので、ペットがいる家にもおすすめです。
ほかにもある、機能性の高い壁材
これまで紹介してきたもの以外にも、最近は各メーカーから、機能性の高い壁材がたくさん発売されています。
たとえば、キッチンパネルなどに代表される、パネル材の壁材。汚れがつきにくく、掃除もしやすい加工が施され、タイル調から石目調まで、デザインも豊富に揃います。
また、「エコカラット」など、調湿性と消臭機能に優れた最新の壁材もあります。これらは、水まわり、ワードローブなど、湿気や臭いが気になる場所に部分的に使うとよいでしょう。
まとめ
壁材には、たくさんの選択肢があります。 壁のリノベーションをしようと思い立ったら、まずはイメージをかためて、居室によって機能性を考えた壁材を選びましょう。 もちろん、コストとのバランスも大切です。
適材適所に、コストと折り合いのつく壁材を選び、ポイントをしぼって使い分けることで、オリジナリティを発揮した家づくりを目指しましょう。 イメチェン効果の高い壁のリノベーションで、あなたの暮らしに新しい風を吹き込んでみてはいかがでしょうか。

