「中古マンションを購入して、理想のキッチンを実現したい」。 「住み慣れたマンションのキッチンを、思いきって新しくしたい。せっかくなら、設備の交換だけではなく、もっと使いやすく、もっとオシャレにしたい」。 そう思ったら、リノベーションを検討してみましょう。 今回は、マンションのキッチンリノベーションに成功するために、事前に知っておきたいポイントを、わかりやすくまとめてお伝えします!

まずはチェック! このマンション、どこまでのリノベが可能?

一戸建て住宅とは異なり、マンションは、その構造上の理由と管理規約から、リノベーションの自由度には制限があります。 まずは、「このマンションはどこまで可能なのか?」。 実際の状況を確認してみることから始めましょう。 ただし、管理組合、または管理会社に直接確認する方法もありますが、素人にはなかなか難しいもの。 やはりリノベーションの施工会社に相談しながら進めるのが得策です。

キッチンの位置を移動することはできる?

「暗くて狭いキッチン。思いきって、違う場所に移動させて、新しいキッチンスペースをつくりたい」。そんなとき、リノベーションなら大胆なレイアウト変更も検討できます。 しかしマンションは、配管の位置や造りによって、移動の可・不可が決まります。

◯ 床下に余裕がある場合

床下の造りに余裕がある場合は可能です。どの程度移動ができるかは、床下の余裕の幅によって変わります。

× 床下に余裕がない場合

配水管が階下の天井裏に通っている場合などは、それ以上動かすことができないため、キッチンの位置変更は厳しくなります。

一般的に、古めのマンション(特に1980年代前半以前)は、構造的にキッチンの移動が難しいといわれています。一方、2000年代以降に建てられたマンションは、床下にスペースが確保されており、移動させやすい場合が多くなります。 どこまで移動させられるかは、マンションの図面を施工会社に見せながら、確認してみましょう。

管理組合&管理規約で確認するポイント4つ

①希望の床材にできる?

ひと口にマンションといっても、環境、大きさ、戸数などから特徴が異なり、それぞれに独自の管理規約があります。規約によっては、リノベーション・リフォームについての設備、建材に制限があります。

②電気容量、ガス給湯器サイズの制約はある?

ガスコンロから、IHヒーターに変更したいという希望がある場合。IHヒーターは、200Vの電圧が必要なものが多いため、マンションの電気容量が問題になります。 古いマンションにありがちなことですが、建物全体への電気供給量に制限がある場合は、IHヒーターや食洗機など最新機器の設置が難しくなります。また、ガス給湯器のサイズにも制限があることがありますので、早めのタイミングで、管理組合に確認しておきましょう。

③防音規定はどうなっている?

階下住民に対して、生活音の配慮をするために、多くのマンションで「防音規定」が定められています。マンションの環境と構造に基づいた遮音等級は、リノベーションする際の材質や、工事中の騒音についても関わってきますので、こちらも気をつけておきたいポイントです。

④工事期間、機器の搬入・組み立てに関する制約はある?

マンションによっては、リフォーム・リノベーション工事について管理組合の承認が必要なところがあります。また、工事期間や、機器の搬入・組み立てに関する規約を定めているところもあります。

予算内で、理想のキッチンを目指そう

マンションの規約を確認し、条件をクリアできたら、理想のキッチンを手に入れるために、さっそくリノベーションの工程へ進みましょう。 ここから大切になるのは、理想のキッチンを造るためのプランニングと予算です。 キッチンのリノベーションを3つのパターン別に、費用とポイントを見ていきましょう。

パターン①間取りを変えなければ、リーズナブル!

一番工期も短く、リーズナブルに行えるのが、場所を変えずに設備を一新する方法。リノベーションというよりも、リフォームと言ったほうがいいかもしれません。

システムキッチン自体の代金+工事費は約30万円前後。工期も3日~1週間ほどで終了します。 せっかくキッチンを取り替えるのですから、クロスや床材の張り替え、収納を造作するなど、周辺の工事も取り入れて、設備だけでなく、キッチンスペース全体をリフレッシュさせてみるのもおすすめです。

また、キッチン自体を自分で買って(いわゆる施主支給)、設置の工事だけを頼むという手段もあります。IKEAなどの量販店、またリサイクル品などを上手に活用すれば、かなり安くすみます。ただし、施工会社によっては、支給品設置の工事を受け付けていない場合がありますので、自身で探す必要があります。

パターン②キッチンを移動させて、新しい間取りに!

「壁付けキッチンから、オープンキッチンに」。 「オープンキッチンからアイランドキッチンに」。 LDK全体も一緒にリノベーションをすれば、まるで住み替えをしたように、気分も一新。 理想のキッチンを手に入れる近道です。

給水・配水管や、換気扇の排気ダクト、キッチン家電の電気配線も移設するなど、かなり大掛かりな工事になるため、やはり費用はそれなりにかさみます。 こうしたリノベーションにかかる費用は、システムキッチン自体の代金+100万円~。 工事費だけでも、100万円以上はかかると思っておいたほうがよさそうです。

工期は、2週間から、大規模なものでは1ヶ月ほどかかる場合も。 部屋の間取り変更にも関わる、キッチン移動のリノベーションは、やはり専門の施工会社に、設計から施工までをトータルでお願いするのが安心です。 システムキッチンを自分で用意したいという場合も、施工会社に相談してみましょう。ただし、施工会社を通じて購入したほうが、結果的に安かった......という場合もありますので、詳しく検討する必要がありそうです。

パターン③海外ブランドのキッチンを導入するには

高級感があり、おしゃれな海外ブランドのキッチンは、憧れの対象。 リノベーションをするなら、ぜひ設置してみたい、と思う人も多いのではないでしょうか。 しかし、海外ブランドのキッチンを導入するのは、かなりコストがかかり、ハードルが高いのが現実です。

その理由は、海外ブランドのキッチンは、一般的な工務店やリノベーション会社ではほとんど取扱いがありません。そのため、ブランドごとに決まった代理店を通して輸入、設置に伴う工事の手配までをすべて自分で行う必要があります。 キッチンやLDKの間取りの変更に、海外ブランドのキッチンを組み込みたい場合は、その代理店が指定する施工会社を利用するか、キッチン自体を施主支給にして、工事を請け負ってくれる施工会社を探すか、ということになります。後者の場合は、時間も手間もかかり、なかなか難しいのが現実です。

国内メーカーのシステムキッチンに比べ、納期が長いのも海外ブランドキッチンのネック。 国内規格とは異なるため、サイズ、コンロの口数など、詳細な部分までがオーダー製。注文から3~4ヶ月かかることもあります(国内メーカーのシステムキッチンは2週間前後の納品)。 そして海外ブランドのキッチンの価格は、200万~300万円が平均的。 納期、工期、費用もかかるため、予算とスケジュールに余裕がない場合は、なかなか手が届かない商品ではあります。

まとめ
「マンションのキッチンリノベーションをする前にやること」

マンションのキッチンリノベーションの段取りを、順にまとめてみました。 調べておく・相談しておくことなどは、事前にきちんと確認しておけば、トラブルのないスムーズなリノベーションにつながります。ぜひ、リノベーションを成功させて、素敵なキッチンを手に入れてくださいね。

①どんなキッチンが理想なのか、イメージを膨らませる

できる、できないはさておき、自分にとってどんなキッチンが理想なのかを再確認しておくことは、実はとても重要です。雑誌やネットなどで、素敵だなと思うキッチンの画像をとっておくなど、アイディアをストックしておけば、実際のプランに少しずつ生かすことができます。

②マンションの管理組合に、どんなリノベーションが可能なのかを確認する

管理組合に問合せ、自分が住んでいるマンションはキッチンの変更がどの程度できるのかを確認してみましょう。詳しいことはわからなくても、だいたいの事柄を確認しておけば、施工会社と相談する際に便利です。

③リノベーションの施工会社を探す

自分の理想のキッチンを実現してくれそうだなと思うリノベーション会社を探しましょう。 ネットの施工例や、口コミなどをよく見て、キッチンリノベに強そうなところを中心に、いくつか候補を選んでおきましょう。相談と見積もりは、複数の会社に依頼するのがおすすめです。また、上記2のマンションの管理組合への問合せも、始めから施工会社を通してすることもできます。

④具体的なリノベーションのプランを予算とすりあわせる

マンションの構造・規約をクリアしたら、具体的なリノベーションのプランを詰めていきます。どんなかたちのキッチンが可能なのか、予算とのバランスを見ながら、施工会社と相談します。

⑤工期のスケジュールを決める

リノベーションのプランが決定したら、いよいよ工事です。工期のスケジュールを決め、工期の間の暮らし方についてもシミュレーションをしておきましょう。大規模なリノベーションの場合、LDKが使えず、一時的に別の場所に引越しをする必要も出てきます。その場合の暮らし方についても、よく家族で相談しておきましょう。